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世界の思い込みを啓蒙する書 2019.2.14

 〈事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ〉というのが■2の売り文句。勘違いとはたとえば、「いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいるか」(A20%・B50%・C80%)など12問の3択に対して、世界各国1万2000人の平均正解数は2問だったことだ。それは、いわゆる有識者やエリート職のグループだって同じだったという。当てずっぽうでも4問前後になるはずだから〈みんなが同じ勘違いをしているといったほうが近いかもしれない〉。つまり、「世界は分断されている」「世界はどんどん悪くなっている」「いますぐ手を打たないと大変なことになる」といったような不正解に導く”思い込み”(=instinct)を啓蒙するのが本書だ。
 ところで勘違いや思い込みと聞いて、本書とは無関係だが、E・ルトワックの『戦争にチャンスを与えよ』の主張--国連やNGOなどによる紛争国への介入が戦争を長引かせる--を思い浮かべてしまった。一般には人道的な活動だととらえられているが、その実、紛争の火種の固定化にほかならず有害だというものだ。なお、上述の正解はCである。できましたか。
 ■3の著者(76)は、G・ソロスのパートナーとしてあのクォンタム・ファンドを設立したアメリカ人投資家である。2007年に「今がアジア投資元年だ」(拙訳)と言ってシンガポールに移住した。昨年6月、その地で行われたトランプ=金正恩会談を横目にしながらも、ここ数年、鼓吹し続けてきた北朝鮮バブル到来説を本書でも維持している。いや、加速させている。たしかに、いずれの日にか北朝鮮バブル(またの名を"利権")到来を予想するのはたやすいが、ま、国益とはマネーばかりではない。
 一方で、この投資の神様は日本については悲観的だ。経済は没落し犯罪大国になるそうだ。そこで■7も読んでみたい。こちらの著者は日本滞在30年のイギリス人。やはり元金融マンで、今は国宝などの文化財や寺社の修復を手掛ける会社の社長に転身。インバウンド観光の将来性を鼓吹してきたが、本書では外国人アナリスト118人のレポートなどから日本の選択肢を提言する。〈日本人勝算は「外の目」でこそ見い出せる〉そうだ。

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