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返信しただけでは、審査は再開していなかった — App Store の初リジェクトで踏んだ3つ

3本目に出した自作アプリで、初めて App Store のリジェクトを受けた。
落ちた理由そのものより、そのあと丸1日止まったことのほうが痛かった。

先に結論を書く。

1. リジェクト通知に「メタデータの修正だけなら再提出は不要」という趣旨の記載があったが(原文は手元に残っていない)、実際には再提出が必要だった。
返信だけでは審査が再開しておらず、約1日後に Apple から「resubmit せよ」と催促が来た
2. 「ボタンが押せない」を「押す必要がない」の証拠として使ってはいけない。
App Store Connect の再提出ボタンがグレーだったので「返信で足りるのだろう」と読んだ
3. 禁止事項を「どの欄か」で書くと、他の欄で同じ誤りをする。
自分のメモに「キーワードに入れない」と書いてあり、サブタイトルに入れて落ちた

1 と 2 は実測1件である。 Apple の審査運用は変わりうるので、
「必ずこうなる」とは書けない。3 は自分の記録の書き方の話で、審査に依存しない。

なお、この連載では記事と実物のアプリを結びつけない方針にしている。
以下、アプリ名・リンク・識別子は出さない。
落ちたサブタイトルも、Apple の製品名だけ残して、アプリ固有の語は伏せて書く
(商標の論点は製品名の使われ方で成立するので、伏せても話は壊れない)。
その代わり、Apple の指摘文と返信文は英語の原文のまま載せる。
裏づけがそこにしか無いためだ。

何が起きたか

提出したのは iOS アプリで、Apple Watch 側の画面も同梱している。
サブタイトルにその2つの端末を並べて、こう書いていた。

iPhoneで◯◯、Apple Watchで◯◯

◯◯ は動作を表す語だ。語そのものは一般的なもので、隠すほどの中身は無い。
伏せているのは、この1行を丸ごと書くと、文字列の完全一致でアプリに着いてしまうからだ。
構造は「Apple の製品名+助詞『で』+動作を表す語」が2つ並ぶ形。
参照フレーズ(for / compatible with にあたるもの)は無い。 字数は24だった。

翌朝、Guideline 5.2.5(Legal – Intellectual Property)でリジェクトされた。
Apple の指摘は次のとおり(原文)。

The app's metadata includes content that is similar to designs or terms used for
Apple products and services and may cause confusion for users. Specifically, your
metadata includes:
- Terms for Apple Watch in the app subtitle in an inappropriate manner.

App Store Connect のバージョンページには
5.2.5 Legal: Intellectual Property - Apple Products と表示された。

  • 指摘されたのは Apple Watch だけ。 同じ文にある iPhone には触れられていない

  • キーワード欄には入れていなかった。 サブタイトルに入れて落ちた

  • 同時に提出していたアプリ内購入も Rejected になった。
    これは独立した欠陥ではなく、本体が落ちたことに付随したもの

時系列(すべて日本時間)

  • 08-02 22:45 … 提出(アプリ本体とアプリ内購入の2件)

  • 08-03 06:45 … リジェクト通知が届く

  • 08-03 07:15 … サブタイトルを直し、Resolution Center へ返信。再提出はしなかった

  • 08-04 昼 … Apple から「resubmit せよ」

  • 08-05 02:48 … 再提出(2件)

  • 08-06 未明 … 承認を確認(承認そのものの時刻は分からない)

  • 08-06 03:26 … App Store で公開

手元の記録と Apple 側の記録で、日付が1日ずれる。 時差のせいだ。
提出は JST で 08-02 22:45、これは PDT で 08-02 06:45 にあたる。
一方でリジェクト通知が届いたのは JST の 08-03 06:45 で、
Apple 側の記録に載っている審査日は 2026-08-02 のままだ。

同じ出来事が2つの日付を持つので、手元の記録は片方の時間帯へ揃えたほうがいい。
私は JST へ揃えた(上の表はすべて JST)。
この記事の「08-02」(提出。JST)と、App Store Connect の審査日に載っている
「2026-08-02」は、同じ日を指すとは限らない。

公開日時は currentVersionReleaseDate が返した 2026-08-05T18:26:05Z(= 08-06 03:26 JST)。
これは実測できる値だが、承認の時刻はそうではない。
手元にあるのは「08-06 未明に承認を確認して、そのままリリース操作をした」という記録だけで、
承認が実際にいつ起きたのかは分からない(再提出した 08-05 02:48 以降のどこか、としか言えない)。
見た時刻と、起きた時刻を同じ欄に書かないほうがいい。

書いてあったのに防げなかった

ここがこの記事でいちばん効く部分だと思っている。
知らなかった」ではなく、「書いてあったのに防げなかった」からだ。

提出の前に、自分で審査用メタデータのメモにこう書いていた。

「Apple Watch」をキーワードに入れない。 商標名の扱いで弾かれうるため、
サブタイトルと説明文に置いた

指示どおり、キーワード欄には入れなかった。そしてサブタイトルに入れて落ちた。

理由(「商標名の扱いで弾かれうる」)まで書いてある。それでも効かなかった。
原因は書き方だと思っている。

  • 見出しが「キーワードに入れない」だったので、判断の射程がキーワード欄で閉じた

  • しかも同じ文が、サブタイトルを避難先として名指ししていた

「サブタイトルと説明文に置いた」と書くと、
検討した結果そこへ置いたように読める。実際は検討していない。

  • ✗ 「Apple Watch」をキーワードに入れない … 他の欄が対象外に読める

  • ○ Apple 製品名は、名前・サブタイトル・キーワードに書かない … 射程が「対象」で決まる

禁止事項は「どの欄か」ではなく「何を避けるか」で書く。
避難先を書くなら、そこが安全な理由も書く。

これは審査の知識ではなく、記録の書き方の話だ。
同じ形は、社内ルールでも README でもコメントでも起きる。

直して、返信して、そこで丸1日止まった

修正そのものは軽い。バイナリは無変更で、サブタイトルを差し替えるだけ。

指摘は Apple Watch だけだったが、iPhone も自分の判断で外した。
理由は単純で、残したまま次の審査でもう1往復失う代償のほうが大きいと考えたからだ。
最終的に、Apple 製品名を1つも含まない一般語だけの言い回しへ差し替えた(24字 → 12字)。
差し替え後の文言は現在も公開中の文字列なので、ここには書かない。

そして Resolution Center へ返信した。再提出はしなかった。

約1日後、Apple から届いたのがこれだった(原文)。

We appreciate your efforts to comply with the App Review Guidelines. However, in order for
us to proceed with the review of your app, please resubmit the app for review in App Store Connect.

返信だけでは、審査は再開していなかった。

判断を誤らせたもの、その1:メールの記述

リジェクト通知には、メタデータの修正だけなら再提出は不要で、
Resolution Center にメッセージを送れば足りる、という趣旨の記載があった。

そのとおりにした。そして再提出が必要だった。

ひとつ正直に書いておくと、この記述の英語原文を手元に残していない。
記録に残っているのは日本語の要旨だけだ。だからここは引用の形にしていない。
「原文で引ける主張」と「要旨しか残っていない主張」は分けて書くことにしている。

判断を誤らせたもの、その2:押せないボタン

App Store Connect の「App Review に再提出」ボタンがグレーで押せなかった。

押せないことを、押す必要がないことの証拠として使った。
メールが「不要」と言っていて、ボタンも押せない。2つが一致して見えた。

なぜグレーだったのかは、いまも特定できていない。
「変更を保存すると有効になるのではないか」という見立ては持っているが、
その日の記録には、サブタイトルの差し替えを『保存済み』と確認したことと、
ボタンがグレーだったことが同じ朝に並んで書いてある。

だから「未保存だったから」で説明しきれない。分からないものは分からないと書く。

言えるのはここまでだ。

画面の状態は、あなたの解釈の証拠ではない。
押せないボタンは「まだ押せない」しか意味しない。
「押さなくてよい」は、そこから導けない別の主張だ。

保険は立ててあった。それでも動かなかった

返信した日の記録に、こう書いてある。

1〜2日たっても「未解決の問題」のままなら再提出へ切り替える

判断としては正しい。 問題は、その期限が来たときに自分で確認しなかったことだ。
実際に気づいたのは Apple の催促によってで、こちらからは動いていない。

期限を書いた時点で、対処したつもりになっていたのだと思う。
これは自分の解釈で、他人にそのまま当てはまる話ではない。
ただ、対策として書けることは1つある。
期限を決めたら、その期限に自分が確認する予定まで作る。
書いた期限は、誰も見に来なければただの文章だ。

再提出して、承認された

再提出は2件(アプリ本体とアプリ内購入)。翌日に承認を確認し、同じ日に公開した。

提出から公開まで4日かかった(08-02 提出 → 08-06 公開)。
うち約1日は、上の誤読で止まっていた分だ。

ここで承認をサブタイトルの差し替えだけに帰属させることはできない。
返信から再提出までのあいだに、指摘されていない箇所も安全側へ倒している。
落ちたサブタイトルとほぼ同じ言い回しが、説明文の見出しとプロモーション用テキストにも
残っていたため、そちらも Apple 製品名を含まない形へ書き換えた
こちらも現在公開中の文言なので原文は書かない。変更が存在したという事実だけ書く)。

つまり承認された提出物では、変わっていた箇所が3つある。
そして審査は「なぜ通ったか」を開示しない。
「サブタイトルを直したから通った」は、書きたくなるが書けない。

なぜその文言が落ちたのか — 一次資料を自分で開いた

リジェクトの当日は、外部 AI に商標の扱いを調べさせた。
返ってきたのは文書名と節番号だけで、URL は取れなかった。
過去に外部 AI が URL を誤り本文は合っていた例を踏んでいるので、
そのときは二次情報のままとして記録に残した。

2026-08-08 に、Apple の商標ガイドラインを自分で開いて突き合わせた。

ここでもう一度つまずいた。この記事を書いている途中で、手元の記録に書いた
「文書名」そのものが誤っていたことが分かった。

一次資料に当たったときの記録には Apple Trademark Usage Guidelines for Third Parties
と書いてあった。その名前はページに1件も出てこない。
curl で取り直して(HTTP 200。転送量は curl の報告で 118,113 バイト)、
h1 要素(ページの見出し)を抜いて確かめた。
上に書いた名前が、ページにある名前だ。

引用した原文のほうは合っていた。ずれていたのは名札だけだった。
本文が正しいと、名前まで確かめ直す気になりにくい。そこが厄介だった。

該当する記述は3か所あった(原文)。

1. 商標は形容詞で、後ろに製品の一般名を置く(Rules for Proper Use of Apple Trademarks の 1・2・3)

Trademarks are adjectives used to modify nouns; the noun is the generic name of a product or service.

As adjectives, trademarks may not be used in the plural or possessive form.

An appropriate generic term must appear after the trademark the first time it appears in a
printed piece, and as often as is reasonable after that.

2. 製品名の一部にできない(Unauthorized Use of Apple Trademarks)

You may not use or register, in whole or in part, Apple, iPod, iTunes, Macintosh, iMac,
or any other Apple trademark…as or as part of a company name, trade name, product name,
or service name except as specifically noted in these guidelines.

3. 互換性の表明には条件が6つある(Authorized Use of Apple Trademarks の Compatibility)

a. The Apple word mark is not part of the product name.
b. The Apple word mark is used in a referential phrase such as "runs on," "for use with,"
"for," or "compatible with."
c. The Apple word mark appears less prominent than the product name.
d. The product is in fact compatible with, or otherwise works with, the referenced Apple product.
e. The reference to Apple does not create a sense of endorsement, sponsorship,
or false association with Apple or Apple products or services.
f. The use does not show Apple or its products in a false or derogatory light.

これを落ちた文言に当てると、こうなる。

  • 商標の後ろに製品の一般名(原文は the generic name of a product or service)を置く(上記1の 1・3) … 満たしていない。 商標の後ろに続くのは助詞で、そのあとの語も製品の一般名ではない

  • b. 参照フレーズ(for / compatible with など)を伴う … 満たしていない。 助詞「で」でつないだだけ

  • c. Apple の語標がアプリ名より目立たない … 満たしにくい。 サブタイトルは App 名のすぐ下に並ぶ欄だ

ここで、外部 AI に任せた 08-03 の記録と突き合わせておく。
そちらには互換性の条件が3つ書いてあった(製品名の一部にしない/参照フレーズを伴う/
アプリ名より目立たせない)。一次資料には6つある。 残る3つ(d・e・f)が落ちていた。

要約として間違っていたわけではない。足りなかっただけだ。
そして足りない分は、足りないと書かれていないので気づけない。

もうひとつ、原文を条件ごとに並べてはじめて見えたことがある。
c(Apple の語標がアプリ名より目立たない)は、サブタイトルという欄そのものに効く。
サブタイトルは App 名のすぐ下に並ぶ欄なので、「アプリ名より目立たない」を満たしにくい。
ただしこれは私の読みで、Apple がサブタイトルについてそう言っているわけではない。

ここは限定しておく。

  • この文書と App Review Guideline 5.2.5 の関係は、どちらにも明示されていない。
    Apple の指摘文にこのガイドラインの引用は無く、
    「審査がこの文書を根拠にした」とは誰も書いていない

  • ページに更新日が無い。 2026-08-08 に読んだ内容が、
    2026-08-02 の審査時と同じかどうかは確かめられない

持ち帰り

1. リジェクト後は、画面の状態を正とする。
メールが「再提出は不要」と書いていても、未解決のままなら再提出する。
メタデータだけの修正でも同じだ(バイナリを差し替えるなら、元から再提出が要るのでこの混乱は起きない)。

2. 「できない状態」を「しなくてよい理由」に変換しない。
グレーのボタン、出ないメニュー、空のリスト。
それらは「いま操作できない」ことしか示していない。
自分の期待と一致したときほど、証拠として採用したくなる。

3. 禁止事項は「何を避けるか」で書く。
欄の名前で書くと、書いていない欄が対象外に読める。
避難先を書くなら、そこが安全な理由も書く。 書けないなら、そこも危ない。

検証環境と検証日

  • App Store Connect / 個人アカウント(Apple Developer Program)/ 日本のみ配信

  • 提出物:iOS アプリ(Apple Watch 側の画面を同梱)+ 非消耗型のアプリ内購入1つ

  • iOS デプロイメントターゲット 26.0 / watchOS 26.0

  • 審査端末は iPhone 17 Pro Max(Apple の記録による)

  • ビルド環境は macOS 26 / Xcode 26 系。
    当時のビルド番号は記録していない。
    2026-08-08 に手元で実行した値は Xcode 26.6 / Build 17F113、macOS 26.5.2 / Build 25F84

  • 検証日:2026-08-02〜08-06(提出 → リジェクト → 再提出 → 承認 → 公開)。
    商標ガイドラインの原文を自分で開いたのは 2026-08-08

確認していないこと

  • iPhone 単独がガイドライン違反なのかどうか。
    Apple の指摘は Apple Watch のみだった。見逃しの可能性が高いと判断して両方外したので、
    実測は取れないまま終わった

  • 説明文に残した Apple Watch(互換性の記述)が「通った」のか「見られていない」のか。
    少なくとも今回の審査では、箇所ごとの合否は示されなかった

  • 承認をサブタイトルの差し替えだけに帰属させられない。
    承認された提出物では3か所が変わっており、審査は理由を開示しない

  • Apple の商標ガイドラインと App Review Guideline 5.2.5 の関係は明示されていない

  • その商標ガイドラインのページに更新日の表示が無い。
    審査時(2026-08-02)と同じ内容だったかを確かめる手段がない

  • 「メタデータの修正だけなら再提出は不要」という記述の英語原文を残していない。
    手元にあるのは日本語の要旨だけ

  • 再提出ボタンがグレーだった原因。 特定できていない

  • 承認が実際にいつ起きたか。 手元にあるのは「確認した時刻」だけで、発生時刻ではない

  • 参照フレーズを伴う完全な互換性表明(〈アプリ名〉 for iPhone の形)をサブタイトルへ書いた場合に
    通るのか。
    上の6条件のうち b を満たす形だが、試していないので分からない。
    審査の判断基準は公開されていないので、条件を満たせば通ると言い切ることもできない

  • 上の表は、英語で書かれた条件を日本語のサブタイトルへ当てはめた私の読みである。
    ガイドラインの原文は印刷物(printed piece)を想定した英語の規定で、
    日本語の助詞をどう扱うかは書かれていない

  • すべて実測1件。 Apple の審査運用は変わりうるし、
    同じことをして同じ結果になる保証はない

最後に、この記事の内容が手元でどの段階にあるかを書いておく。

  • メタデータだけの修正でも、返信では審査が再開しない」と
    Apple 製品名は名前・サブタイトル・キーワードに書かない」の2つは、
    他のアプリでも使える見込みがあるものとして整理した「候補(CANDIDATE)段階」。
    適用条件と例外は書いたが、どちらも独立したレビューは通っていない

  • 禁止事項を欄の名前で書くと漏れる」は、その1つ前の「RAW 段階」。
    作業中に気づいたことをその場で書いた記録で、独立したレビューを通していない。
    実測としてはリジェクト1件があるが、再発防止として有効かは検証していない

3つとも、アプリ1本での実測に基づくものだ。
2本目で再利用して問題が出なかったことまでは、まだ確認できていない。

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