【ロジカルシンキング】「考えれば考えるほど分からない」から脱出する。仕事を前に進める「仮説思考」の技術
仕事でトラブルが発生したときや、新しい企画・業務改善の案を考えているとき。
「なんでこの問題が起きたんだろう?」 「あっちのパターンも考慮しておいたほうがいいんじゃないか?」 「そもそも、前提となる業務プロセス自体を見直すべきでは…?」
課題解決のために一生懸命思考を巡らせているはずなのに、知らず知らずのうちに疑問や選択肢がどんどん広がり、「あれもこれも気になって、結局何から手を付ければいいのか分からなくなった」という経験はないでしょうか。
思考を重ねているのに一向に結論が出ない。そんなときは、思考が深く掘り下げられているのではなく、単に「疑問に振り回されて迷子になっている」ことがあります。
今回は、疑問を無駄に広げるのをやめ、目の前の問題を解決に向けて前に進めるための「思考の進め方」について詳しく書いてみようと思います。
疑問を広げる人・思考を前に進める人の違い
思考が迷子になる人と、思考を整理してスムーズに行動に移せる人。その違いは、能力の差ではなく「思考のスタート地点」にあります。
1. 疑問を広げて迷子になる人
「何が原因だろう?」「どうすればいいだろう?」と、問い(疑問)を次々と広げるところから思考をスタートします。 情報を集めれば集めるほど、あるいは疑問を洗い出すほど選択肢が増えてしまい、最終的に収拾がつかなくなってしまいます。
2. 解決に向けて思考を前に進める人
「情報がまだ完璧でなくても、たぶん原因は〇〇だ」「今回はA案で進めるのが最善だろう」と、情報が不十分な段階でもまず『仮説(仮の答え)』からスタートします。
「問い」を立てる作業は一見正しく思えますが、実は問いを広げ続けると、それに関連する可能性や派生した疑問が次々と浮かんできてしまいます。
だからこそ、問題を前に進めたいときは「問いを広げ続ける」のをやめ、「まず不完全でもいいから『仮の答え(仮説)』を置いて、それを検証する」という順番に思考を切り替える必要があるのです。
思考を前に進める3つの実践ステップ
では、具体的にどうすれば疑問に振り回されずに、思考をスムーズに解決へ進められるのでしょうか。指導や研修の現場でもお伝えしている、3つの実践ステップをご紹介します。
① 「6割くらいでいい」と割り切り、まず仮説を1つ決める
「まだ情報が足りないから判断できない」「確証が持てない」と立ち止まってしまうことは、思考を前に進めるうえで大きなタイムロスになります。まずは「現時点で一番怪しいのは〇〇だ」「最も効果が高そうなのはこの施策だ」と、仮の答えを1つに絞り込みます。
この仮説は、間違っていても全く問題ありません。ひとつ「仮の基準(仮説)」ができることで、それを確かめるための最小限の行動やリサーチが明確になり、無駄な情報収集や遠回りを防ぐことができます。
② 湧き出た疑問は「今の検証に必須か?」と問いかけ、一旦脇に置く
思考を進める途中で「あ、あっちのパターンも気になるな」「もし失敗したらどうしよう」と新しい疑問が湧いてきたら、一旦ノートやメモ帳に書き出してみましょう。そして、自分にこう問いかけます。
「この疑問は、今日の『仮説の検証』に今すぐ必要なことだろうか?」
今すぐ検証に関係のない枝葉の疑問を「一旦脇に置く(後回しにする)」癖をつけるだけで、思考の脱線や無駄な迷いを劇的に防ぐことができます。
③ 「Why(なぜ)」で終わらせず、「How(どうやって)」へ問いを切り替える
「なぜこんなトラブルが起きたのか?」というWhy(原因)を掘り下げることは、問題の原因を知るうえで必要なプロセスです。
しかし、Whyだけを何度も繰り返していると、いつの間にか「誰のミスだったのか」「なぜこんな事態になったのか」といった過去への原因追及ばかりに思考が偏り、感情的になってしまうことがあります。
Whyは「原因を知るため」の問い。Howは「次の行動を決めるため」の問いです。
ある程度原因の見当がついたら、すぐに「じゃあ、明日からどうやって(How)防ぐか?」と未来の行動に問いを切り替えましょう。問いの語尾を「How」に変えるだけで、思考は具体的なアクションプランへと一気に進みます。
思考の黄金順:「広げる ➔ 仮説を置く ➔ 絞る」
「深く考える」というと、あらゆる可能性やリスクを漏れなく網羅することだと思われがちです。
もちろん、最初から選択肢を狭めすぎると大切な見落としにつながることもあります。だからこそ、思考においては「広げる ➔ 仮説を置く ➔ 絞る」という流れを意識することが重要になります。
広げる:どんな可能性や選択肢があるかをサッと眺める
仮説を置く:「今回はこれが一番可能性が高い」と仮の答えを決める
絞る:必要な情報に絞り、解決策を具体化していく
実務において求められる優れた思考とは、無限に疑問を広げて悩むことではありません。不要な選択肢を削ぎ落とし、解決に向けた実行可能なアクションへと絞り込んでいくプロセスそのものなのです。
今日から使える「仮説スタート」の3つの問い
最後に、迷ったときにすぐ使える「振り返り用の問い」を3つにまとめました。ノートや手帳の隅にメモして、思考が止まったときに見返してみてください。
①「現時点で、一番可能性が高い『仮の答え』は何だろう?」 (➔ 6割の精度でいいので仮説を置く)
②「この疑問は、今日の検証に今すぐ必要なことだろうか?」 (➔ 無駄な枝葉の脱線を防ぐ)
③「じゃあ、明日からどうやって(How)確かめようか?」 (➔ 未来のアクションへ切り替える)
最後に:仮説は「正解」ではなく、思考を前に進めるための足場
仕事や業務の整理をしていて「考えれば考えるほど分からなくなってきたな」と感じたときは、一度ペンを置き、深呼吸をしてこう自分に問いかけてみてください。
「で、現時点で自分なりに思う一番怪しい『仮の答え』は何だろう?」
仮説は決して「絶対に当たる正解」である必要はありません。思考を途切れさせず、前に一歩進めるための「足場」のようなものです。
この問いかけ一つで、広がりすぎて散らかった思考の霧が一気に晴れ、今やるべき次の第一歩がくっきりと見えてくるはずです。
次に壁にぶつかったときは、ぜひ「仮説スタート」の思考法を試してみてください!
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