FIFAワールドカップ2026 準々決勝の見どころ【日本時間・7月11日】スペインvsベルギー
ワールドカップ2026、準々決勝の第2試合は、日本時間7月11日のスペイン×ベルギー。実はこの両国、40年前の1986年大会でも、同じ準々決勝で対戦しています。
当時は1-1のままPK戦にもつれ、ベルギーが5-4で勝利。スペインの夢を止め、そのまま当時最高成績となるベスト4へと駆け上がりました。あれから40年、今度は大会5試合を1点も失っていない「無失点のスペイン」に、アメリカを4-1で退けた「攻めるベルギー」が挑みます。40年前の借りを返したいスペインか、再び準々決勝でスペインを退けたいベルギーか。勝者は準決勝でフランスと対戦します。
※選手名の前に付く「#10」などは、すべて背番号です。
この日の試合
準々決勝2日目は、スペイン×ベルギーの1試合です。注目したいのは、単純な「守備対攻撃」だけではありません。
スペインは35試合無敗。代表チームでありながら、年代別代表から同じ選手を知るデ・ラ・フエンテ監督のもと、クラブチームのような共通理解で試合を進めます。一方のベルギーは、ラウンド16でデ・ブライネ、ドク、ルカクという主力3人を先発から外し、デ・ケテラーレを中央に置く大胆な変更でアメリカに4-1と勝利しました。名前よりも、その試合に合う「機能」を優先したガルシア監督が、スペイン相手にどんな11人を選ぶのか。完成度のスペインか、変化を恐れないベルギーか。ここが最初の見どころです。
(カッコ内はFIFA公式ランキング・2026年6月11日版です)
スペイン(2位)vs ベルギー(9位)
日本 7/11 4:00 / 現地 7/10 12:00・SoFi(ロサンゼルス)

この試合は、単純な矛と盾ではありません。スペインは自陣で耐える守備ではなく、前線から相手の攻撃を消し、シュートまで運ばせないチームです。ベルギーもボールを握り続けて押し込むというより、相手のミスや守備のずれを、デ・ケテラーレらが容赦なく得点へと変えてきました。攻撃させないスペインか、わずかな綻びを得点に変えるベルギーか。試合の焦点は、ベルギーが限られた攻撃機会をどこまで正確に仕留められるかにあります。
30秒でわかる構図
スペイン:デ・ラ・フエンテ監督のもと、主将ロドリ(#16)が中盤の底を締め、ヤマル(#19)・ペドリ(#20)が創造性を担い、オヤルサバル(#21)が仕留めます。GKシモン(#23)を中心に、大会5試合を無失点で勝ち上がってきました。
ベルギー:ガルシア監督のもと、デ・ケテラーレ(#17)が偽9番で躍動し、デ・ブライネ(#7)が創造性を、主将ティーレマンス(#8)が中盤を支えます。ただし中盤の要オナナ(#24)を前十字靭帯断裂で欠き、中盤の再編を迫られています。
懸かるもの:勝者がベスト4(準決勝)へ進み、準決勝ではフランスと対戦します。大会無失点を続けるスペインが順当に勝ち上がるのか、勝負強さを増したベルギーが番狂わせを起こすのか。
注目選手
【スペイン】
#19 ラミネ・ヤマル(FW/バルセロナ(スペイン)):18歳の若きスター。右サイドから引いた相手を切り裂く仕掛けは、この試合でもスペイン最大の崩しの武器です。ロースコアが予想される一戦で、彼の一瞬のひらめきが均衡を破る鍵になります。
#21 ミケル・オヤルサバル(FW/レアル・ソシエダ(スペイン)):勝負どころで決め切るフィニッシャー。ラウンド32のオーストリア戦では2得点を挙げるなど、決定力は本物。少ない好機を確実にものにできるかが問われます。
#6 ミケル・メリーノ(MF/アーセナル(イングランド)):ポルトガル戦では、同じく途中出場のフェラン・トーレスのパスから91分に決勝点を挙げた「後半の答え」。膠着した試合でもゴール前へ入り込み、結果を残せる選手です。先発だけでなく、ベンチから試合を動かせるスペインの選手層の厚みを象徴します。
【ベルギー】
#17 シャルル・デ・ケテラーレ(FW/アタランタ(イタリア)):この大会で一気に主役へと駆け上がったアタッカー。ミランでは1シーズン公式戦40試合無得点と苦しみましたが、その後アタランタへの移籍を機に才能を開花させました。ラウンド16のアメリカ戦では2得点1アシストの大暴れ。偽9番として流動的に動き、スペインの堅い最終ラインをこじ開ける、ベルギー最大の希望です。挫折を知る男が、優勝候補を相手にどこまで暴れるか。
#7 ケビン・デ・ブライネ(MF/ナポリ(イタリア)):黄金世代を象徴する司令塔。中盤からの配球とラストパスは今も世界最高峰です。アメリカ戦では先発を外れましたが、これが最後のワールドカップになる可能性が高い一人。先発でも途中からでも、その一本のパスが試合を動かします。
#8 ユーリ・ティーレマンス(MF・主将/アストン・ビラ(イングランド)):ラウンド32のセネガル戦では終盤の2発で大逆転を演出したキャプテン。支柱を失った中盤で、彼がどれだけ舵取りと潰しを担えるかが、ベルギーの生命線になります。
戦術と強み・急所
スペインの強み:無失点の理由は、GKシモンがスーパーセーブを連発しているからではありません。シモンが5試合で必要としたセーブはわずか6本。前線からのプレスと、ロドリ、クバルシ、ラポルトらの危険察知によって、相手の攻撃をシュートに至る前に消しています。「守り切る」というより「そもそも攻撃させない」——それがスペインの守備の本質です。
スペインの急所:引いて固める相手を崩す効率。ラウンド16ではポルトガル相手も90分間スコアレスで、決勝点はロスタイムの途中出場者でした。決定力の波は残ります。
ベルギーの強み:デ・ケテラーレ、トロサール、ドクら個の質と、土壇場での勝負強さ。ラウンド32のセネガル戦では0-2から3-2へと逆転してみせました。組織で圧倒するのではなく、一瞬のひらめきと勝負度胸で試合をひっくり返せるチームです。
ベルギーの急所:中盤の再編と、試合序盤の不安定さ。ラウンド32のセネガル戦では前半に2失点、ラウンド16のアメリカ戦でも先制直後に追いつかれるなど、立ち上がりの流れを安定させ切れていません。
各国のいま
スペインは、グループHを3戦無失点で1位通過し、ラウンド32ではオーストリアを3-0、ラウンド16ではポルトガルを1-0で下しました。これでスペインのワールドカップでの連続無失点時間は560分に達し、従来記録を更新しました。直前情報として大きな欠場者は伝えられておらず、主力をそろえてこの一戦に臨む見通しです。
ベルギーは、グループGを1位で通過し、ラウンド32ではセネガルに3-2の逆転勝ち、ラウンド16ではアメリカを退けました。デ・ケテラーレの台頭で攻撃が復調しています。ただし直前情報として、中盤の要アマドゥ・オナナが前十字靭帯(ACL)断裂で大会を終えるという大きな痛手を負いました。その成功した形を続けるのか、デ・ブライネやルカクを先発に戻すのか。ガルシア監督が彼らをどのタイミングで使うかが、この試合の焦点です。
かみ合わせ分析
ガルシア監督の先発選考:アメリカ戦では主力3人を外し、デ・ケテラーレを中央に置く変更が的中しました。成功した形を維持するのか、デ・ブライネ、ドク、ルカクを先発に戻すのか——ベルギーのスタメン発表そのものが、この試合最初の見どころになります。
スペインの中盤支配 × 潰し役を失ったベルギーの中盤:この一戦の分水嶺です。ロドリとペドリが握る中盤に対し、ベルギーがどこまで対抗できるか。ここを支配されると、ベルギーは守勢に回り続けます。
デ・ケテラーレ × スペインの最終ライン:ラポルト・クバルシを中心とした守備を、好調のデ・ケテラーレがこじ開けられるか。もし破れれば、それはスペインの大会初失点となります。
脚の消耗 × 移動の消耗:ここまでの5試合で、両者に溜まったものは対照的です。脚の消耗は、延長120分を戦ったベルギーの方が重い(ラウンド32のセネガル戦、0-2からの逆転で主力を最後まで走らせ、決勝点はティーレマンスの120分+5分)。一方、移動の負担はスペインの方が大きい。スペインはアトランタ(東部)から、標高の高いグアダラハラ(メキシコ)、ロサンゼルス(西部)、ダラス(中部)を経て、再びロサンゼルスへと大陸を横断してきました。対するベルギーは、シアトル・ロサンゼルス・バンクーバーと大会の大半を太平洋沿岸で過ごし、時差移動がほとんどありません。疲れた脚のベルギーか、移動で削られたスペインか。数字には表れにくい消耗の差が、終盤の運動量と集中力を左右します。
総じて:ボール支配で上回るスペインが主導権を握る展開を本線に見ています。ベルギーはデ・ケテラーレの個で応じますが、中盤の穴が90分を通じて重くのしかかりそうです。スペインが少ない好機を仕留めて勝ち切る——それを本線に見ています。
会場とコンディション
SoFiスタジアム(ロサンゼルス/イングルウッド)は、半透明の大屋根がスタジアム全体を覆う一方、側面が開いた半屋外型の会場です。直射日光の影響は抑えられますが、密閉ドームのような完全な空調管理下ではなく、現地正午キックオフのため外気温の影響も無視できません。どちらのホームでもない中立の舞台で、両チームともラウンド16から中3日と休養条件は同じ。技術や戦術だけでなく、運動量の配分も重要になります。ボールを保持して主導権を握りたいスペインにとっては、力を発揮しやすい舞台といえます。
もし今、笛が鳴ったら
スペインがボールを支配し、ベルギーが個の質で応じる展開を予想します。スペインは引いた相手を崩す効率にやや苦労しますが、ヤマルの仕掛けやセットプレーから、オヤルサバルが先制。後半、ベルギーはデ・ケテラーレを軸に反撃し、ドクのドリブルで圧力を強めますが、中盤の穴が響き、決定機を作り切れない。スペインの堅い最終ラインとGKシモンが無失点を死守し、終盤に押し込んだスペインがヤマル周辺から追加点——2-0で振り切る、そんな筋書きを本線に見ます。もっとも、好調のデ・ケテラーレが一発で記録を破れば、試合は一気に分からなくなります。
予想スコア:スペインが 2-0 で勝利
予想得点者:オヤルサバル、ヤマル(スペイン)
注目ポイント:ベルギーの先発選考、スペインの無失点記録が続くか、デ・ケテラーレがそれを破れるか、ヤマルの仕掛け
※あくまで個人的な予想です
見どころ
男子ワールドカップの歴代優勝国をさかのぼっても、1試合も失点せずに頂点へ立ったチームは一度も存在しません(最少失点の王者はスペイン2010・イタリア2006・フランス1998で、いずれも大会通算2失点)。スペインがこのまま無失点で勝ち進み優勝すれば、それはワールドカップ史上初の快挙になります。だからこそ、この鉄壁がどこまで続くのかは、優勝争い全体を占ううえでも見逃せません。
一方のベルギーには、別の物語があります。デ・ブライネ、ルカク、クルトワ——2018年に3位まで上り詰めながら、ついに頂点に届かなかった“黄金世代”。その多くにとって、これがおそらく最後のワールドカップです。新世代の象徴ヤマル(18)が輝くスペインに対し、たそがれゆく黄金世代が最後の意地を見せられるか。さらにクルトワにとって、スペインは11年間暮らしてきた「第二の故郷」。スペインを誰よりもよく知るベルギーの守護神が、そのスペインの夢を止める側に立つという構図も、この一戦に奥行きを与えます。史上初へ歩むのか、黄金世代が押し返すのか。
最後に
準々決勝も折り返し、ベスト4を懸けた戦いはますます濃密になってきました。スペイン×ベルギーは、大会5試合を無失点で勝ち上がった優勝候補に、攻撃力を取り戻したベルギーが挑む一戦。40年前の準々決勝でスペインを退けたベルギーにとっては歴史の再現を狙う戦いであり、スペインにとっては無失点優勝という史上初の快挙へ歩を進める戦いでもあります。延長を勝ち抜いてきたベルギーの脚と、大陸を横断してきたスペインの移動——見えにくい消耗の綱引きも含めて、たった一つの決定機、あるいは鉄壁が破られる瞬間が、勝敗を分けるかもしれません。ノックアウトならではの緊張感を、じっくり味わいたい一戦です。
【マガジンのご紹介】
ワールドカップに関する記事はこちらにまとめています。
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