FIFAワールドカップ2026 5日目の見どころ【日本時間・6月16日】スペインvsカーボベルデ/ベルギーvsエジプト/サウジアラビアvsウルグアイ/イランvsニュージーランド
ワールドカップ5日目(日本時間6月16日)は、4つの物語が重なる夜です。史上初めてワールドカップの舞台に立つカーボベルデ。16年ぶりに帰ってきたニュージーランド。スアレスのいない新しいウルグアイ。そして、自分の誕生日にピッチへ立つエース——。グループG・Hの8カ国が、いっせいに初戦を迎えます。派手なビッグネーム対決もいいですが、僕はこういう「それぞれの物語を背負った初戦」が、実はいちばん面白いと思っているんです。
※選手名の前に付く「#7」などは、すべて背番号です。
この日の試合(日本時間/現地時間)
スペイン(2位)vs カーボベルデ(67位)|日本 6/16(火)1:00 / 現地 6/15(月)12:00 |メルセデス・ベンツ・スタジアム(アトランタ)|グループH
ベルギー(9位)vs エジプト(29位)|日本 6/16(火)4:00 / 現地 6/15(月)12:00 |ルーメン・フィールド(シアトル)|グループG
サウジアラビア(60位)vs ウルグアイ(17位)|日本 6/16(火)7:00 / 現地 6/15(月)18:00 |ハードロック・スタジアム(マイアミ)|グループH
イラン(20位)vs ニュージーランド(85位)|日本 6/16(火)10:00 / 現地 6/15(月)18:00 |SoFiスタジアム(ロサンゼルス)|グループG
(カッコ内はFIFA公式ランキング・2026年6月11日版)
スペイン(2位)vs カーボベルデ(67位)
日本 6/16 1:00 / 現地 6/15 12:00・メルセデス・ベンツ・スタジアム(アトランタ)

優勝候補の一番手と、史上初出場の小国。FIFAランクは2位と67位。数字だけ見れば一方的なカードに見えます。でも、この試合には「2つの新しさ」が同居しているんです。ひとつは、ワールドカップ本大会のスペイン代表としては史上初とされる、レアル・マドリードの選手がひとりもいない編成——新しい黄金世代が、欧州王者として大会に乗り込んできた。もうひとつは、人口わずか52万人ほどの大西洋の島国カーボベルデが、サッカーの歴史にはじめて自分の名前を刻む瞬間。強さの頂点と、夢の入り口が、アトランタで交わります。
30秒でわかる構図
スペイン:4-3-3。EURO2024を制した欧州王者。ロドリ(#16)をアンカーに、ペドリ(#20)とファビアン・ルイス(#8)が中盤を支配し、両翼にヤマル(#19)とニコ・ウィリアムス(#17)。ボール保持で相手を窒息させる、現代サッカーの完成形に近いチーム。グループ1位通過が大前提。
カーボベルデ:堅いブロックを組み、奪ったらロングカウンターという現実的なプラン。26人の多くがポルトガルなど欧州各国でプレーする「ディアスポラ(移民)」の選手たち。守ってこそ生きるチーム。
懸かるもの:スペインは得失点差を意識した大量得点。カーボベルデは「世界に何を示せるか」。初出場の初戦は、結果以上の意味を持ちます。
注目選手
【スペイン】
#19 ラミネ・ヤマル(FW/バルセロナ(スペイン)):18歳。すでに世界最高クラスの右ウインガーで、右サイドから内側へ切れ込む形と、味方を一発で決定機に届けるパスが武器。バルサ終盤を負傷で離脱していたが代表に合流し、練習にも復帰した。先発できればカーボベルデ守備陣の最大の脅威になる。
#16 ロドリ(MF/マンチェスター・シティ(イングランド)):中盤の底からチーム全体を制御する司令塔。攻守の「呼吸」を一人で整えられる稀有な選手で、スペインが安定して試合を支配できるかは彼の出来にかかる。
#17 ニコ・ウィリアムス(FW/アスレティック・クルブ(スペイン)):左サイドのスピードスター。縦への突破とカットインの両方を持ち、ヤマルとは逆サイドで相手最終ラインを押し下げる。EURO2024決勝でも得点した勝負強さがある。
【カーボベルデ】
#5 ローガン・コスタ(DF/ビジャレアル(スペイン)):スペイン1部で揉まれる守備の柱。空中戦と対人の強さで、スペインの分厚い攻撃をどれだけ跳ね返せるかがチームの生命線になる。皮肉にも、相手国のリーグで鍛えられた選手だ。
#20 ライアン・メンデス(FW・主将/イウディル・FK(トルコ)):チームを束ねる主将。長く代表を引っ張ってきた経験値で、歴史的な初戦のプレッシャーをまとめる役割を担う。
#1 ボジーニャ(GK):39歳のベテラン守護神で、副キャプテン。この試合では「失点をどれだけ遅らせられるか」という重い仕事を任される、チームの精神的支柱。
戦術と強み・急所
【スペイン】
攻めの特徴:ロドリを起点にボールを保持し、ペドリが中盤で前を向く。両翼のヤマル・ニコが幅をとって1対1を仕掛け、フェラン・トーレス(#7)が中央で仕留める。サイド総攻撃が基本形。
急所:あえて挙げれば、引いて守る相手をこじ開けるまでの時間と、奪われた直後の背後のスペース。ただしカーボベルデにそこを突く速さがあるかは未知数。
【カーボベルデ】
攻めの特徴:奪ってから手数をかけず、ジョヴァーネ・カブラル(#7)やヌーノ・ダ・コスタ(#21)のスピードで一気に前へ。セットプレーも数少ない得点機会として大切にする。
急所:90分間スペースを消し続ける集中力。一度ブロックが間延びすると、スペースの達人たちに連続で崩されるリスクがある。
各国のいま
【スペイン】
ワールドカップ本大会では史上初とされるレアル・マドリード勢ゼロの編成が話題ですが、デ・ラ・フエンテ監督は迷いなくバルサ中心の若い骨格を選びました。最大の懸案はヤマルのコンディション。先発か途中出場かは当日の判断になりますが、層が厚いだけにチームとしての強さは揺らぎません。
【カーボベルデ】
「ブルー・シャークス(青いサメ)」の愛称を持つ彼らにとって、この大会はすべてが初体験。それでも、チームには静かな自信があります。
「我々は小さな国だ。でも、小さいのは地図の上だけ——小さな国だが、大きな心を持っている」
——ブビスタ(カーボベルデ代表監督)
かみ合わせ分析
スペインの強み(保持と両翼の1対1)× カーボベルデの急所(守り続ける負担):時間とともにスペースは生まれ、スペインが複数得点を奪う公算が高い。前半のうちに先制できれば大差にもつながりやすい。
カーボベルデの強み(割り切った守備とカウンター)× スペインの急所(背後のスペース):前半を無失点でしのげれば、カウンターやセットプレーから一矢報いる目も出てくる。まずは「失点を遅らせること」が現実的な目標になる。
総じて:スペインが支配する展開がほぼ確実。ただし、カーボベルデが何分間ゴールを守れるか——その「耐久の時間」そのものが、この試合の本当の見どころになる。
会場とコンディション
メルセデス・ベンツ・スタジアム(アトランタ)は開閉式屋根付き。現地正午のキックオフだが、屋根を閉じれば気温・湿度の影響は最小限に抑えられる。中立地での一戦で、両チームに会場アドバンテージはなく、純粋に力がぶつかる条件が整っている。
もし今、笛が鳴ったら
立ち上がりからスペインがボールを支配し、カーボベルデは自陣に5バック気味のブロックを敷く——その構図で始まるはずです。スペインはヤマルとニコの仕掛けで再三サイドを破り、20〜35分のどこかでフェラン・トーレスが押し込んで先制。前半を1点で折り返したカーボベルデは後半も粘りますが、運動量が落ちる60分以降に2点目・3点目を許す。カーボベルデはカウンター1本に望みを託しますが、スペインの最終ラインは堅く、得点の質を作るのは難しい——という展開を本線に見ています。
予想スコア:3-0
予想得点者:ヤマル、フェラン・トーレス、ニコ・ウィリアムス(スペインの両翼と1トップ。直近で得点に絡む選手)
注目ポイント:カーボベルデが何分まで無失点で耐えられるか、ヤマルが先発から違いを作るか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
この試合のいちばんの見どころは、カーボベルデという国の物語そのものです。アフリカ大陸の西、大西洋に浮かぶ10の島々。人口は約52万人——日本の一つの市ほどの規模の国が、世界48カ国の一員として、欧州王者の前に立つ。ブビスタ監督の「小さいのは地図の上だけ」という言葉には、長い歴史の重みが詰まっています。結果は厳しいかもしれない。それでも、彼らがアトランタのピッチで何を示すのか——勝敗の数字だけでは測れないものが、ここにはあります。そしてスペイン側も、レアル・マドリードなしで欧州王者がどんな完成度を見せるのか、新しい時代の幕開けとして注目です。
ベルギー(9位)vs エジプト(29位)
日本 6/16 4:00 / 現地 6/15 12:00・ルーメン・フィールド(シアトル)

黄金世代の残り火と、誕生日のエース。そんな言葉が似合うカードです。ベルギーはデ・ブライネ、クルトワという「黄金世代」の中心がまだ健在で、最後の輝きをこの大会に懸けます。一方のエジプトは、すべてがモハメド・サラーを中心に回るチーム——そしてこの試合の現地6月15日は、ちょうどサラーの34歳の誕生日です。自らの記念日に、世界の舞台でどんなプレーを見せるのか。格上ベルギーに対し、堅守のエジプトが「サラーの一発」で何を起こせるかが焦点です。
30秒でわかる構図
ベルギー:4-2-3-1。ルディ・ガルシア監督がデ・ブライネ(#7)を中心に再編。クルトワ(#1)という世界最高峰のGKを最後尾に置き、ドク(#11)の独走とトロサール(#10)の決定力で攻める。個の総合力はグループG最強。
エジプト:コンパクトな中盤ブロックで守り、奪ったらサラー(#10)に預けてカウンター。予選では9試合でわずか2失点、7度のクリーンシートを記録した堅守が看板で、ハッサン監督の規律が浸透している。
懸かるもの:両者ともグループGの初戦。ベルギーは格上として勝ち点3を、エジプトは「強豪相手に守り切って勝ち点を持ち帰る」ことを狙う。
注目選手
【ベルギー】
#7 ケビン・デ・ブライネ(MF/ナポリ(イタリア)):言わずと知れた世界屈指の司令塔。一本のパスで試合を決められる選手で、エジプトが引いて守るほど、その精度の高いラストパスが生きてくる。目の負傷を抱えての大会入りで、コンディションは当日の鍵。
#11 ジェレミー・ドク(FW/マンチェスター・シティ(イングランド)):左サイドの爆発的なドリブラー。1対1で相手を置き去りにするスピードと細かいタッチが武器で、エジプトの右サイドを単独でこじ開けられる。
#1 ティボー・クルトワ(GK/レアル・マドリード(スペイン)):191cmの巨体を誇る世界最高峰の守護神。サラーの一撃を止められるかどうかが、この試合のひとつの分岐点になる。
【エジプト】
#10 モハメド・サラー(FW・主将/リバプール(イングランド)):エジプトの絶対的エース。右サイドから内側へ切れ込んで左足で仕留める形は世界的に知られ、守ってカウンターという戦い方に最も合うストライカーだ。代表得点記録の更新も目前で、誕生日に花を添えたい。
#22 オマル・マルムーシ(FW/マンチェスター・シティ(イングランド)):サラーと並ぶもう一枚の刃。スピードと決定力を備え、相手が前がかりになった裏のスペースを突ける。サラーへの警戒が厚いぶん、彼が空く局面は十分にある。
#1 モハメド・エル・シェナウィ(GK/アル・アフリ(エジプト)):守備で勝つチームの最後尾を任されるベテラン。予選で7度のクリーンシートを記録した堅守は、彼のセービングにも支えられている。
戦術と強み・急所
【ベルギー】
攻めの特徴:デ・ブライネの配球を起点に、ドク・トロサールの両翼が幅と深さをとる。デ・ケテラーレ(#17)が1トップで起点を作り、オナナ(#24)とティーレマンス(#8)が中盤の底を支える。
急所:最終ラインの構成。主力CBのデバスト(#2)を負傷で欠き、守備の安定にやや不安が残る。サラーの速さに背後をとられる場面は警戒が必要。
【エジプト】
攻めの特徴:自陣で我慢して守り、ボールを奪ったら最短距離でサラーへ。サラーとマルムーシのスピードを生かした2枚のカウンターが、数少ない、しかし鋭い得点の形になる。
急所:攻撃の多くがサラー頼みになりやすいこと。サラーを複数人で封じられると、前線でボールが収まらず、守勢の時間が延びる。
各国のいま
【ベルギー】
デ・ブライネ(目の負傷)、ルカク(コンディション面で先発は不透明)と、主力が万全でない状態での大会入り。それでもガルシア監督はデ・ブライネを中心に据える方針で、黄金世代の経験に懸けています。クルトワという別格の守護神が戻ったことは、前回大会からの明確な上積みです。
【エジプト】
ハッサン監督のもとで「守ってサラーで勝つ」スタイルが固まっています。サラーは4月にハムストリングを痛め、ブラジルとの強化試合(6月)ではベンチスタートでしたが、コンディションは上向き。先発するなら、誕生日の大舞台です。
「厳しいグループなのは分かっている。でも、自分たちは希望を持っている」
——モハメド・サラー(エジプト代表主将)
かみ合わせ分析
ベルギーの強み(デ・ブライネの配球+両翼の個)× エジプトの急所(サラー以外の攻め手の薄さ):ベルギーが保持して押し込めば、エジプトは守勢が長くなる。デ・ブライネの一本がブロックの隙間を通った瞬間に試合は動く。
エジプトの強み(堅守+サラーのカウンター)× ベルギーの急所(CB不在の最終ライン):エジプトが我慢して0-0の時間を延ばし、サラーの一撃でベルギーの不安定な背後を突く——これがエジプトの描く理想図だ。
総じて:個の質でベルギーが上回るが、エジプトの堅守とサラーの存在で、簡単な試合にはならない。少ない得点を争う締まった展開を見ています。
会場とコンディション
ルーメン・フィールド(シアトル)は開放式。シアトルの6月は比較的涼しく湿度も穏やかで、現地正午のキックオフでも消耗は大きくない。両チームとも力を出し切れる、フェアなコンディションが見込まれる。
もし今、笛が鳴ったら
エジプトが4-4-2でコンパクトに構え、ベルギーがボールを持つ——立ち上がりはその構図です。ベルギーはドクが左サイドで再三仕掛け、デ・ブライネが右や中央から鋭いパスを通そうとする。エジプトは粘り強く跳ね返し、前半を0-0で折り返したい。後半、ベルギーが手数を増やす中で、60分前後にデ・ブライネの配球やドクの仕掛けから、デ・ケテラーレが先制。エジプトはサラーにボールを集め、カウンターから1点を返すが、最後はベルギーが個の力で振り切る——という展開を予想します。サラーが誕生日に一矢報いる場面は、十分にありえます。
予想スコア:2-1
予想得点者:ドク、デ・ケテラーレ(ベルギー)、サラー(エジプト)
注目ポイント:サラーが誕生日に得点できるか、CB不在のベルギー最終ラインがサラーの速さを抑えられるか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
サラーにとって、これはおそらくキャリア最後のワールドカップになる可能性が高い一戦です。しかも舞台は自分の誕生日。エジプトの全国民が、彼のプレーひとつに一喜一憂するでしょう。一方のベルギーは、デ・ブライネ世代の「最後の挑戦」。かつて「黄金世代」と呼ばれながら大きなタイトルに手が届かなかった彼らが、ベテランになった今、何を見せるのか。個人的に注目したいのは、サラー対クルトワの構図です。プレミアリーグでも何度も対峙してきた2人が、ワールドカップの舞台で、しかもサラーの誕生日に交わる。サッカーは、こういう巡り合わせがあるからたまりません。
サウジアラビア(60位)vs ウルグアイ(17位)
日本 6/16 7:00 / 現地 6/15 18:00・ハードロック・スタジアム(マイアミ)

名将ビエルサが率いる、生まれ変わった南米の古豪。そして、2022年に世界を揺らした中東の伏兵。ウルグアイは長年チームを支えたルイス・スアレスが代表を去り、フェデリコ・バルベルデを新たな中心に据えた「新時代」のチームです。指揮するのは、独特の哲学で知られるマルセロ・ビエルサ。一方のサウジアラビアは、4年前のカタール大会で優勝国アルゼンチンを破った記憶を持つ国。格上ウルグアイに対し、組織と勢いでどこまで食らいつけるかが問われます。
30秒でわかる構図
ウルグアイ:4-3-3。ビエルサ流の高い強度と規律が浸透。バルベルデ(#8)、ベンタンクール(#6)、ウガルテ(#5)の強力な中盤がボールを刈り取り、ヌニェス(#9)が前線で体を張る。守備から攻撃への切り替えが速い。
サウジアラビア:4-2-3-1。国内リーグ(サウジ・プロリーグ)の選手が中心で、主将サレム・アル・ドウサリ(#10)が攻撃の核。組織的に守り、ホームのような中東サポーターの後押しを受けて一発を狙う。
懸かるもの:グループHはスペインが頭ひとつ抜けており、この一戦は事実上「2位争い」の前哨戦。落とせば突破が一気に苦しくなる、重い90分だ。
注目選手
【ウルグアイ】
#8 フェデリコ・バルベルデ(MF/レアル・マドリード(スペイン)):27歳。レアル・マドリードでも主軸を張る、走力・強度・シュート力をすべて備えたMF。スアレスが去った今、名実ともにウルグアイの「主役」になった。中盤の上下動で試合を支配する。
#9 ダーウィン・ヌニェス(FW/アル・ヒラル(サウジアラビア)):規格外のスピードとパワーを持つ1トップ。決定機の多さと、外す場面の多さが同居する「爆発力型」のストライカーで、ハマった日は手がつけられない。皮肉にも今は相手国・サウジのリーグでプレーする。
#23 フェルナンド・ムスレラ(GK/エストゥディアンテス(アルゼンチン)):39歳。一度は代表を退いたが、ビエルサに請われて復帰した大ベテラン。これが5度目のワールドカップという、生きる伝説だ。
【サウジアラビア】
#10 サレム・アル・ドウサリ(FW・主将/アル・ヒラル(サウジアラビア)):サウジの攻撃のすべてを背負う主将。2022年大会では優勝国アルゼンチンから決勝点を奪った男で、左足の振りの速さと一瞬の仕掛けが武器。
#9 フィラス・アル・ブライカン(FW/アル・アハリ(サウジアラビア)):前線で体を張る1トップ候補。アル・ドウサリの仕掛けに合わせて飛び込む、数少ない高さと強さのある的になる。
#12 サウド・アブドゥルハミド(DF/RCランス(フランス)):チームで唯一の欧州組(フランス1部)。欧州の強度を知る右サイドバックとして、ウルグアイの速い攻撃に対峙する重要な役割を担う。
戦術と強み・急所
【ウルグアイ】
攻めの特徴:中盤3枚の強度でボールを奪い、デ・アラスカエタ(#10)の創造性とヌニェスの裏抜けで一気に仕留める。ビエルサ特有の積極的な前からのプレスで、相手にゆっくり持たせない。
急所:前がかりになった背後のスペースと、中盤のカード管理。ウガルテは激しい球際でチームに強度を与える一方、警告がかさむと中盤の圧力が落ちるリスクがある。
【サウジアラビア】
攻めの特徴:自陣で受け止め、アル・ドウサリの個の仕掛けと、素早いショートカウンターで前へ。セットプレーも数少ない得点機会として重視する。
急所:ウルグアイの強度の高いプレスを受けたときのビルドアップ。国内組中心ゆえ、欧州・南米トップクラスのインテンシティへの対応は試合の入りが鍵になる。
各国のいま
【ウルグアイ】
スアレスという象徴が去り、バルベルデを軸にした世代交代が進んでいます。ビエルサ監督は自身の進退にも踏み込む発言をしており、退路を断ってこの大会に臨む空気があります。ムスレラの復帰招集も含め、「ベテランの経験」と「新時代の力」をどう融合させるかが見どころです。
【サウジアラビア】
ドニス監督のもと、国内組を中心とした組織づくりを進めてきました。2022年にアルゼンチンを破った成功体験は、今も選手たちの自信の源です。格上相手に守ってチャンスをうかがう、現実的なプランで臨みます。
「私の仕事は、このワールドカップで終わる」
——マルセロ・ビエルサ(ウルグアイ代表監督)
かみ合わせ分析
ウルグアイの強み(中盤の強度+ヌニェスの裏抜け)× サウジの急所(プレス下のビルドアップ):ウルグアイが高い位置で奪い、手数をかけずに仕留める形がハマりやすい。サウジが落ち着いてボールを運べないと、一方的な時間が続く。
サウジの強み(アル・ドウサリの個+ホーム的後押し)× ウルグアイの急所(前がかりの背後):アル・ドウサリが一瞬のスキを突き、ウルグアイがプレスで空けた背後を速く使えれば、伏兵の一撃は生まれうる。
総じて:個と組織の総合力でウルグアイが優位。ただしサウジの「守って一発」は2022年に実証済みで、立ち上がりにウルグアイが雑に入れば、波乱の入り口は開く。
会場とコンディション
ハードロック・スタジアム(マイアミ)は開放式で、6月のフロリダは高温多湿。現地18時のナイトゲームでも蒸し暑さは残り、給水ブレークが入る可能性もある。後半の運動量が落ちる時間帯に、どちらが体力を残せているかが結果を左右しそうだ。ビエルサ流のハイインテンシティには、この暑さは小さくない試練になる。
もし今、笛が鳴ったら
ウルグアイが高い位置からプレスをかけ、サウジが自陣で耐える——立ち上がりはその構図でしょう。バルベルデとベンタンクールが中盤を制圧し、サウジはなかなか前進できない。30〜45分のどこかで、ウルグアイがデ・アラスカエタの配球かセットプレーから先制。後半、サウジは前に出ざるを得なくなり、その背後をヌニェスが突いて2点目——という流れが本線です。ただし、暑さでウルグアイのプレス強度が落ちる時間帯に、アル・ドウサリが一瞬の仕掛けから決定機を作る場面も。サウジが先に決めれば、2022年の再現を期待する空気が一気に高まります。
予想スコア:2-0
予想得点者:ヌニェス、バルベルデ(ウルグアイの1トップと中盤の主役)
注目ポイント:ビエルサのプレスが暑さの中で90分続くか、アル・ドウサリが一瞬の仕掛けを作れるか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
この試合の軸は、やはりマルセロ・ビエルサです。アルゼンチン、チリに続く3度目のワールドカップ指揮。「私の仕事はワールドカップで終わる」と語る名将が、スアレスなき新生ウルグアイで何を描くのか。バルベルデという27歳の主役が、その哲学を体現できるか。一方のサウジアラビアにとっては、2022年の歓喜が出発点です。あのアルゼンチン戦の勝利は決してまぐれではなかった——それを世界に証明する初戦になります。古豪の再生と、伏兵の挑戦。スタイルも背景もまるで違う2チームの初戦は、グループHの行方を大きく左右します。
イラン(20位)vs ニュージーランド(85位)
日本 6/16 10:00 / 現地 6/15 18:00・SoFiスタジアム(ロサンゼルス)

アジアの常連と、16年ぶりに帰ってきたオセアニアの雄。FIFAランクは20位と85位ですが、この試合には数字以上の物語があります。イランは4大会連続で出場するアジアの常連ですが、エースのアズムーンを欠き、攻撃はメフディ・タレミの双肩にかかっています。対するニュージーランドは、2010年南アフリカ大会以来、実に16年ぶりのワールドカップ。主将クリス・ウッドを中心に、「W杯初勝利」という悲願に挑みます。守って一撃のイランと、歴史をつくりにきたオールホワイツ。一見、堅い守り合いに見えて、実は熱量の高い一戦です。
30秒でわかる構図
イラン:堅い守備ブロックと、前線のタレミ(#9)への速い展開が基本。4大会連続出場(通算7度目)の経験値と、組織的な守備が強み。エースのアズムーンを欠くぶん、タレミでどこまで点を取れるかが課題。
ニュージーランド:4-3-3。主将クリス・ウッド(#9)を頂点に、堅守速攻で勝ち点を狙う。26人中15名が海外組で、フィジカルとセットプレーが武器。アジア・欧州の強度に挑む。
懸かるもの:グループGはベルギーが抜けており、この試合は2位・3位を争ううえで非常に重い。両者とも「勝ち点3」を本気で狙える、数少ないカードだ。
注目選手
【イラン】
#9 メフディ・タレミ(FW/オリンピアコス(ギリシャ)):イラン攻撃の生命線。今季はチャンピオンズリーグ10試合で2ゴール2アシストを記録し、代表では105キャップ60ゴールという圧巻の数字を残す。アズムーン不在の今、得点はほぼこの男に懸かっている。
#7 アリレザ・ジャハンバフシュ(MF/デンデル(ベルギー)):かつてオランダで得点王にも輝いた経験豊富なアタッカー。タレミとの2人で、代表通算202キャップ77ゴールという厚みを持ち、右サイドから攻撃を組み立てる。
#1 アリレザ・ベイランヴァンド(GK/トラクター(イラン)):イランの堅守を支える正守護神。守ってカウンターというスタイルを成立させるうえで、彼のセービングは欠かせない。
【ニュージーランド】
#9 クリス・ウッド(FW・主将/ノッティンガム・フォレスト(イングランド)):34歳。プレミアリーグで結果を出し続けるNZ代表史上最多得点者(88キャップ45ゴール)。予選では29得点中9点を叩き出した、文句なしのエースで、彼の一発がオールホワイツの最大の武器。膝の問題から回復し、先発が見込まれる。
#8 マルコ・スタメニッチ(MF/スウォンジー・シティ(ウェールズ)):中盤でボールを動かす若き推進力。ウッドにボールを届ける配球と、攻守の切り替えでチームのエンジンになる。
#4 タイラー・ビンドン(DF/ノッティンガム・フォレスト(イングランド)):ウッドとはクラブの同僚にあたる若手CB。フィジカルとスピードを兼ね備え、タレミとのマッチアップがこの試合の重要な勝負どころになる。
戦術と強み・急所
【イラン】
攻めの特徴:自陣で固く守り、奪ったらタレミへ速いボールを送る。ジャハンバフシュやガエディ(#10)が両サイドから仕掛け、タレミの決定力で仕留めるのが基本形。
急所:攻撃のタレミ依存。アズムーンを欠くため、タレミを抑えられると得点源が一気に細る。引いて守る相手を崩す引き出しの少なさも課題だ。
【ニュージーランド】
攻めの特徴:ウッドをターゲットにしたシンプルな縦の攻撃と、セットプレー。海外組のフィジカルを生かし、競り合いとこぼれ球から得点を狙う。
急所:ウッドが孤立した時の手詰まり。後方からの組み立ての精度が高くないため、ウッドにボールが入らないと攻撃が単発になりやすい。
各国のいま
【イラン】
エースのサルダル・アズムーンが招集外となり、攻撃の比重はますますタレミに集中しています。とはいえ守備は安定しており、「失点を抑えてタレミの一発で勝つ」という現実的な勝ち筋は明確。ガレノエイ監督のもと、堅実な試合運びで初戦を取りにきます。
【ニュージーランド】
16年ぶりのワールドカップ。ベイズリー監督のもと、海外組を軸にした最も実力のある世代で臨みます。彼らの目標ははっきりしている——「W杯初勝利」です。主将ウッドの言葉に、その覚悟がにじみます。
「16年ぶりのワールドカップだ。歴史をつくり、自分たちに何ができるかを世界に示したい」
——クリス・ウッド(ニュージーランド代表主将)
かみ合わせ分析
イランの強み(堅守+タレミの決定力)× NZの急所(ウッド孤立時の手詰まり):イランがウッドを抑え込み、低い位置で我慢してタレミの一撃で仕留める——イランが最も得意とする展開に持ち込みやすい。
NZの強み(ウッドとセットプレー)× イランの急所(タレミ依存・崩しの少なさ):NZが引いて守り、ウッドの高さとセットプレーで一発を狙えば、ロースコアの競り合いに持ち込める。タレミを2人で消せれば勝機も。
総じて:守備の堅い両者だけに、得点が動きにくいロースコアの展開が濃厚。最後は「タレミの個」か「ウッドの一発」か——エース対決が結果を分ける。
会場とコンディション
SoFiスタジアム(ロサンゼルス)は固定屋根付きで、ロサンゼルスの6月は涼しく湿度も低い。現地18時のキックオフで、暑熱の影響はほぼない。体力の消耗が少なく、両チームとも組織を保ちやすい——つまり、守備のミスや一瞬の質の差が、そのまま結果に直結しやすいコンディションだ。
もし今、笛が鳴ったら
両チームとも軽々しく前に出ず、慎重に探り合う立ち上がりになりそうです。イランが少しボールを持ち、NZは4-5-1で固めてウッドのカウンターを待つ。前半はスコアレスの時間が長く続くでしょう。動くとすれば、イランがタレミにいいボールが入った瞬間か、NZがセットプレーを得た瞬間。70分前後、タレミが狭いスペースで反転して一撃——あるいはNZのコーナーからウッドが頭で合わせる。どちらかの「エースの一発」で均衡が破れ、そのまま1点を守り切る——そんな締まった展開を予想します。
予想スコア:1-0(イラン)
予想得点者:タレミ(イランの得点源。NZはウッドが対抗の一番手)
注目ポイント:タレミをNZ守備陣が抑えられるか、ウッドがセットプレーで一発を決められるか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
この試合で見てほしいのは、「エースにすべてを懸ける2チーム」の構図です。イランはアズムーンを欠き、タレミの双肩に攻撃を託す。ニュージーランドは、クリス・ウッドという34歳の主将に、16年分の願いを乗せる。どちらも、一人の点取り屋がチームの運命を握っている。そしてニュージーランドにとって、この大会の目標は優勝でも突破でもなく、まず「ワールドカップで初めて勝つ」こと。過去2度の出場(1982年・2010年)で、彼らはまだ1勝もしていません(2010年は3戦全引き分けで勝ち点3)。大きな見出しだけでは拾いきれないかもしれませんが、歴史を変えようとする国の初戦は、いつだって熱いものです。
最後に
5日目は、グループGとHの8カ国がいっせいに初戦を迎える日でした。史上初出場のカーボベルデ、誕生日のサラー、新生ウルグアイ、16年ぶりのニュージーランド——大きな見出しだけでは拾いきれない物語もありますが、それぞれの国が、それぞれの理由を背負ってピッチに立ちます。そういう初戦の積み重ねが、ワールドカップという大会の厚みなんだと思います。
そして翌日(日本時間6月17日)は、フランス、アルゼンチンといった優勝候補が登場する6日目。こちらもまた、見逃せない一日になります。
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