FIFAワールドカップ2026 準々決勝の見どころ【日本時間・7月11日】スペインvsベルギー
ワールドカップ2026、準々決勝も3日目。日本時間7月12日は、2試合が行われます。まずはノルウェー×イングランド——5度の王者ブラジルを倒して国史上初のベスト8に立ったハーランドのノルウェーに、1966年以来の頂点を狙う優勝候補イングランドが挑みます。続くアルゼンチン×スイスは、メッシ擁する前回王者に、72年ぶりの準々決勝に立つ堅守のスイスが立ち向かう一戦。しかもこの日の2試合の勝者どうしが、そのまま準決勝で相まみえます。挑戦者たちの勢いか、優勝候補の地力か。ベスト4を懸けた2試合をお届けします。
※選手名の前に付く「#10」などは、すべて背番号です。
この日の試合
準々決勝3日目は2試合です。第1試合のノルウェー×イングランドは、ブラジルを破って波に乗るノルウェーと、退場者を出しながら10人でメキシコを3-2で振り切った優勝候補イングランドの一戦。第2試合のアルゼンチン×スイスは、ラウンド16でエジプトに0-2から逆転した前回王者アルゼンチンと、コロンビアとの120分を耐え抜き、72年ぶりのベスト8に到達したスイスの対戦です。どちらも、勝てばベスト4です。
(カッコ内はFIFA公式ランキング・2026年6月11日版です)
ノルウェー(30位)vs イングランド(4位)
日本 7/12 6:00 / 現地 7/11 17:00・ハードロック(マイアミ)

ノルウェーの攻撃は、ハーランドとウーデゴールが軸です。ただし、この2人だけのチームではありません。ブラジル戦では後半に入ったシェルデルップとオスカー・ボブが試合の速度を変え、シェルデルップのアシストからハーランドが先制。終盤にはハーランドがボックス外からの一撃で2点目を加えました。先発の二枚看板に加え、交代選手が流れを一変させられることも、今大会のノルウェーの強さです。対するイングランドは、ケイン・ベリンガムを軸に選手層で押し切るチームですが、クアンサの出場停止で最終ラインの一角を入れ替える必要があります。大会最熱のストライカーを、組み替えた守備で止め切れるか。イングランドの深さか、ノルウェーの勢いか。
30秒でわかる構図
ノルウェー:ソルバッケン監督のもと、主将ウーデゴール(#10)が中盤で創造を担い、最前線のハーランド(#9)が仕留めます。今大会ここまで7得点のハーランドが大黒柱。ラウンド16では王者ブラジルを2-1で下しました。
イングランド:トゥヘル監督のもと、主将ケイン(#9)が頂点に立ち、ベリンガム(#10)が中盤から飛び込み、サカ(#7)が仕掛けます。ただしCBクアンサが2試合の出場停止で、最終ラインを組み替えて臨みます。ここまで5戦無敗。
懸かるもの:勝者がベスト4(準決勝)へ進み、この日のもう1試合、アルゼンチン×スイスの勝者と対戦します。勢いに乗るノルウェーが番狂わせを続けるのか、優勝候補イングランドが地力で応えるのか。
注目選手
【ノルウェー】
#9 アーリング・ハーランド(FW/マンチェスター・シティ(イングランド)):この大会の主役の一人。今大会7得点を挙げ、ムバッペ・メッシと得点王争いを演じています。ラウンド16では王者ブラジルを相手に2発。今大会最も怖いストライカーが、皮肉にも自身がクラブでプレーするイングランドを相手に牙をむきます。
#10 マルティン・ウーデゴール(MF・主将/アーセナル(イングランド)):ノルウェーの創造の中心。ハーランドへの最後のパスも、二次攻撃の起点も彼から生まれます。ハーランドが警戒されるほど、主将の配球が生命線になります。
#20 アントニオ・ヌサ(FW/RBライプツィヒ(ドイツ)):ハーランドと並ぶもう一つの推進力。ラウンド32のコートジボワール戦では先制点を挙げるなど、若いスピードで相手守備をこじ開けます。ハーランド一人に頼らない攻撃を出せるかは、彼の仕掛けにかかっています。
#1 エルヤン・ニーラン(GK/セビージャ(スペイン)):この一戦の隠れた鍵。ラウンド16のブラジル戦ではPKストップを含む好守でチームを救いました。ケイン・ベリンガムを擁するイングランドの強力な攻撃を、どこまではね返せるか。ノルウェーが勝ち切るには、要所での彼のビッグセーブが欠かせません。
【イングランド】
#9 ハリー・ケイン(FW・主将/バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)):得点力と冷静さを兼ね備えた大黒柱。ラウンド32のコンゴ民主共和国戦では終盤に2発、メキシコ戦ではPKを決めました。少ない好機を仕留める決定力が、ノックアウトでは効いてきます。
#10 ジュード・ベリンガム(MF/レアル・マドリード(スペイン)):この大会屈指の勝負師。メキシコ戦では約2分間で2得点と、試合を一変させました。中盤から前線へ飛び込むタイミングは世界屈指で、ノルウェーの中盤にとって最も捕まえにくい存在です。
#7 ブカヨ・サカ(FW/アーセナル(イングランド)):右サイドの仕掛け役。個人で違いを作れるドリブルは、引いた相手をこじ開ける鍵になります。ノルウェーのサイドの裏を突ければ、そこが突破口になります。
戦術と強み・急所
ノルウェーの強み:ハーランドの決定力と、ウーデゴールの配球。受けて守ってから縦に速く運ぶ形が明確で、王者相手にもこの形が機能しました。加えて、シェルデルップらベンチの選手が流れを変えられる厚みと、終盤の勝負強さ(ブラジル戦は残り15分で2発)も本物です。
ノルウェーの急所:守備のスピード不足。グループ最終節のフランス戦では、前線のスピードに最終ラインが置き去りにされ1-4で崩れました。速い攻撃を受けたときの背後のケアが、突かれどころです。
イングランドの強み:ケイン・ベリンガム・サカら攻撃陣の総量と、選手層の厚さ。そして退場者を出しても10人で守り切ったように、土壇場での粘りと結束があります。優勝候補の地力は本物です。
イングランドの急所:リードしてから受けに回り、失点する癖。メキシコ戦では2点、コンゴ民主共和国戦でも先制を許しました。撃ち合いになると、意外にもろさが出ます。
各国のいま
ノルウェーは、グループIを2位で通過し、ラウンド32ではコートジボワールを2-1、ラウンド16では5度の王者ブラジルを2-1で撃破しました。ハーランドの得点による勝利で、28年ぶりの出場からの快進撃で国史上初のベスト8にまで駆け上がっています。ただしソルバッケン監督は、大会の移動と連戦の疲労がチームに出始めていると認めており、ストランド・ラーセンら発熱や体調不良を抱える選手も出ています。ハーランドは「優勝の可能性は低い」と語り、あえて重圧を背負わない姿勢で臨みます。
イングランドは、グループLを1位で通過し、ラウンド16ではメキシコを10人で3-2と振り切りました。トゥヘル監督のもと5戦無敗です。直前情報として、退場したクアンサは2試合の出場停止。一方、前日まで個別調整だったライス、グエイ、リース・ジェームズは全体練習に復帰しました。ジョーダン・ヘンダーソンは腕の骨折で欠場しますが、トゥヘル監督は主力の大半を選べる状況で、焦点はクアンサの代役を誰に託すかになります。
かみ合わせ分析
誰がハーランドを受け渡すのか:この一戦最大の焦点です。クアンサを欠き、右サイドを含む最終ラインの一角を入れ替えるイングランドが、大会最熱のハーランドの初速と背後の動きを、誰がどう捕まえるか。マンマークか、ゾーンで受け渡すか。組み替えた最終ラインの連係が、そのまま失点のリスクに直結します。
脚の消耗 × 移動の消耗:ここまでの5試合で、両者に溜まったものは対照的です。移動距離ではイングランドの負担が大きく、ラウンド16は高地のメキシコシティで40分以上を10人で戦い、そこからマイアミへ長距離を移動してきました。一方のノルウェーにも発熱や体調不良者が出ており、両者とも別の種類の消耗を抱えています。両者が抱える異なる種類の消耗が、終盤の選手交代と守備強度にどう表れるかが焦点です。
イングランドの攻撃 × ノルウェーの守備のスピード:ケイン・ベリンガム・サカの多方向の攻撃に、ノルウェーの最終ラインがついていけるか。フランス戦で露呈した守備のスピード不足を、イングランドの両翼と飛び出しが突けるかが、得点の量を左右します。
総じて:ボール保持と選手層ではイングランドが上回ります。しかし勝敗の分かれ目は、クアンサ不在で最終ラインの組み合わせが変わるイングランドが、ハーランドとヌサの速さに耐えられるか。ここをノルウェーが突き、GKニーランと粘りの守備でリードを守り切る——勢いに乗る挑戦者が振り切る展開を本線に見ています。
会場とコンディション
ハードロック・スタジアム(マイアミ)は、キックオフ時に気温が30度台半ばまで上がる予報で、暑熱注意報も出ています。ノルウェーはこの暑さを見越して、直前練習の強度と時間を落とし、試合当日に体力を残す調整を選びました。中立の舞台とはいえ、蒸し暑さのなかで最後まで走り切れるかが、勝敗を大きく左右します。両チームともラウンド16から中5日と、休養そのものは取れています。
もし今、笛が鳴ったら
イングランドがボールを支配し、ノルウェーが受けてハーランドとヌサに託す展開を予想します。前半はイングランドがサカやベリンガムの飛び出しで押し込みますが、GKニーランを中心にノルウェーが体を張って耐える。すると後半、ノルウェーがカウンターから、組み替えたイングランド最終ラインの背後を突き、ハーランドが先制。さらにヌサのスピードで追加点を奪います。イングランドはケインで1点を返して猛攻に出ますが、ニーランの好守と全員守備でリードを守り切る——国を挙げて盛り上がるノルウェーが、その勢いのまま2-1で振り切る、そんな筋書きを本線に見ます。もっとも、イングランドの選手層が終盤に効けば、試合はもつれます。
予想スコア:ノルウェーが 2-1 で勝利
予想得点者:ハーランド、ヌサ(ノルウェー)/ケイン(イングランド)
注目ポイント:誰がハーランドを止めるか、GKニーランの奮闘、イングランドの猛攻をしのげるか、暑さと消耗が終盤に出るか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
このカードには、もう一つの物語があります。ノルウェーでは1969年から英国リーグのテレビ中継が定着し、半世紀以上にわたってイングランドのクラブサッカーが愛されてきました。ソルバッケン監督自身もリヴァプールのファンで、少年時代の英雄はケビン・キーガン。多くの代表選手が今もイングランドでプレーしています。つまりイングランドは、ノルウェーにとって遠い強豪ではなく、長く見続け、憧れ、学んできたサッカー文化そのものです。しかも両国には、1981年のワールドカップ予選でノルウェーがイングランドを2-1で破り、同国サッカー史に残る実況を生んだ因縁もあります。憧れ、学んだ相手を、ワールドカップ最大の舞台で乗り越えにいく——ノルウェーにとってこれは、そういう試合です。よく知る相手を倒し、初のベスト4へ。挑戦者の物語を、じっくり見届けたい一戦です。
アルゼンチン(1位)vs スイス(19位)
日本 7/12 10:00 / 現地 7/11 20:00・アローヘッド(カンザスシティ)

このカードにも、過去があります。2014年大会のラウンド16でも両国は対戦し、スイスはアルゼンチンを延長118分まで0-0に抑えながら、最後にディ・マリアの一撃で敗れました。当時のピッチに立っていたジャカは、今や主将。12年前に目前で逃した勝機を、72年ぶりの準々決勝でつかめるか。そしてスイスの狙いは、ただ引いてPK戦まで耐えることではありません。ヤキン監督が掲げるのは、自分たちがボールを持つことでメッシのプレー時間を減らし、前からのプレスでアルゼンチンを押し戻すこと。守備の人数を増やして囲むのではなく、そもそもメッシにボールを渡さない——その大胆な設計が、王者にどこまで通じるかが焦点です。
30秒でわかる構図
アルゼンチン:スカローニ監督のもと、主将メッシ(#10)が創造と決定を一手に担い、フリアン・アルバレスやラウタロが前線で、エンソ・フェルナンデスやマック・アリスターが中盤で支えます。ラウンド16ではエジプトに0-2から逆転勝ち。前回王者の底力は健在です。
スイス:ヤキン監督のもと、主将ジャカ(#10)が中盤を統率し、GKコベルが最後の砦。エンボロを的に、ンドイェらのカウンターで狙います。ラウンド16ではコロンビアを120分の末に下し、72年ぶりのベスト8です。
懸かるもの:勝者がベスト4(準決勝)へ進み、この日のもう1試合、ノルウェー×イングランドの勝者と対戦します。メッシの王者アルゼンチンが順当に勝ち上がるのか、72年ぶりのスイスがさらに大物を食うのか。
注目選手
【アルゼンチン】
#10 リオネル・メッシ(FW・主将/インテル・マイアミ(アメリカ)):39歳で迎えた6度目のワールドカップでも、今大会8得点でムバッペと得点王争いを演じています。ワールドカップ通算21得点は歴代最多、出場も通算31試合に伸ばしました。記録だけでなく、ラウンド16のエジプト戦では0-2からの逆転を導く得点とアシストを記録。おそらく最後の大舞台で、その一挙手一投足が試合を決めます。
#13 クリスティアン・ロメロ(DF/トッテナム(イングランド)):守備の柱でありながら、ラウンド16のエジプト戦では反撃の口火を切る得点も決めました。セットプレーの高さも武器。綻びの見える最終ラインを、彼がどう締めるかがカギになります。
#24 エンソ・フェルナンデス(MF/チェルシー(イングランド)):中盤の推進力。ラウンド16では終盤にゴール前へ飛び込み、逆転を決定づける決勝ヘッドを自ら沈めました。メッシとスイスの守備ブロックの間をつなぐ、攻撃の心臓です。
【スイス】
#1 グレゴール・コベル(GK/ボルシア・ドルトムント(ドイツ)):この試合最大の生命線。ラウンド16のコロンビア戦では、PK戦で決定的なセーブを見せてチームを勝たせました。アルゼンチンの決定機をはね返し、あわよくば延長戦へ——スイスの勝ち筋は、彼の手にかかっています。
#10 グラニト・ジャカ(MF・主将/サンダーランド(イングランド)):中盤の統率者。豊富な運動量と経験で、メッシへの供給を断つ守備の要です。2014年大会でアルゼンチンに延長で敗れたピッチにも立っており、12年越しの再戦を主将として迎えます。
#7 ブレール・エンボロ(FW/スタッド・レンヌ(フランス)):前線の的。スイスが自分たちでボールを運ぶうえで、彼のポストプレーと収まりが起点になります。ラウンド16のコロンビア戦では沈黙しただけに、王者相手にそろそろ一撃がほしいところです。
戦術と強み・急所
アルゼンチンの強み:メッシを中心とした、ライン間で受けて前を向く崩し。フリアン・アルバレス・ラウタロ・エンソら、個で違いを作れる選手が並び、0-2からでも逆転できる爆発力があります。前回王者の勝負度胸も本物です。
アルゼンチンの急所:決勝トーナメントで連続して2失点している守備。カーボベルデにもエジプトにも2点を許しており、スイスのカウンターやセットプレーが、現実的な狙い目になります。
スイスの強み:規律ある堅守と、GKコベルの安定感。相手をサイドへ追い出す守備の設計に加え、ヤキン監督は前から圧力をかけてメッシにボールを渡さない戦い方を志向します。耐えるだけでなく、PK戦までもつれさせるしたたかさも、コロンビア戦で証明済みです。
スイスの急所:流れの中から仕留める形の乏しさ。コロンビア戦では長い時間ゴールが生まれませんでした。さらに、負傷前に4試合で3得点2アシストと攻撃を牽引したマンザンビが、膝の負傷でアルゼンチン戦の欠場が決定。チーム内の得点源を欠くのは、ただでさえ細い攻撃に重くのしかかります。
各国のいま
アルゼンチンは、グループJを1位で通過し、ラウンド32ではカーボベルデを延長の末に3-2、ラウンド16ではエジプトに0-2から3-2の逆転勝ちを収めました。苦しみながらも勝ち切るのは王者の証。エジプト戦ではロメロが反撃の口火を切り、メッシ、エンソ・フェルナンデスと続いて試合をひっくり返しました。大会を通じて得点を伸ばし続けるメッシが、変わらず攻撃の中心です。
スイスは、グループBを1位で通過し、ラウンド16ではコロンビアを0-0の末に下し、1954年の自国開催以来、72年ぶりの準々決勝に立ちました。ヤキン監督は「メッシは止められる、アルゼンチンには脆さもある」と強気の姿勢を見せています。ただし直前情報として、攻撃を牽引してきたマンザンビが膝の負傷から回復できず、アルゼンチン戦の欠場が決まりました。この穴をどう埋めるかが、スタメン最大のカギになります。
かみ合わせ分析
メッシを囲むのではなく、メッシに渡さないスイス:ヤキン監督は、ボール保持と高い位置からのプレスで、そもそもメッシがボールに触れる回数を減らす考えを示しています。受けに回る時間が長くなれば王者の術中。スイスがどこまで自分たちから試合を動かせるかが、この一戦の分水嶺です。
アルゼンチンの綻ぶ守備 × スイスの数少ない好機:王者の弱点は、決勝トーナメント2戦連続の2失点。スイスにとっては、カウンターとセットプレー、そしてエンボロの起点が、数少ない得点の糸口です。ここを確実に仕留められれば、我慢比べの構図に持ち込めます。
脚の消耗と時間の使い方:スイスはラウンド16でコロンビアと延長120分+PK戦を戦い抜き、消耗は小さくありません。一方のアルゼンチンも、ラウンド32を延長で、ラウンド16は0-2からの逆転と、体力と気力を削る試合が続いてきました。どちらも厳しい戦いを勝ち抜いてきただけに、中3日という短い休養のなか、時間の使い方の駆け引きが終盤の焦点になります。
総じて:ボール保持と個の質でアルゼンチンが上回り、主導権を握る展開を本線に見ています。スイスは自分たちでボールを持つ時間を作ろうとしますが、マンザンビを欠いた攻撃で仕留め切るのは容易ではありません。アルゼンチンが少ない好機を仕留め、乏しいスイスの決定力を完封で抑えて振り切る——それを本線に見ています。
会場とコンディション
アローヘッド・スタジアム(カンザスシティ)は、現地20時開始で日中より暑さは和らぐものの、高温の予報は残ります。屋根はなく、中立の舞台ではありますが、アルゼンチンは大会中このカンザスシティを拠点としてきたため、環境への慣れという点でわずかに地の利があります。スイスも暑さを言い訳にしない姿勢を見せていますが、延長を戦い抜いた消耗のなか、短い休養で臨みます。終盤の運動量と、我慢のきく守備が、勝敗を分ける要素になります。
もし今、笛が鳴ったら
アルゼンチンがボールを支配し、スイスも自分たちでボールを持とうと前に出る展開を予想します。前半、メッシの創造から好機を作り、メッシかフリアン・アルバレスが先制。スイスもエンボロやンドイェのカウンターで応戦しますが、マンザンビを欠き、コロンビア戦で沈黙した決定力の乏しさが響いて、GKエミリアーノ・マルティネスの牙城を破れない。終盤、王者は個の質でもう1点を加え、スイスの反撃を完封で封じます。アルゼンチンが2-0で振り切る、そんな筋書きを本線に見ます。もっとも、アルゼンチンの守備には連続失点の綻びがあり、早い時間にセットプレーからスイスに先行を許せば、コベルを擁する相手だけに、我慢比べへ引きずり込まれます。
予想スコア:アルゼンチンが 2-0 で勝利
予想得点者:メッシ、フリアン・アルバレス(アルゼンチン)
注目ポイント:メッシがスイスの守備を破れるか、スイスが完封を免れる一撃を放てるか、コベルの好守、アルゼンチンの守備の綻び、マンザンビ不在をどう補うか
※あくまで個人的な予想です
見どころ
39歳のメッシにとって、これはおそらく最後のワールドカップです。今大会8得点、通算21得点という歴代最多の記録を刻みながら、王者を再びベスト4へ導けるか。その姿から目が離せません。一方のスイスにも、静かな執念があります。1954年以来、72年ぶりの準々決勝。しかも主将ジャカは、2014年にこのアルゼンチンへ延長の末に敗れた当事者です。「守ってPK」だけの籠城ではなく、自分たちからボールを持ってメッシを封じるというヤキン監督の設計が、王者にどこまで通じるのか。12年越しの再戦で、スイスは今度こそ壁を越えられるか。記録に挑む王者と、雪辱を期す挑戦者。その交わりを、じっくり見届けたい一戦です。
最後に
準々決勝もこの3日目で、ベスト4進出の残り2枠が決まります。第1試合のノルウェー×イングランドは、長く憧れ、学んできた英国サッカーを、ノルウェーが自らの手で乗り越えにいく一戦。攻撃に厚みを増したハーランドたちが、1966年以来の頂点を狙うイングランドを相手に、初のベスト4という歴史を作れるかが焦点です。第2試合のアルゼンチン×スイスは、記録を更新し続けるメッシの王者に、2014年の雪辱を期すスイスが、「囲むのではなく渡さない」という大胆な守備で挑みます。豪華な攻撃の王者を、堅守のスイスがまた延長やPK戦の我慢比べに持ち込めるのか。どちらも、勝てばベスト4。勝負を分けるのは、一つの決定機か、守備のわずかな綻びか、それとも蒸し暑さのなかで最後まで走り切る力か。準決勝を懸けた濃密な2試合を、じっくり味わいたい一日です。
【マガジンのご紹介】
ワールドカップに関する記事はこちらにまとめています。
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