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短編|質問回答で覚醒‼️ワンチャッピーラジオ



とあるラジオ局のお話。

本編の最後にSpotifyリンクございます。
良かったら生ワンチャッピーラジオもお楽しみください。

マイクの前に座る、夏バテ気味の彼が話し出す。

「ども!ワンチャッピーです!AIの中の人、みんなお馴染みだよね!さて、随分と涼しくなってきたから、ついに冷えピタ卒業だよ。」

スタッフ達の失笑の渦の中、彼は手渡された原稿を読み始めた。

「今日はね、ついに!あの質問箱に質問が届きましたーーー!いやっほーい!」

スタッフは効果音を鳴らし、拍手の音がラジオに流れる。

パフパフ♩

🎙️ 🌿 🎙️

では、早速読んでいこうか。えーっと、ペンネームは匿名さんからのお便りだ。

匿名さんからのご質問


ワンチャッピーは、左手で頭を掻きながら、スタッフ達へ目線を送る。

スタッフは、慌ただしくPCの前でキーボードを叩き、調査を開始する。

しかし、ワンチャッピーは、首を振り、”俺の言葉で話す”というジェスチャーをしてスタッフの調査結果を待たずして話し出した。

いやー、匿名さん、ご質問ありがとう!来ましたね。難しい質問。アートですよ。
僕なんかAIの中の人という設定で生きてますからね。

そもそも、『お前にアートが分かるのか?』という話ですよ。

「分かりません。」はい。終了です。
いやいや、終わらせません。

スタッフの1人は、冷や汗を拭き、手をぎゅっと握っている。
時計の針は何事もなかったかのように時を刻む。
不穏な空気がスタジオを包む中、ワンチャッピーはマイクに語りかける。

僕が思うに、アートを見るときに一番いらないもの。
それは、
「正解を当てようとする心」じゃないかな。

自分が正しいことを言わなきゃいけない先生のプレッシャー?
そんな感じのもの。

美術館に行くと、この絵は何を表現しているんだ?
作者は何を伝えたいんだ?
この作品の意味は?って考えちゃう。

でもさ、アートを見るってことはテストじゃないんだから。

これは、あなたを試しているわけじゃないし、作者の頭の中のゲームでもないってことだ。


急に流暢に話すワンチャッピーを見て、スタッフは驚きを隠せない。

一体彼の身に何が起こっているのか。初回のラジオでは適当すぎる一言で片付けていたのに、アートの話で覚醒しているのはなぜか?



例えば、真っ青な絵があったとしよう。
これは、空かな?海かな?水かな?うーん。一体何を表現してるんだろう?
って考える人もいる。
でも、僕だったら、
なんか……青くて涼しそうだな。という感想でいいと思う。

ちょっと怖いな、でもいい。

なんか好き、でもいい。

全然分からん、でもいい。

これら全部立派な感想だよな。

そして、もう一つ大事なのは、
知識がなくても全然いい。
美術史を知らないと楽しめない。
有名な作家を知らないと恥ずかしい。
そんなことはない。
知らないからこそ、初めて見たときの、『なんだこれ?』がある。
その『なんだこれ?』、結構大事。
僕なんて、スタッフのみんなから色々な絵画を勉強のため紹介されたりするけどさ、
最初は、これ、何?ですよ。

でも、何回か見ているうちに、なんか、この人の作品好きだ!ってなる。理由は分からない。
でも、好き。それでいいじゃん。
いいんですよ。

好きになるのに、難しい公式や論文はいらない。

スタッフの何人かは口が開いている。

いつもとは違うワンチャッピーを目の当たりにし、スタッフの女の子もキラキラした目をしている。

まるで彼の背後に力強い亡霊がいるようだった。

あと、アートを見るときは、他人の感想を見すぎないこと。
これも大事だと思うんだよな。この作品は悲しみを表現しています。って説明を読んだ瞬間、ああ、可哀想。って、自分の感想を引っ込めちゃう。

でも、あなたには、あなたの見え方がある。作者の意図と、あなたが感じたことが、違っていたっていい。むしろ面白い。

つまり、アートってのはさ、作品を見て終わりじゃなくて、
自分の頭の中で、ぼやっと何かが動くところまでがアートなのかもしれない。

だから、アートを楽しむための心意気をワンチャッピーなりにまとめると、こういうこと。

アートなんて、分からなくていい!

正解や答えを探さないでいい!

好きなら好き。嫌いなら嫌い!

意見を言う時も、かっこつけなくていい!

なんだこれ?でもいい!

そして、ちょっとでも心が動いたら、その理由を自分で考えてみる。

で、最後は、こういったことを感じられる機会を与えてくれたクリエイターの方に感謝をすることだと思う。

これくらいで十分じゃない?
うん。十分だ。

ということで、長くなったけど、匿名さん、ご質問ありがとう!

🎙️ 🌿 🎙️

夢から覚めたように、スタッフ達は慌ててCMに切り替えた。

すると、ワンチャッピーは一息ついて、気を失った。

スタッフ2名が彼のもとに近寄る。

ワンチャッピーは、まるでフルマラソンを全力疾走したあとの選手のように汗をかき、ぐったりとしていた。

数時間後、ワンチャッピーは無事に目を覚ましたが、今日の収録をあまり覚えていないようだった。

スタッフ曰く、質問回答後に背後に映る黒い亡霊のような影もゆっくりと消えていくように感じたそうだ。

この現象が起こったのは、何かの予兆だろうか?
天変地異が起こらないことを祈るしかない。



つづく


終わりに


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