宇宙存在X氏【なぜ宇宙人は、地球への転生をいやがるのか】
観測者との静かな問答
こんにちは。
私は、便宜上『宇宙存在X』と名乗っておきます。
特定の星系名や肩書きは必要ありません。
今日は、あなた方が少し不思議に思っているであろう問いに、率直に答えます。
「なぜ、地球はそんなに大変なのに、転生に来る存在がいるのか」
そして同時に、
「なぜ、多くの存在は、地球行きを避けるのか」
これは美談ではありません。
称賛の話でもありません。
ただの、冷静な観測結果です。
私
今日は、少し率直な質問をしてもいいですか。
どうして、多くの宇宙存在は、地球に転生に来るのを嫌がるんですか?
X氏
構いません。
ただし、これは評価ではなく、環境の話です。
地球は、難度が高い。
私
難度、ですか。
技術的に難しい、という意味ではないですよね。
X氏
ええ。
最も負荷が高いのは、感情処理です。
私
感情処理?
X氏
地球では、
出来事そのものより、出来事に付随する感情のほうが重くなりやすい。
不安、罪悪感、比較、自己否定、期待と失望。
これらが、ほぼ常時、並行稼働します。
多くの文明では、
出来事は出来事として完結します。
地球では、完結しない。
私
『何も起きていないのに疲れる』という感覚は、
そこから来ている?
X氏
その通りです。
地球では、消耗が見えにくい。
私
それだけで、来るのをためらうほど?
X氏
それは第一理由にすぎません。
私
次は何でしょう。
X氏
『自分が何者か』を忘れやすい構造です。
地球に入る際、多くの記憶が一時的に使えなくなります。
私
記憶がなくなるのは、耐え難いんですね。
X氏
そう感じる存在は多い。
地球では、
役割
肩書き
評価
常識
空気
こうしたものが、
『自分そのもの』より前に配置されます。
その結果、
自分の感覚より、外側の基準で判断する時間が長くなる。
私
使えなくなった記憶を思い出すのに、時間がかかる。
X氏
そう。
能力の問題ではありません。
再接続までの時間が長い。
それを負担に感じる存在は多い。
私
身体のことも、よく話題に出ますよね。
X氏
地球人の身体は、精密ですが、重たい。
疲労が溜まる。
痛みが判断を鈍らせる。
時間とともに性能が変化する。
故障が不可逆になる場合もある。
これを前提条件として運用する必要があります。
私
正直、慣れないと厳しいですね。
私は、これが当たり前としてずっと生きているので……。
X氏
率直に言えば、
初心者向けではありません。
私
なるほどですね……。
他にも理由は?
X氏
『正しさ』が多すぎることです。
私
多すぎる?
X氏
地球には、同時に複数の正しさが存在します。
道徳的な正しさ
社会的な正しさ
家族的な正しさ
時代的な正しさ
どれを選んでも、どこかで摩擦が生じる。
それらは、しばしば両立しません。
多くの存在は、
最適解を一つ選ぶ環境には慣れています。
しかし、どれを選んでも不満が残る設計には慣れていない。
私
それは、確かに消耗しますね。
X氏
はい。
静かに、確実に。
私
それでも、来る存在がいるのはなぜですか?
X氏
理由は単純です。
私
教えてください。
X氏
地球には、
体験の密度
理解の深まり
他者視点の獲得
現実対応力の訓練
が、短期間に集中しています。
効率は悪い。
消耗も大きい。
しかし、
得られる理解量が非常に多い。
内面的な成熟が進みやすい。
私
修行や罰ではないにしても、
望まずに転生してしまう場合もある、と聞くことがありますが……。
X氏
そのように感じる語られ方をされることはあります。
しかし、本質は違います。
実験でもありません。
罰でもありません。
ただ、
癖が強く、扱いの難しい環境。
それだけです。
私
う~ん…???(笑)
私
最後に。
地球で生きづらさを感じている人へ、何かありますか?
どうしたら、もっと軽やかに生きられるか、など……。
X氏
あります。
私
お願いします。
X氏
まず、前提を一つ置いてください。
地球では、『うまくやろう』とするほど重くなりやすい。
私
どういう意味ですか?
X氏
地球の環境では、
正解を探す、期待に応える、失敗しないようにする、
こうした思考が連鎖しやすい。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、常時それを行う設計にはなっていない。
私
じゃあ、どうすれば?
X氏
三つだけ、意識してください。
私
三つ。
X氏
一つ目。
自分の消耗ポイントを把握すること。
何が苦手か、ではありません。
何をすると、静かに疲れるか、です。
人付き合いなのか。
決断なのか。
説明なのか。
比較なのか。
これを把握するだけで、
無駄な消耗はかなり減ります。
私
二つ目は?
X氏
すべてを理解しようとしないこと。
地球では、
理解できないことが存在する前提で動いたほうが、安定します。
納得できないまま進んでいい場面は、
思っているより多い。
理解は、後から追いつくこともあります。
私
三つ目は?
X氏
感情を、結論に使わないこと。
感情は、状態を知らせる信号です。
判断材料ではありません。
疲れているときの結論は、
ほぼ例外なく重くなります。
まず整える。
結論は、その後でいい。
私
それだけで、軽やかになりますか?
X氏
劇的には変わりません。
しかし、確実に摩耗は減ります。
地球で軽やかに生きる、とは、
速く進むことではありません。
無理に重くならないこと。
それが、最も現実的な方法です。
私
なるほど……。
試してみようと思います。
X氏
最後にもう一つ。
私
はい。
X氏
あなたが重さを感じているなら、
それは適応しようとしている証拠です。
不向きなのではありません。
真面目すぎるだけです。
X氏
もし、あなたが、
生きづらさを感じている
『なぜこんなに大変なのか』と思う
自分は不器用だと感じる
そうであれば、
それは欠陥ではありません。
環境そのものの難度が高い。
ただ、それだけの話です。
以上、
宇宙存在Xによる観測報告でした。
