バレンタインに過去を思い出す初恋黒歴史その後の静かな余韻
昔の恋や、少し恥ずかしい思い出が、ふとした瞬間に浮かぶことってありませんか。
忘れたつもりでも、心のどこかに残っている記憶は、思ったより今の自分に影響しているものです。
この物語では、再会のあとに生まれる「言葉にしない距離」と「少しだけ前に進む瞬間」を描きます。
本編を読んだ方も、まだの方も、静かに余韻を楽しめるサイドストーリーとして読んでいただけたら嬉しいです。
ここから先は、物語として静かに味わってください。
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カフェを出たあと、直人と美咲は駅まで並んで歩いた。
会話は少なく、でも気まずさはなかった。
昔なら沈黙に耐えられず、何かを必死に話していたと思う。
けれど今は、この静けさがむしろ心地よかった。
改札の前で、美咲が立ち止まった。
「ねえ、あの時さ」
直人は少し身構えた。
黒板事件の追加ダメージが来る可能性を、人は大人になっても警戒する。
「勇気あったよね」
その言葉は、思っていたよりずっと柔らかかった。
直人は少しだけ笑った。
「今なら、もう少しうまくやる」
「うん。でも」
美咲は少しだけ視線を落とした。
「不器用だったから、覚えてるのかもね」
電車の到着音が遠くで鳴った。
人の流れが動き出す。
その中で、二人だけ少しだけ時間がゆっくりに感じた。
「また、ごはん行こう」
美咲が言った。
特別な言い方じゃない。
でも、それが今の二人にはちょうどよかった。
直人はうなずいた。
「黒板は、もう封印する」
美咲は小さく笑った。
「それは助かる」
電車に乗り込む直前、美咲が振り向いた。
その一瞬だけ、高校生の頃と同じ表情をしていた。
ドアが閉まり、電車が動き出す。
直人はホームに残った。
過去を思い出すことは、前に進めない理由じゃない。
むしろ、どこから来たのかを教えてくれる地図みたいなものだ。
スマホが震えた。
美咲からメッセージが届いていた。
「チョコ、甘すぎなかった?」
直人は笑った。
「ちょうどいい」
そう返して、空を見上げた。
バレンタインは、少しだけ優しい日になった。
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もしこの物語を読んで、誰かの顔が浮かんだなら。
それはきっと、悪い記憶じゃない。
ブログ版では、再会までの過去や、黒板事件の裏側、二人の心の変化をもう少し深く描いています。
物語の背景や感情の流れまで味わいたい方は、そっとのぞいてみてください。
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