再会と、春の午後と
中学の同級生だった純也くんと、この前ひさしぶりに会いました。
正直、最初は少し緊張していました。
SNSでたまに近況は見ていたけれど、直接会うのは卒業以来。
でも、夏海が「一緒に行こうよ」と言ってくれたから。
あの子がそばにいると、なんだか安心できるんです。
だから、わたしも「行くね」と返事ができました。
待ち合わせの日は、まだ少し冷たい風の中に、光だけが確かに春でした。
純也くんは中学のときより背が高くなっていて、
声のトーンも少しだけ低くて、
なぜだか、胸の奥が静かに跳ねるような感覚がありました。
でも、それは恋とか、そういう名前をつけるにはまだ遠くて。
もっと柔らかくて、あたたかくて、
“ひとつの季節が終わって、なにかが始まる前”みたいな感じ。
3人でランチを終えたあと、夏海が「ちょっと寄りたいお店があるから」と先に帰ってしまって。
気づけば、ふたりきりで並んで歩いていました。
わたしはいつも通り、無意識に車道側を歩いていて──
「危ないよ」
彼が、わたしの肩をそっと内側に押してくれました。
軽く、でも、ちゃんとしたぬくもりをともなった手のひら。
びっくりして顔を上げたときには、
彼はもう前を向いていて、
その自然な仕草だけが、静かに胸に残っていました。
偶然だったのかもしれません。
ただの思いやり。
中学のときと変わらない、優しい男の子としての。
でも、それでも──
あの一瞬だけ、わたしの世界にふわりと重なるものがあって、
どこかで時間が少しだけ、軋んだような気がしました。
帰り道、ひとりになって歩きながら、
その感触を、何度も思い出してしまいました。
名前をつけるには、まだ早すぎる。
でも、心のどこかに、ほんの少し光が差したような。
きっと今は、わたし自身もこの感覚の正体を知りません。
けれど──
この日のことを、いつかまた思い出すような気がしています。
その理由を、いつかのわたしが知るとしても。
シェアハウスに帰ると、優佳さんがソファで本を読んでいました。
ページをめくる手の動きは静かで、音も立てずに時間が進んでいくようでした。
わたしがただ「ただいま」と言っただけなのに、
優佳さんは顔を上げて、ほんの少し微笑んでくれて。
何も聞かれなかったけれど、
その笑顔が、今日あったことのすべてを包んでくれた気がしました。
春の午後に起きた、小さな衝動。
ことばにするにはまだ早い。
でも、ここに置いておきたくて──書いています。
たぶん、これって変じゃないですよね……?
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