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yuuki_kaito
幼馴染はじめました #毎週ショートショートnote
あぁ、また最初からか。
転勤族の僕にとって、転校は友達を失う合図だった。
今度は小さな町。よそ者の居場所なんて、きっとない。
帰り道、話しかけてきたのがカズだった。
二年前両親の離婚でこの町へ来たという。
「この町の奴ら新しい人に慣れてないからさ、仲良くなるの苦労したよ」
「いいよなぁずっと同じとこ住んでる人は」
するとカズが言った。
「じゃあさ、俺ら今日から幼馴染な」
「は?」
「ここへ来る前なんて誰も知らねぇし。昔近くに住んでて、再会したことにしようぜ」
「...いいよ、面白そう」
くだらない。だけど、少し嬉しかった。
それから僕らは、誰も知らない思い出を増やした。武勇伝も多めに入れて。
しかし翌年、また転校が決まった。
わんわん泣くカズを見て、慣れていたはずの僕も初めて泣いた。
15年後の今日。
「新郎の幼馴染」と紹介され誇らしげに立ち上がったカズは、スピーチのど頭からあの日と同じようにわんわん泣いた。
あの日思いつきで始めた僕らの嘘は、いつしか作り話ではなくなっていた。
(428字)
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