線香花火。気づけば、最後まで見つめていました。
夏になると、
線香花火を手にしたくなります。
夜空を大きく彩る花火とは違い、
その光は、
手のひらのすぐ近くで静かに揺れています。
火をつけると、
先端に小さな火の玉が生まれます。
細い火花を散らしながら、
それぞれの時間を過ごしていきます。
不思議なのは、
どれも同じように作られているはずなのに、
一本として、
同じ燃え方をするものがないことです。
勢いよく火花を散らすもの。
静かに灯り続けるもの。
長く揺れながら残るもの。
あっけなく、
ぽとりと消えてしまうもの。
子どもの頃は、
火の玉が落ちる瞬間が苦手でした。
終わってしまうことが、
少しだけ寂しかったのです。
今は、
長く燃えることだけが、
美しさではないと思っています。
小さな火を見つめていると、
急がなくてもいいような気持ちになります。
誰かと同じでなくても、
同じ速さでなくても、
その火は何も語らず、
ただ、
その一本だけの時間を燃やしています。
やがて、
火の玉は少しずつ小さくなり、
音もなく、
ぽとりと落ちます。
終わる瞬間は、
今でも少し寂しい。
それでも、
最後まで目を離せないのは、
その短い時間が、
ほかの誰とも違う、
たった一本の時間だから。
火は消えても、
しばらく、
その小さな余韻だけが残っていました。🌙
