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薄くなって、近くなる。薄れていくことを、失っていくことだと思っていました。


手元に残った写真を見るたび、
薄れた分だけ、指で触れやすくなっている気がします。

鮮やかすぎたものは、
どこか遠くて、
近づきがたいものでした。

色褪せた写真の中の誰かは、
もう強く主張してきません。

ただそこに在るだけの姿になって、
時間の中に静かに馴染んでいます。

失われたのは色そのものではなく、
色が持っていた勢いだったのだと気づきます。

薄くなった文字も、
書いた人の筆の力より、
そこに残された言葉のほうが
目に入ることがあります。

色も、文字も、
少しずつ薄れていく。

けれど、
薄くなったからこそ見えてくるものもあります。

薄れることは、
消えることに向かう道なのでしょうか。

それとも、
ようやく馴染むところまで
辿り着いた姿なのでしょうか。

🌙


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