【採用の終着点】「給与」や「条件」で選ばれるな。あなたの”想い”を磁石に変えて、本物の人財を引き寄せる「コンセプト採用」の極意
前回の記事(☞まだの方はこちら)では、組織のガバナンスを取り戻すための、痛みを伴う決断についてお話ししました。
毒のある職員を排除し、組織に「空白」ができたとき。
経営者であるあなたが最も恐れるのは、「この穴をどう埋めるか」という焦りでしょう。
ここで多くの経営者が、再び同じ過ちを犯します。
「とにかく誰でもいいから」と紹介会社に高額な手数料を払い、給与条件を吊り上げ、耳当たりの良い言葉を求人票に並べて、欠員を埋めようとするのです。
しかし、断言します。
「条件」で集まった人は、より良い「条件」があれば去っていきます。
そして、あなたの理念に共感していない「技術だけの誰か」を招き入れれば、数年後にはまた「第二の人質犯」が誕生するだけです。
もう、不毛な椅子取りゲームはやめませんか?
これからの時代に必要なのは、条件で釣る「採用」ではなく、価値観で結ばれる「ブランディング(ファン化)」です。
こんにちは、平池達也|【離職率改善のプロ】介護マネジメント戦略家です。
今回は、紹介料をゼロにし、あなたの施設に「どうしてもここで働きたい」という熱量の高い人財を引き寄せるためのステップを論理的に解説します。
1. 「選ぶ側」から「選ばれる側」へのパラダイムシフト
採用難の時代、経営者はつい「選んでもらう立場」だと卑屈になりがちです。
しかし、これが第一の失敗です。
ブランディングとは、「誰に来てほしいか」よりも先に「誰に来てほしくないか」を明確にすることから始まります。
「ラクに稼ぎたい人」は、うちには向かない。
「自分さえ良ければいい人」は、お断り。
「今のやり方を変えたくない人」は、来ないでほしい。
これを求人票やホームページの冒頭に、あえて「NO」として突きつけるのです。(文面はお気を付けください…)
「厳しいことを書くと誰も来ない」と怯える必要はありません。
明確な拒絶は、ターゲットとなる「本物の人財」にとって「ここなら、私の居場所がある」という強烈な安心感(シグナル)に変わるからです。
2. 理念を「物語(ナラティブ)」に変換する
「利用者様に寄り添うケア」
「アットホームな職場」
そんな言葉は、世の中に溢れすぎていて、もはや誰の心にも届きません。
ブランディングに必要なのは、綺麗な言葉ではなく、あなたの「個人的な痛みと願い」がこもった物語です。
なぜ、あなたは介護事業を始めたのか?
かつて、どんな悔しい思いをして「理想の施設」を作ろうと決めたのか?
あなたが「人質状態」だった孤独な夜に、何を誓ったのか?(※前回記事参照)
この背景にある物語を語ってください。
人はスペック(給与や休日)で納得し、ストーリー(想い)で動きます。
あなたの「弱さ」や「苦悩」から生まれた理念こそが、他施設との決定的な差別化ポイント(USP)になるのです。
3. 「現場のリアル」を最強の武器にする
ブランディングにおいて、最大の敵は「実態との乖離」です。
求人票に良いことばかり書くと、入社後のギャップが離職を招きます。
逆をやりましょう。
「現場の泥臭さ」を、誇りを持って公開するのです。
「うちは、お局職員を一人残らず解毒したばかりの再生途上の組織です」
「正直、まだ仕組みが整っていない部分もあります。だから、一緒に作ってくれる人が欲しい」
「楽な仕事ではありません。でも、この理念だけはどこにも負けません」
このように「未完成であること」をさらけ出すと、「自分がこの組織を完成させたい」という、高い自己効力感を持つ人財が反応します。
これは、以前解説した「人財(Asset)」タイプ(☞関連する記事はこちら)を一本釣りするための高等技術です。
4. 採用プロセスを「選別の儀式」に変える
ブランディングが成功すると、応募者の数は減るかもしれませんが、質は劇的に上がります。
ここで、面接をただの「確認」にしてはいけません。
面接は、あなたの理念を再確認し、相手が「同じ船に乗る覚悟があるか」を問う儀式です。
「うちのこの理念、あなたはどう解釈しますか?」
「もし現場で理念に反することが起きたら、あなたならどう動きますか?」
こうした問いかけに対し、自分の言葉で語れる人だけを採用してください。
「人手不足だから」と妥協して一人を採用することは、将来的に何百万円もの離職コストと、組織の崩壊を招くリスクを買うことと同じです。
「迷ったら採用しない」
これがブランディングを維持する唯一の鉄則です。
5. まとめ:あなたは「灯台」であれ
採用難の海で、多くの施設が「エサ(給料)」を撒いて魚を釣ろうとしています。
しかし、あなたは「灯台」になってください。
あなたが理念という光を強く放ち続ければ、波間に迷っている本物の人財は、自ずとあなたを目指して泳いできます。
紹介会社に払う100万円を、自分の施設の魅力を伝えるHPや動画の制作、あるいは残ってくれている誠実な職員への還元に使ってください。
「誰でもいい組織」には、「どこでもいい人」しか来ません。
「あなたでなければならない組織」には、「ここでなければならない人」が集まります。
その循環が始まったとき、あなたの施設は、地域で最も美しく、力強い光を放つ場所になるはずです。
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