『翹望 橘外男戦前新聞小説集成』【文学フリマ東京40で入手した本(17)】

『翹望 橘外男戦前新聞小説集成』(沢田安史編、書肆銀月亭)も、前回の『時機を待つ間』とおなじく、文学フリマ東京以前に直接購入したのですが、当日は隣のブースで販売していたので、ご紹介します。
橘外男(1894〜1959)は、戦前から戦後にかけて活躍した探偵小説家です。デビュー直後の大正時代にはキリスト教の影響が強い純文学を書いていましたが、その後探偵小説へ転向しています。これはやはり大正時代には宗教文学を書いていたが、昭和になって少年向け軍事冒険小説でブームを起こした山中峯太郎と同じですね。
彼が1939年に書いた新聞小説を、初めてまとめたのがこの本です。今までこの作品は、北京で発行された日本語新聞「東亜日報」に掲載されていたという研究論文で知られていましたが、実は国内の複数の新聞にも掲載されていたということが、沢田安史さんの研究で発掘されたというわけです。まあ、北京の新聞だけに書き下ろしていたとは考えられませんよね。たしか昔の新聞小説は、同じ作品がさまざまな新聞で同時に掲載されていたときいています。そういうシンジケートがあったようですね。なかにはアメリカの日本語新聞に掲載された小説もありました。
他にも短編「恋愛異変あり」も、この本には収録されています。
橘外男は探偵小説家といいましたが、この作品は探偵小説ではないです。親を失った姉弟の運命を描く小説のようです(実はまだ最後まで読み切っていないので、もしかしたらこの後にゴリラが襲いかかって美しい姉を攫っていく…なんていう橘作品のよくあるお約束がないとはいえない…わけはないかw)
解説は、おそらく日本で唯一の橘外男専門家である、谷口基教授です。
盛林堂さんでももう売り切れてしまっています。入手はもう困難かもしれません。
なにしろ、文学フリマ東京ではヒラヤマ探偵文庫の隣だったのですが、なぜかうちの新刊よりもどんどん売れていくんですヨ。
どうしてなんでしょう?
橘外男が、小酒井不木に勝ったのです。
わけがわかりません。
お値段だってそんなに変わらないし。
やっぱり文庫本だというのが、人気の秘密なんでしょうか?
ヒラヤマ探偵文庫は新書本ですから、人気がないんでしょうかね??
しかし、読者のみなさまのためを思って新書版にしているんですが。
実はいつもお願いしている印刷会社では、文庫でも新書でも、印刷代金は変わらないんです。しかも文庫よりも新書二段組のほうが、一ページあたりの文字数が多い。つまり同じ作品でも、新書にしたほうがページ数が少なく、お安くご提供できるのです。そこまで考えて、うちは新書版を選んだのですが、どうも読者の皆様にはご理解いただけないようで(涙)。
ちなみに沢田さんに伺ったところによると、編集はワードでやったそうです。相当苦労されたそうですが、もう会得したらしいです。自分はワードには堪忍袋の尾がキレて、もう絶対に使うものかと思っております。ワードで試行錯誤して裏技を身につけるくらいならば、一太郎を買って簡単にレイアウトするほうが、楽です。一太郎はおすすめですよ。
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