ぼくものがたり【第33話】焼け跡の校庭──火薬で遊んだ子どもたち
杉七にもたくさんの爆弾が落とされた。
校舎は半分が燃えてしまった。
戦争が終わって、しばらくしてから校庭に行ったときには、
兵隊がそのまま置き去りにした高射砲や機関銃が、
無造作に放り出されていた。
みんな壊れちゃって、もう使えないものだった。
そのほかにも、焼夷弾の燃えカスや、
鉄砲の弾の薬莢(やっきょう=爆弾の筒の部分)、
砕けた部品のようなものが、そこらじゅう、無数に散らばっていた。
遊具もみんな、金属回収令で取られたり、
焼け落ちてなくなってしまった。
遊ぶものは何もなかった。
そこで、僕たち子どもは、
そこに落ちている物を拾って遊びはじめた。
鉄砲の弾の中には、まだ火薬が入っているものもあった。
その火薬を取り出して、マッチで火をつけて、
バーっと燃えるのを見て楽しんだりしていた。
振ってみて中に火薬がありそうだと、こじ開けて集める。
火薬を一直線に並べると、シューッと音を立てて長く燃えた。
丸く固めると、ボワッと一気に火が立つ。
僕たちは、その燃え方の違いを楽しんでいた。
でも、そのうち、あちこちで火薬遊びの事故が起きはじめた。
集めていた途中で、火薬が手の中で爆発しちゃって、
指が吹き飛ばされた子供もいた。
ひとつ間違えば命だって落としかねない事故だった。
それから大人たちは、「絶対に爆弾にはさわるな」と言った。
でも、大人たちは敗戦のショックで、
抜け殻みたいになっちゃって、片付けられない。
子どもはダメと言われたって、すぐに遊んでしまう。
校庭に放置されている使い物にならない高射砲を抱えて、
「ダダダダー!」って打つマネをして遊んでいた。
もうアメリカ兵が襲ってこないから、安心して遊んでいた。
子どもたちの方が、ずっと早く立ち直っていた。
とは言っても、道にも、子供たちの行く空き地にも、
鉄砲の弾の破片や壊れた銃の残骸、
焼夷弾の金具などが、あちこちに落ちていたから、
ただ歩いているだけで、怪我をする子も出てきた。
それで、茫然とした大人たちも、慌てて片付け始めた。
焼け残った校舎も、戦争中は兵隊が駐留していて、
教育以外のことで使用していたから、荒れ果てていた。
教室の床はあちこちに穴が開き、
ベニヤで補修されていた。
そのベニヤが抜けて、足を怪我する子も出てきた。
学校の中でも怪我をするなんて……
先生たちも、
「このままではいけない」と、ようやく思い至った。
杉七には、新しい校長先生が赴任してきて、
それで、やっと心機一転、
「新しい校舎を作ろう」という動きも始まった。
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