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ちいかわが教えてくれた、部下を型にはめてはいけない理由


「みんな同じくらい頑張ってくれたらいいのに」


EC物流の現場でマネジメントをしていた頃、正直そう思っていた時期がある。慎重すぎるメンバーにはもう少し積極性を、勢いだけで動くメンバーにはもう少し落ち着きを。良かれと思って、みんなを「同じ型」に近づけようとしていた。

けれど、それをやればやるほど、チームの空気は少しずつ縮こまっていった。積極的だったメンバーが発言を控えるようになり、慎重だったメンバーはますます動けなくなる。揃えようとした結果、それぞれの持ち味を削っていただけだった。そのことに気づいたのは、だいぶ後になってからだ。

そのことを思い出させてくれたのが、「ちいかわ」に出てくる、ちいかわ・ハチワレ・うさぎの3人だった。

タイプが違うから、うまくいく


あらためて見てみると、この3人はかなりタイプが違う。

- ちいかわ:慎重で、不安になりやすい。すぐ弱気になるが、その分リスクには敏感
- ハチワレ:協調的で、気配り上手。ちいかわとうさぎの間に立って調整役になることが多い
- うさぎ:衝動的で、行動が早い。突飛な発想で場をかき回すこともあるが、動きの起点になっている

もし3人が「全員ちいかわ」だったら、慎重すぎて何も始まらなかっただろう。「全員うさぎ」だったら、収拾がつかなくなっていたかもしれない。3人がそれぞれ違うタイプのままでいるから、討伐にも冒険にも、なんとか一緒に立ち向かえている。

これは心理的安全性の考え方に近い。心理的安全性というと「仲がいいこと」だと誤解されがちだが、実際には少し違う。違うタイプの人間が、それぞれのままで発言し、行動できる状態のことを指している。

大事なのは、ちいかわがうさぎに「もう少し慎重にしろ」と矯正しようとせず、うさぎもちいかわに「そんなにビクビクするな」と否定しないところだ。むしろ、それぞれの反応の違いが、チームとしての判断材料になっている。ちいかわの不安は「立ち止まって考える合図」になり、うさぎの勢いは「動き出すきっかけ」になる。タイプの違いそのものが、機能として噛み合っている。

「揃える」から「活かす」へ


これを現場に置き換えてみると、見えてくるものがある。

マネージャーがやりがちなのは、部下を「あるべき型」に揃えようとすることだ。慎重な人には積極性を求め、行動派には慎重さを求める。悪気はなく、むしろ「その人のため」と思ってやっていることが多い。けれど、それは無意識のうちに、その人がいちばん活かせる強みを削っている行為でもある。

タイプを揃えるのではなく、タイプ別に役割を与える方向で考えてみるとどうだろう。

- 慎重なタイプには、リスクを洗い出す「検証役」を
- 協調的なタイプには、意見をつなぐ「橋渡し役」を
- 行動派タイプには、最初の一歩を踏み出す「突破口役」を


同じ方向を向かせようとするのではなく、それぞれの反応の違いを、チームの判断プロセスの一部として組み込む。そう考えると、扱いにくいと感じていたメンバーほど、実はチームに足りていなかった機能を持っていた、ということもある。

違いを均そうとするほど、チームは弱くなる。違ったままの3人が、それぞれの持ち場でちゃんと機能しているから、あの小さなチームは今日も生き延びている。

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また次の記事でお会いしましょう。
ヒロ

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