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伊賀古夜姫(いかこやひめ)を訪ねて

   ー 五十依姫いそよりひめへの追憶 ー


    神野神社と宮川神社 

   下鴨神社(賀茂御祖神社)さんに祭祀される
   イカコヤ姫。
   そのイカコヤ姫のホームと囁かれる
   神社さんの候補は
   いくつかあるようです。

   なかでも、神野神社(丹波市氷上町)さんと
   宮川神社(亀岡市宮前町)さん、
   上記、有力説が伝わる2社に絞り、
   参詣してみました。


宮川神社 参道口


宮川神社 鳥居

   実際に詣でた印象、
   境内で感じたものなどを踏まえて
   披瀝しますと、
   私の一票は神野神社さんとなります。 


神野神社 本殿

   元あった鎮座地より
   現在地に遷ってこられたとのこと。
   仏教伝来の波に、
   寺院建立のため社地を譲られたようで
   その際、賀茂神社(氷上町)と当社とに分社をして
   イカコヤ姫を祭祀しているということです。

   神仏習合の雰囲気は
   少なからずで苦手ですので、
   この時習合しなくてよかったな、
   当時の人々が踏ん張って
   堪えたのだな、と恣意的に想像します。

  
    下鴨祭神のホームがなぜに氷上の地

   イカコヤ姫は、
   3代大物主コモリ・ヨロギマロ・ミホヒコ
   さんの3女と伝わります。

   母はシラタマ姫。
   白山神(ククリ姫)の曾孫にあたる方といい、
   伝説によると彼女は、
   ミホヒコさんの子を
   18人お産みになられたとか。

   すべて女の子のようで、
   3女イカコヤ姫のほか、
   長女モトメ姫(彦火火出見尊典侍)、
   次女タマネ姫(2代蓬莱皇君ホノアカリ内宮、
   ニギハヤヒの母)、
   7女ミタラシ姫、
   11女ミチツル姫、
   15女ハザクラ姫
   などの姉妹がおられたといいます。

   大物主の血筋が
   何故に丹波国の氷上の地に、となりますが、
   3代大物主コモリさんは医学、薬学に
   精通していたと同時に
   治水のパイオニアでもあったようです。

   彼を「水分神」と称えたのも
   そういう背景があったのですね。

   ご存知のように氷上の地、神野神社近くには、
   日本海側へ流れる由良川水系と
   瀬戸内海側へ流れる加古川水系の境界線、
   谷中分水界があります。

   神話期の頃は、自然災害などが起きると
   水利権等を巡って、
   争い事も頻発したことでしょう。

   そこで治水のパイオニア「水分神」が
   当地に赴き、
   分水界周辺のインフラ整備に着手、
   氷上の地に安定と繁栄をもたらせたことは、
   想像に難くありません。

   コモリさんが氷上に拠点を移したおりに
   イカコヤ姫が生まれた。
   それは自然に浮かぶ考察といえるでしょう。

  
  大物主家一族は大和で生を享けるとは限らない

   大物主一族と聞くと、
   大和国一ノ宮大神神社さんを
   イメージしますね。

   ところが
   歴代の大物主さんは、
   大和以外の日本各地で
   お生れのようです。

   3代コモリ。
   アワ海・萬木ヨロギ(現滋賀県琵琶湖北西部)で
   2代クシヒコ&ミホツ姫に
   生まれる(與呂伎神社)。

   4代フキネ(天葺根命・天冬衣神)。
   筑前国夜須(現福岡県筑前町)で
   父の3.5代カンタチ(天神立命)と
   曽於国の女王フトミミに
   生まれる(於保奈牟智神社)。

   因みに「地名重複エリア」で知られる
   福岡・朝倉(旧三輪町)と奈良・桜井(三輪)。
  
   喧々囂々、侃々諤々諸説あるのでしょうが、
   荒れる筑紫を鎮めるため、
   筑紫御使ツクシヲシカとして出向していた
   3.5代カンタチさんと4代フキネさんが、
   帰られぬ大和を想って筑紫に同じ地名を付け、
   まちづくりをした説。
   こちらに一票を投じます。

   5代クシミカタマ。
   畿内から阿波へ向かう
   ワニ船(大型高速帆船)の中で
   生まれる(大阪湾から瀬戸内海)。
   ワニ船で生まれたので「ワニヒコ」と
   御名が付く。
   ツミハ(八重事代主)&タマクシ姫の長男。
   子の無い4代フキネの養子となり大物主を継ぐ。

   そのほか、
   10代オオタタネコ(意富多々泥古命)は、
   和泉国(大阪府南西)がホームだったようです。

   ですから、
   イカコヤ姫の生誕地が氷上であっても
   それは大物主家一族の
   自然な1ページなのでしょう。



神野神社 境内より


    イカコヤ姫とイソヨリ姫への追憶

   別雷大神の命により、
   鴨川デルタ(河合かわあい分土わけつち)に
   河合県(賀茂県)を立ち上げた
   鴨武津身命カモタケツミ(賀茂県を統べる者の意)。

   イカコヤ姫と結ばれ、
   タマヨリ姫をもうけます。
  
   玉のように透きとおる娘タマヨリ姫を
   タケツミ&イカコヤご両親は
   慈しんだことでしょう。

   ですが、娘の成長を見届けきれないまま、
   タケツミ&イカコヤ夫婦は身罷ったようです。

   両親を早くに亡くし、
   処女懐胎により生まれた父無し子と
   二人きりで
   出雲路森に籠もっていたという
   タマヨリ姫。

   そんなワタカミ娘の噂を聞いた
   天君賀茂御祖神カモヒトさん。
   不憫に想い、大山咋さんを使いに出して、
   姫を宮へ招きます。

   拒んでいたものの、度重なる説得に応じ、
   宮に上がった姫。
   玉の様な美しさに凜とした背筋。
  
   天君御祖神、ヤマクイさんを前に
   こんなことを言いました。
   「父はカモタケツミ、母はイソヨリ、
   われはタマヨリに名付きます」

   続けて
  「祖父は龍宮の主、ハテカミにございます」
   こう言って口を閉じた姫。
   となると姫の父方はワタカミ筋で確定です。
  
   それで、
   姫が「母はイソヨリ」と仰る以上、
   姫の母はイソヨリ姫なのですね。
   姫の母は地球上にひとりしかいませんから、
   イソヨリ姫=イカコヤ姫の解釈しか
   成り立たない事が
   定まりました。

 
   豊玉姫を支え歴史から消えたイソヨリ姫

   改めてコモリさんとシラタマ姫の
   3女であると定まったイソヨリ姫。

   大物主家と越国の血筋を持つ女神は、
   彼女の祖母である
   「局預かり」ミホツ姫の推挙もあって
   筑紫皇君彦火火出見ヒコホオデミ卯木根ウツキネさんの
   内侍(12の后)となられたようです。
   (局預かり→当時、内宮関係はミホツ姫が
   取り仕切る)

   やがてウツキネさん、豊玉姫夫婦に
   去別騒動が起きます。
  
   氣比の松原で急遽出産することとなった
   豊玉姫。
   紐解くと、船が難破、水難事故も
   這々の体で浜に辿り着き出産という
   筆舌に尽くしがたい過程が
   そこにはありました。

   出産後、疲労困憊のあまり、
   ベッドの上、全裸で腹這いになる姫。
  
   先に北ノ津(敦賀)に来ていたウツキネさん。
   一連の妻の身に起きた諸事情を知り、
   案じるあまり様子を伺いに来ました。
   見てしまいました。
   全裸の姫を。

   全裸でうつ伏せの姫を描写するメタファーが、
   「ワニに化ける」。
   直接的な表現は無粋だったのと、
   ワタカミを意味するワニが織り混ざり、
   こんな例えになったのかもしれません。
  
   「打ち上げられたマーメイド」くらいが、
   姫のイメージには合いそうですが。

   姫は恥じ入ります。
   こんな不様な姿を見られた以上、
   もう宮へは上がれません。
  
   昔はこんな姿を見られるなんて
   あり得なかったのでしょうね。
   ましてや天君ヒコホオデミの内宮です。

   侍っていた弟のカモタケツミさんを連れ、
   かわたれ時を待たずして産屋を後にします。
  
   辿り着いたのが、京都鞍馬の貴船神社。
   当時は「ミツハメ社」と仰ったそう。

   福井の敦賀から
   京都鞍馬まで移動なさったのですね。
   よほどの決意、腹を括った姫を想像します。

   そのまま今の貴船神社奥宮に籠もった豊玉姫。
   俗世と関係を断ちます。
   身内のワタカミですら
   面会出来ませんでした。


 「去別のウツキネと豊玉姫を再び結ぶ」という名

   誰とも会わない姫。
   ですが、面会出来る方がひとりいました。
   ヒコホオデミ内侍のイソヨリ姫です。

   妻を想うウツキネさんの気持ちを
   豊玉姫に伝える使者の役を
   買って出ていました。

   身を恥じ、世間を遠ざける姫も
   イソヨリ姫には扉を開いたようです。

   ウツキネの想いを歌にして
   伝えたというイソヨリ姫。
  
   その優雅な挙措に
   豊玉姫の気持ちも少しずつ解けていったのか、
   二人のあいだには殊な縁が育ったようです。

   やがて宮へ戻る決心をした豊玉姫。
   イソヨリ姫を弟タケツミの妻にと夫に進言。

   快諾となり、晴れて夫婦となった
   タケツミさんとイソヨリ姫。

   「イソヨリ姫」とは、
   離ればなれのヒコホオデミと
   豊玉姫を再び結びつけた姫
   という意を表した御名といいます。

   この結婚を機に
   河合県(賀茂県)の正式な領主に
   就任したカモタケツミさん。

   没後、タケツミ&イソヨリ夫婦は、
   「河合の神」として
   河合の宮(河合神社)に祀られます。


    ヲシテはタケヒト、鏡は河合、剣は別雷

   残された河合神の子、タマヨリ姫。
   天君賀茂御祖神と結ばれ、稲飯イナイイ命と
   神武カンタケさんに恵まれます。
  
   天君が世を去るとき、
   姫は三種を預かります。
   
   天君が罷り、世が乱れると
   姫は、神璽カンヲシテ(携帯用皇位証)を
   息子タケヒト(神武)に授け、
   ヤタ鏡は河合の宮に、
   八重垣の剣は別雷宮に
   それぞれ預けたようです。

   世が落ち着くと
   天君&タマヨリ姫は「賀茂御祖神」として、
   タケツミ&イソヨリの「河合神」とともに
   河合の宮に祀られました。


    イクメイリヒコ・イソサチの慧眼

   時は垂仁天皇の御代。
   イクメイリヒコ・イソサチ(垂仁天皇)さんは、
   幾多の善政を敷いた方と伝わり、
   とりわけ目を引くのは、
   アマテル神と豊受大神の神霊を
   伊勢にて祭祀するよう命じたことであったり、
   崩御にともなう臣の殉死を廃止
   したことなど。

   当の御本人は
   内宮サホ姫の兄サホヒコさんに
   謀殺されかけたりしますが。

   なかでもフォーカスしたいのが、
   大賀茂都美命オオカモスミに命じて、
   御祖神のための社を新築、
   4柱を祀る河合神社から、
   御祖神(カモヒト&タマヨリ姫)を新社へ遷し
  「御祖の社」としたこと(賀茂御祖神社の創設)。

   並びに
   老朽化した上賀茂神社(ワケツチ宮)の
   社殿の新設を命じたこと。


   イソサチによる老廃したワケツチ宮の復興

   豊玉姫が別雷大神を
   上賀茂神山で祭祀したことに
   始まる上賀茂神社。
  
   豊玉姫から祭祀を引き継いだ
   タマヨリ姫亡き後は、
   風化し、忘却に晒されたようです。

   御生山に遷り、
   更にイソサチさんが手を加えたことにより、
   「愛の息吹き」が行われ、
   荒れた上賀茂信仰(別雷信仰)は
   見事蘇生を見ます。
   まさにイソサチさんがもたらした
   アウフヘーベンと言っていいでしょう。

   今ある上賀茂・下鴨神社に想いを馳せれば、
   垂仁天皇はもちろんのこと、
   任務を遂行したオオカモスミさんの功績も
   記憶に留めておきたいところですね。

   イソサチさんは、
   新築成った
   賀茂社(分土宮・河合宮/上賀茂・下鴨)の
   斎主にオオカモスミさんを任命。
   信頼の度合いが垣間見える気がします。

   「オオカモツミ」という名は、
   「賀茂神を斎き祀る者」を意味し、
   賀茂朝臣氏かものあそんうじの祖といいます。
   大物主直系の方。系譜では、
   オオタタネコ→ミケモチ→オオカモスミと
   続きます。

   またオオカモスミさんは、
   イソサチさんの父ミマキイリヒコ・ヰソニヱ
   (10代崇神)さんより、上記事績の称賛を得、
  「賀茂君かものきみ」の姓を賜りました。

   そして、今回フィーチャーした
   イソヨリ姫はと言えば、
   父コモリさんは大物主なので賀茂朝臣筋、
   夫カモタケツミさんは
   賀茂県主氏の祖とされますから、
   彼女は、
   河合神社祭神として鎮まるに
   相応しい女神でしょう。

   娘のタマヨリ姫は
   朝臣筋と県主筋のハイブリッドと
   いうことになりますね。

   
     御祖神とは

   御祖神の意味するところ。
   そこには重厚なレイヤーが存在するようです。

1⃣宇宙の根源神、源流神霊であるアメノミヲヤ

2⃣絶対神、日の神アマテル・ワカヒト

3⃣初代天君、別雷大神ニニキネ・キヨヒト

4⃣3代天君、御祖スヘラキウガヤフキアワセズ・カモヒト

5⃣陰陽御祖神メヲノミオヤカミカモヒト&タマヨリ姫

 祀られる神社により、上記の意味を持つそうです。

   五十依姫イソヨリヒメ=河合の神
   
   賀茂建角身カモタケツミ命=河合の神、賀茂県主氏祖
   
   玉依姫タマヨリヒメ=賀茂御祖神(夫婦の御祖神メヲノミヲヤノカミ
   
   大賀茂都美オオカモスミ命=賀茂社(上賀茂・下鴨)
            初代斎主、賀茂朝臣祖

別雷の天君ワケイカツチノアマキミ(初代)=別雷大神・ニニキネ・キヨヒト
  
御祖に継がふ天君ミヲヤニツカフアマキミ(2代)=氣比大神・ヒコホオデミ・ウツキネ
  
御祖天君ミヲヤアマキミ(3代)=賀茂御祖神・ウガヤフキアワセズ・カモヒト

   天君・アマキミ=天皇・アマスベラギ
   (天神がサポートする君。天神の顕現)

   控えめな女神イカコヤ姫・イソヨリ姫に拝礼。
  

  

   

  
  
  
  

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