正解を探す前に、目の前を見る
先日、ある企業のミッション・ビジョン・バリュー浸透プログラムについて、2時間ほど打ち合わせをしました。
経営者の方が実現したいことを聞きながら、
社員のみなさんは今、どんな気持ちで働いているのか。
普段、どんなコミュニケーションが行われているのか。
会社の理念をどのように受け止めているのか。
そんなことを一つずつ確認しながら、プログラムを一緒に考えていきました。
話し合いの末、「この案でいきましょう」と方向性が決まったとき、経営者の方からこんなことを言われました。
「固定のプログラムがあって、そこに私たちがのっかるということではないんですね」
言われてみれば、確かにそうです。
でも、自分にとっては、それは当たり前のことでした。
同じ「理念を浸透させたい」という会社でも、必要なことはそれぞれ違います。
理念そのものが十分に伝わっていない会社もあれば、理念は理解しているけれど、日々の仕事とのつながりが見えない会社もある。
あるいは、理念について話す前に、社員同士が安心して話せる関係をつくるところから始めた方がいい場合もあります。
同じ目的地に向かうとしても、現在地が違えば、進む道は変わる。
考えてみれば、当たり前のことです。
でも、私たちはつい「正しい方法」を探したくなります。
部下が思うように育たないときも、
「どう指導するか」を考える前に、
その人は今、何を感じているのか。
何に困っているのか。
何ならすでにできているのか。
そこを見ることがとても大切です。
チームがうまくいかないときも、新しい仕組みを導入する前に、
「今、このチームでは何が起きているんだろう」
ということを捉える。
それを捉えられるかどうかで、方法は全く変わってきます。
そして、これは自分自身についても同じような気がします。
「これからどう生きるか」
「自分は何をしたいのか」
そんなことを考えるときも、つい答えを探したくなる。
でも、その前に、
今、自分は何を感じているのか。
何に違和感があるのか。
どんなときに少し心が動くのか。
そこをちゃんと見る。
正解を探すより、まず現在地を知る。
そんな順番がとても大切だと感じています。
「固定のプログラムがあって、そこに私たちがのっかるわけではないんですね」
クライアントからいただいたこの言葉を聞いて、改めてそんなことを考えました。
人や組織に関わるときに必要なのは、たくさんの「正解」を持っていることだけではなく、
目の前で起きていることを、ちゃんと見る力なのかもしれない。
そして、それは誰かに関わるときだけではなく、自分自身に向き合うときも、きっと同じなのだと思います。
