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nekonosara
「処方:おとぎ話バンドエイド。診療所より」ヒスイの410字ショートショート
「先生、僕は父を殺したのです」
患者の向かいに座るドクターは、
「『父殺し』はおとぎ話の定型です。男性にとって父親は、常に超えるべき巨大な壁です。イメージの殺人はあり得ますよ」
患者は少し考え、
「でも僕は、父の流した血の温度を覚えています」
「そうでしょう。おとぎ話の細部はリアルです。物語は細部によって成立するのですから」
「本当にお話なのですね? ありがとうございます。不安でついあんな事を…」
青年が出ていった後、ナースが入ってきた。
「先生、あの人は本物の父親殺しですよ。刑務所で自殺未遂を起こしてカウンセリングに来た。おとぎ話じゃないです」
「そうだね。でも物語には『一時避難の力』がある。これで自殺は止まるはずだ……ああ、彼のカルテは片づけないで」
「なぜです?」
「彼はまた来る。真実は何度でも立ち上がるからね。でも、おとぎ話はウソから入って現実を救うんだ」
ドクターはカルテを書きはじめた。
いつか救われる未来のために。
【了 406字】
本日は、たらはかにさんの #毎週ショートショートnote に参加しております。
お題は『おとぎ話診療所』
相方ヘイちゃんはこっちです!
とにかく、最後の一行が効いてる。
とにかく、さいごの一行が、きいてる!!!
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