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犬猫へのアマニ油:実は良くない?②

こんにちは!
世界中の動物たちの幸せと健康を願うホリスティック獣医Saraが、イギリスからお届けしております ʕ•ᴥ•ʔ


皆さんは、愛犬・愛猫・動物たちに手作りごはんを与えていますか?
本日は前回お伝えしていた記事『犬猫へのアマニ油:実は良くない?①』の続編をお届けしていきます!


今回初めて確認した!という方は、前回の記事『犬猫へのアマニ油:実は良くない?①』から読んでいただくことをお勧めします。




ALAを変換できないなら、犬猫に亜麻仁を与えない方が良い?


ALAを豊富に含む亜麻仁油愛犬愛猫に与えても、『オメガ3補給源』としての実質的な効果は限定的です(ALAを殆ど代謝できないため)。

しかし、『亜麻仁油』という油ではなく、亜麻仁油の原料となる亜麻仁(フラックスシード)自体には、オメガ3脂肪酸であるALA以外にも、犬猫の健康に役立てられる他の成分が含まれています。


1.リグナンの一種(セコイソラリシレジノール・ジ・グルコサイド:SDG)


亜麻仁(アマニ)は、他の植物と比較しても非常に多くの『リグナン』を含んでいる食材です。
リグナンというのはポリフェノールの一種で、抗酸化成分植物性エストロゲンとしての働きを持っています。


特に米国テネシー大学の研究などで、リグナンが副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を抑える可能性が示され、犬のクッシング病のホリスティック医療(補完療法)にも利用されていることがあります。


2.食物繊維(水溶性・不溶性)


アマニの種子の約25〜30%は食物繊維です。

不溶性食物繊維が便の嵩を増やし、水溶性食物繊維(粘液質:ムチレージ)が善玉菌のエサ(プレバイオティクス)となって、便秘・軟便の両方の改善に役立てることができます。



また、そういった食物繊維の摂取は食後の血糖値の急上昇を緩やかにし糖尿病管理や肥満を防ぐことも期待できます。


3.アマニ由来の粘液質(ムチレージ)


皆さんは、アマニ自体を水に浸したことはありますか?

表面の成分が溶け出しジェル状になって、ヌルヌルしてくるんですよね。
このトロミの正体がムチレージと呼ばれる糊状物質
オクラやアロエベラ、チアシード、スリッパリーエルム、海藻類などにも含まれていますが、こういった粘性物質は粘膜の保護に役立てられると言われています。


上記のメリットもあるため、アマニ自体を愛犬や愛猫に与えることで健康上の恩恵を受けられる可能性はありますが、注意点があります。


『亜麻仁油=亜麻仁』ではない!?


皆さんは、『亜麻仁油』と『亜麻仁』の違い、分かりますか?

◆『亜麻仁油』というのは、亜麻仁から『油の成分』を抽出した植物油ですから、オイル100%となります。

◆『亜麻仁』というのは種子そのものを指すため、その中にはオイルだけでなく、さまざまな栄養を豊富に含んでいます。

つまり、亜麻仁油(オイル)だけを与えている場合、オイル100%になるため、精製の工程で多くのポリフェノールは取り除かれてしまいます

そのため、先ほど解説したリグナンや食物繊維、ムチレージなどの健康に役立てられる成分は殆ど摂取できないのです (·(ェ)·)


○○オイルは健康にイイ!』と言われていても、結局は加工された植物油であることには変わりありません

エネルギー量も 1gあたり9 kcal としっかりあります。
そして、愛犬や愛猫に与える場合では、オメガ3脂肪酸としては上手く利用できません。


亜麻仁油として与えるメリットについて、考えてみてください。
もしも与えたい気持ちがあるのであれば、亜麻仁油を与えるのではなく、亜麻仁自体を与える方が良いのでは?と飼い主さんにお伝えしています。


実はこれは、他の種実類についても同じことが言えます

植物油はどんなものでも『植物油』であって、オイルは『オイル』です。


特に脂質異常症(総コレステロール値 Tchol・中性脂肪 TG の上昇)の傾向が見られている場合では、オイルをそのまま与えるとリンパ管に負荷がかかる可能性があることも指摘されています。



健康な犬に植物油を与えた後に超音波検査をすると、腸リンパ管拡張症という病気の犬で見られる所見と同じようにエコーパターンが変化することが示されているのです(8)
(注:あくまでも可能性の話です。健康な犬に植物油を与えると病気になるという意味ではありません)


個人的に考えているのは、これはショ糖を含む甘い柿を食べても血糖値が急上昇しないのに、ショ糖が主成分である砂糖をそのまま食べると血糖値が急上昇しやすくなるのと類似しているのではないか、ということ。


種実類から摂取するよりも、そこから抽出されたオイルを摂取するほうが、一気に血液中濃度が上がりやすくなって、身体への影響が出やすくなるということが考えられます。



「オイル」と言えば『天然』のイメージがあるかもしれませんが、脂質100%の加工食品です。
胆嚢粘液のう腫や胆泥症、膵炎などの病気になっている場合も影響を受けやすいと考えられますから、オイルの扱いには十分に注意してあげてくださいね。


ただし、亜麻仁のなかには『リナマリン』という天然の毒素成分(青酸配糖体)が含まれていて、摂取されて体内で分解された時にシアン化水素(青酸)を発生させます。



青酸は、熟していない青梅の種に多く含まれているアミグダリンが体内で分解された時にも発生することで有名な物質。
頭痛めまい嘔吐などの症状を引き起こすため、生のまま与えることは推奨されません



そのため、少量であれば問題ないと言われているのですが、水にさらしたり加熱処理を行うことで溶出したり分解されるため、もしも与えたい場合は、加熱処理済み(ローストタイプ)のアマニ粉末を利用するようにしましょう。


ただし細かい点になりますが、粉末になっていると酸化しやすいため、オメガ3脂肪酸を豊富に含むアマニの粉末も、開封したら早めに使い切らないと品質が落ちやすいので適切に管理する必要がありますネ


まとめ


今回は、手作りごはんのレシピやペットフード、おやつ、サプリによく含まれている『亜麻仁油(フラックスシードオイル)』について、以下のポイントをお伝えしていきました。

1.愛犬愛猫はALA(α-リノレン酸)を上手く代謝ができない
2.植物油は、どんなものでも『植物油(脂質100%)』
3.オメガ3:オメガ6脂肪酸の比率の盲点
4.オイルのまま与えると急激に血液中濃度が上昇する可能性
5.アマニ自体を与えることのメリットと注意点


一緒に暮らしている愛犬愛猫・動物たちのために、今回の情報が参考になれば幸いです。
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参考文献


1. Bauer JE. The essential nature of dietary omega-3 fatty acids in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2016;249(11):1267-1272.
2. Purushothaman D, et al. Evaluation of breed effects on n-3 PUFA metabolism with dietary flaxseed oil supplementation in dogs. Br J Nutr. 2011;106 Suppl 1:S139-41.
3. Dunbar BL, Bigley KE, Bauer JE. Early and sustained enrichment of serum n-3 long chain polyunsaturated fatty acids in dogs fed a flaxseed supplemented diet. Lipids. 2010;45(1):1-10.
4. Burron S, Richards T, et al. The balance of n-6 and n-3 fatty acids in canine, feline, and equine nutrition: exploring sources and the significance of alpha-linolenic acid. J Anim Sci. 2024;102:skae143.
5. Pawlosky R, et al. Essential fatty acid metabolism in the feline: relationship between liver and brain production of long-chain polyunsaturated fatty acids. J Lipid Res. 1994;35(11):2032-40. PMID: 7868981.
6. Wander RC, Hall JA, et al. The ratio of dietary (n-6) to (n-3) fatty acids influences immune system function, eicosanoid metabolism, lipid peroxidation and vitamin E status in aged dogs. J Nutr. 1997;127(6):1198-205.
7. Saker KE, Eddy AL, et al. Manipulation of dietary (n-6) and (n-3) fatty acids alters platelet function in cats. J Nutr. 1998 Dec;128(12 Suppl):2645S-2647S.
8. Pollard RE, Johnson EG, et al. Effects of corn oil administered orally on conspicuity of ultrasonographic small intestinal lesions in dogs with lymphangiectasia. Vet Radiol Ultrasound. 2013;54(4):390-397.




今回の内容は、Standfmでも解説してました!
料理しながら、掃除しながら、通勤中など、ながら作業しながら学べる!音声から情報を確認できます☆彡

Standfm【第1203回:亜麻仁油は本当に必要?犬猫の栄養学とリスク】


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