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🏙 街で読む経済 第173回 ~空き家は「持ち主がいる」だけでは動かない~

🏚️ 持ち主がいるなら、売ればいいのに

街を歩いていると、
ときどき、

長いあいだ使われていないような
家を見かけます。

庭には草が伸び、
雨戸は閉まったまま。

そんな家を見ると、
つい思います。

「誰も住んでいないなら、売ればいいのに。」

あるいは、
「古いなら、解体すればいいのに。」

でも、
不動産は、

持ち主がいるからといって、
簡単に動かせるとは限りません。


👥 持ち主が、一人とは限らない

家や土地には、
一人の所有者がいる。

なんとなく、
そんなイメージがあります。

でも実際には、
一つの不動産を、
複数の人で所有していることがあります。

これが、
「共有」
です。

たとえば、
親が持っていた不動産を、

相続によって、
複数の人が受け継ぐ。

すると、
一つの家や土地を、
みんなで持っている状態になることがあります。

外から見ても、
もちろん分かりません。

家は一軒。

でも、
持ち主は一人とは限らないのです。


📄 「自分の分」と「全部」は違う

共有している不動産では、
一人ひとりに、
それぞれの「持分」があります。

ここで少し、
ややこしくなります。

自分の持分についてできることと、
家や土地の全部について
できることは、同じではありません。

自分の持分だけなら、
単独で売ることもできます。

でも、
家や土地そのものを
丸ごと売るとなれば、

一人だけで、
「今日から売ります」
とは決められません。

みんなのものだから、
一人では決められないことがある。

まずは、
これくらいの理解で十分です。


🧩 人が増えると、話し合いも増える

共有している人たちが、
同じ考えなら、
話は比較的進みやすいでしょう。

ところが、
「売りたい」
という人もいれば、

「残したい」
という人もいるかもしれません。

遠くに住んでいる人もいる。
すぐに連絡が取れない人が
いる場合もあります。

さらに、
相続が重なれば、
関係する人が増えていくこともあります。

土地や建物は、
同じ場所に、
ずっとあります。

でも、
それをどうするか決める人たちは、

増えたり、
事情が変わったりする。

ここに、
不動産ならではの難しさがあります。


⏳ 動かないことにも、コストがある

話し合いに時間がかかっている間も、
建物はそこにあります。

草木は伸びます。
建物は古くなります。
管理も必要です。

税金などの負担が
発生することもあります。

つまり、
何も決まらないからといって、
何も起きていないわけではありません。

「決められない時間」にも、
コストはかかる。

これは、
不動産を見るうえで、
意外と大切なポイントです。


🏘️ 外からは、何も見えない

街を歩いている人から見えるのは、
古い家。

伸びた草。
閉まった雨戸。

それくらいです。

登記の内容も、
持ち主たちの事情も、

話し合いの状況も、
外からは見えません。

だから、
「どうして売らないんだろう」

と思っていた家にも、
見えないところで、
いろいろな事情があるのかもしれません。

前回、

土地は広さだけでは分からない、
という話を書きました。

不動産には、
形や道路だけでなく、

「誰が、どのように持っているか」

という、
目には見えない条件もあります。

【一言コラム:空き家を放置する「見えない罰金」】

​「話し合いがまとまらないから、とりあえずそのままにしておこう」。実はこれ、家計にとってとても危険な選択です。

​管理されずボロボロになった家は、自治体から「特定空家」に指定されることがあります。そうすると、それまで安く抑えられていた土地の固定資産税の特例が外され、税金が突然跳ね上がってしまうのです。「決めない」という選択は、ときに高いコストを伴うのですね。


📝 最後に

空き家を見ると、
建物ばかりに目が向きます。

古い。

傷んでいる。

使われていない。

でも、
不動産を動かすために必要なのは、
建物だけではありません。

その後ろには、
所有する人がいて、
それぞれの意思があります。

だから、
建物がそこにあることと、

自由に動かせることは、
まったく別の話です。

不動産を動かすのは、土地や建物ではない。
最後に動かすのは、人の意思なのかもしれない。


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