🏙 街で読む経済 第171回 ~ 「電線のない空」は、タダではない~
🏙️ 大通りでは、空が広い
街を歩いていると、
妙に空が広く感じる道があります。
新しく整備された大通り。
歩道も広い。
街路樹もある。
そして、
ふと気づきます。
電柱がない。
電線も、
ほとんど見えません。
空がすっきりしているだけで、
街まで少し広くなったように感じます。

🕸️ 一本入ると、電線だらけ
ところが、
そこから一本、
住宅街へ入ってみる。
電柱。
電線。
通信線。
いろいろな線が、
建物から建物へ、
頭の上を走っています。
場所によっては、
「こんなに線があったのか」
と思うほど。
同じ街なのに、
一本の道路を曲がっただけで、
空の景色がまるで違います。

⚡ 電柱にも、理由がある
では、
全部の電線を地下へ入れれば
いいのでしょうか。
話は、
それほど簡単ではありません。
電柱と電線は、長いあいだ、
電気や通信を街へ届けるための
重要なインフラとして使われてきました。
すでに設備が広く存在し、
工事や改修もしやすい。
私たちが毎日使う電気や通信を、
当たり前のように届けています。
古いから残っている、
というだけではありません。

🌳 電線をなくすにも、お金がかかる
一方で、
電線を地下へ移す
「無電柱化」も進められています。
景観がすっきりする。
歩道を使いやすくできる。
そして、
災害時の道路閉塞などを
減らすことも期待されています。
ただし、地下へ設備を入れるには、
当然、工事が必要です。
道路を掘り、設備を設置し、
さまざまなインフラとの
調整もしなければなりません。
つまり、
「電線のない空」は、
何もしなくてもできるわけではない。
そこには、
見えないところで、
大きな費用がかかっています。

💰 「見えないもの」にお金を使う
ここが、
インフラの面白いところです。
きれいに整備された道路を歩いても、
地下にある設備は見えません。
だから、
私たちはつい、
何もない空を見て、
「すっきりしているな」
と思うだけです。
でも、
その「何もない」を作るために、
お金が使われている。
景観。
防災。
歩きやすさ。
そして、
整備にかかる費用。
街づくりでは、
いろいろな価値とコストを比べながら、
どこへお金を使うかを
決めなければなりません。

【一言コラム:電柱の代わりにある「箱」】
電線がない大通りを歩くとき、歩道の端にグレーや茶色をした大きな「四角い箱」が置かれているのを見たことはありませんか?
あれは「地上機器(トランスボックス)」と呼ばれるものです。実は、電柱をなくしても、電柱の上にあった変圧器などの機械までは地下に埋めきれないため、地上に置かれているのです。何もない空を見上げたあとは、歩道にあるあの箱を探してみると、地下を走るインフラの気配を感じられるかもしれません。
📝 最後に
いつもは、
ほとんど気にしない電柱と電線。
でも、
一度意識して街を歩くと、
ある道には電線があり、
ある道にはありません。
その違いには、
街の歴史や、
整備の方法、
そして、
公共投資の選択が隠れています。
何もないように見える、
その景色にも、ちゃんと経済があります。

何もないように見える空にも、実はインフラの値段が隠れている。
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