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PERCHの聖月曜日 175日目

今日の情況は、だが、もっとみえにくくなっている。そのわけは第一に、関係書類がすべて文書保存庫(アルヒーフ)に入っていて、読めない機密文書になっているということ。文書保存庫の扉は、書類が事実と一致し、計画目標がそのとおりに実行されてしまわないかぎりは、永久に開かれない。第二に、機密文書ですらもう意味を失っているということ。リアルなデータの流れはもはや文字や筆記者を介さず、ネットワーク化されたコンピューターのあいだを、解読不能の数列となって流通している。テクノロジーは文字を無効にするだけではなく、いわゆる人間というものから文字を吸い上げ、どこかへ運び去ってしまった、したがってそのテクノロジーがそもそもどんなものであるかということを、文字で記述することはもう許されない。以前は書物から、書物の後はレコードや映画から流れ出していたデータは、ブラックホールに、より正確にはブラックボックスにどんどん吸いこまれゆき、そのブラックボックスはまた、われわれに別れを告げる人工知能となって、名前をもたない総司令部へと漂い出してゆく。こうした情況のなかで、残されているのは懐古、つまり物語だけだ。どうしてこんなことになったのかはいかなる書物にも書かれていないし、そもそもそれを書物に書くということができない。書物という古いメディアはいまや限界領域にまで追いやられている。そしてそこではじめて少しは事態の重大さに気づいて、いまや情況の徴しや証拠をせっせと記録しようとしている。いまの書物は、ふたつの視覚メディアがそこでぶつかるインターフェースのようだ。走査線が現れるかと思えばドット・イメージが浮かびあがり、それらは神話であったり、科学というフィクションであったり、神託であったり……。

ーーーフリードリヒ・キットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』石光泰夫、石光輝子訳,筑摩書房,2006年,p10-11

Close-Up of Crater Copernicus National Aeronautics and Space Administration (NASA)
Printer Eastman Kodak Co.
November 23, 1966


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