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パチン! 突然しゃぼん玉が弾けるような幸福なラヴェル@アリス=紗良・オット×指揮:カリーナ・カネラキス×都響_2025年7月5日

パチン! 突然しゃぼん玉が弾けて中から楽しいおもちゃや目くるめく風景が飛び出してきたかのように、ラヴェル《ピアノ協奏曲 ト長調》の演奏が始まった。

アリス=紗良・オットの弾くピアノの音色は実に色彩豊かで、柔らかくどこまでも広がりながら、しっかりとした芯がある。客席で私は、その芯をガイドに様々な風景を巡るように聴いていた。
この夜アリスがまとっていた白いドレスにはスパンコールがちりばめられていて、彼女の身体の動きに合わせて光を四方八方に拡散させていた。それは全ての音から溢れ続けるのと同じきらめきだった。

ピッコロとトランペットの楽しげなメロディー。異国情緒豊かな風景。随所に顔をのぞかせるジャジーなスパイス――。
まるで冒険するように聴いた第1楽章に続き、長いピアノの独奏で始まった第2楽章。心が躍る一方どこか物悲しいこの楽章が終わると、再び演奏が始まる前の静寂に帰る。

つと、華々しいドラムロールと金管楽器群のファンファーレで第3楽章が始まった。そして、曲の終わりも同じファンファーレで、打ち上げ花火が爆ぜるように閉じる。
華々しいきらめきと、緊張感をはらむほど深い静寂とのコントラストも魅力的な演奏だった。

古い友人だという指揮者のカリーナ・カネラキスと手をつないで、満面の笑みで応えたカーテンコールの後に、アリスは裸足で跳ねるようにしてステージに戻ってきた。
アンコールに弾いたのは、アルヴォ・ペルト《アリーナのために》という現代曲。

「音と音の間(ま)や、響きは奏者とお客様がともにつくるもので、ライブでしか体験できない」
そうアリスが語った通りの曲だった。

後半のマーラー《交響曲第1番 ニ長調 「巨人」》も、実に色彩豊かで素晴らしかった!

夜明けとともに、世界がゆっくりと目覚め始めるような第1楽章の冒頭や、天界の扉が開く様を思わせる、神々しい金管の音色。
第3楽章は厳格さの中でもワルツのパートが実に優雅で、まるで人間の営みへの神の愛に包まれているようだった。
曲の最後はホルンとトランペットが立ち上がり、ファンファーレを。まるで世界を昇華させるような音色で、幸福が溢れて止まらなかった!

私の人生に音楽があることを、神に感謝します。

<出演>
指揮:カリーナ・カネラキス
ピアノ:アリス=紗良・オット
東京都交響楽団
<曲目>
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
<アンコール>
アルヴォ・ペルト:アリーナのために(ピアノ・アンコール)

【ききみみ日記】
★今回で投稿201回目になりました★
オペラ・クラシック演奏会の感想をUPしています。是非お越しいただけますとうれしいです。
現在未UPの、2023年分もこつこつ追加してまいります。
(2022年10月10日~2023年1月15日まで101回分を毎日投稿していました)


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