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「82歳の父、ATMに挑む(はずだった)暗証番号をびたくない娘の葛藤」


82歳父と「ハイテク銀行」の仁義なき戦い
朝、スマホが震えた。画面には「父」の二文字。
82歳の父からの電話は、だいたい急ぎか、盛大な勘違いの二択だ。
「……あ、もしもし。年金、下ろしたいから付き添ってくれ」
ついにこの日が来た。
実は最近、父は年金の振込先を近所の銀行に変えたばかり。
以前の銀行は、紙に名前を書いてハンコを「ポン!」と押せば、父の付き添いがあれば、認知症の母でもお金が下ろせるという、昭和の香りが残るアットホームな場所だった。
しかし、新しく変えた近所の銀行は、令和の荒波が吹き荒れる**「セルフ・ワンダーランド」**。
窓口には紙が置いていない。
銀行員さんの視線は「できればATMでお願いしますね」と語っている(気がする)。
82歳にとって、液晶画面との対話は、仁義なきサバイバルなのだ。

ミッション:暗証番号をいつ教えるか?
私は準備をしながら、作戦を練る。
一番の難関は**「暗証番号」**だ。
父は耳が遠い。
銀行の静まり返ったATMコーナーで、私が番号を教えるとなれば、
「お父さん! 1! 2! 3! 4! だよ!!」
と、全顧客にセキュリティ情報を大声でプレゼンする羽目になる。
かといって、紙に書いて渡すのも怖い。
父のことだ、忘れないようにと母(認知症)に共有し、二人で「1234……1234……」と呪文のように唱えながら歩く姿が目に浮かぶ。


しかもそのメモ、絶対に捨てずに大事に取っておくタイプだ。紛失が怖すぎる。
どのタイミングで教えるべきか……。
「押すタイミングで耳元でささやくか?」
「いや、手に書くかだな……」
そんな葛藤を抱えながら、いざ出陣の準備を整えていた、その時……。

衝撃のラスト
再び、スマホが震える。また父だ。
「…………あ、もしもし。銀行な、来週で良かったわ。日にち間違えてた」
ずっこけ。
「え? そもそも今日を何日だと思ってたの?」と聞くと、
「月末だと思ってた」
……お父さん、来週だよ。
どうやら父の中では、時間の流れがリニアモーターカー並みに加速しているらしい。
「年を取ると日が経つのも早くなるからね」
そう笑う父の声を聞きながら、私は握りしめていた「暗証番号伝達用メモ(予定)」をそっと机に置いた。
私たちの「ハイテク銀行攻略戦」は、来週に持ち越し。
それまでにお父さん、今度は暗証番号じゃなくて「今日が何日か」を忘れないでね。
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まめこ チャレンジして見て良かったと思えてくると思います。 宜しくお願いします。今後の励みになります。