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中身は空っぽ、メンツは国宝級!『92覇王花與覇王花』という愛すべき香港映画の狂気

こんにちは。今日は、1980年代〜90年代の香港映画ファン、とりわけ「レディーアクション(打女)」マニアなら避けては通れない、しかし日本では劇場未公開に終わった“幻の超大作(?)”について語らせてください。

その名は『92覇王花與覇王花(英題:The Inspector Wears Skirts IV)』(1992年)。

女性警察の特殊部隊を描いた名作『覇王花(レディ・スクワッド)』シリーズの第4作目にして最終作。
一言で言えば、「キャストは歴史的ドリームチームなのに、映画の8割が思いつきの訓練ギャグで終わる」という、当時の香港映画の野生のエネルギーが爆発した愛すべき迷作です。

■ 天下のリッチな「ゴールデン・ハーベスト」製作。でも……?

ムーン・リー(李賽鳳)といえば、80年代後半からは独立系プロのB級アクションで山奥や倉庫を飛び回っていたイメージが強いかもしれません。
しかし、本作はあのオレンジ色の四角いロゴでお馴染み、天下のゴールデン・ハーベスト(嘉禾)製作

それまでの他社B級映画とは明らかに画面の「リッチさ」が違います。大規模な訓練施設のロケ、景気のいい爆薬の量、そして何より画面に映る顔ぶれが「見たことある名脇役」だらけ。

  • コメディの女王:サンドラ・ン(呉君如)

  • 美少女アクションの代名詞:ムーン・リー(李賽鳳)

  • 2代目国際警察:シンシア・カーン(楊麗青)

  • 元キックボクシング王者:マイケル・チョウ(周比利)

  • 五福星のヒゲ:スタンリー・フォン(馮淬帆)

これだけのメンツが揃えば、ファンなら誰しも「最初から最後までアドレナリン全開の超絶大乱戦」を期待するじゃないですか。

■ 衝撃の事実:映画の「ほぼほぼ」がトレーニングシーン

期待を胸に再生ボタンを押した観客を待っているのは、ストーリーらしいストーリーが全く存在しないという衝撃の展開です。

とにかく、映画の7〜8割が「宿舎でのドタバタ」と「泥まみれの訓練シーン」
当時の人気女優たちの掛け持ちスケジュールに合わせたのか、はたまた現場の思いつきか、新兵たちがダラダラと内輪揉めしてギャグを並べているだけで、一向に事件が起きません。

極めつけは、中盤にぶち込まれる『ポリス・ストーリー/香港国際警察』のガチパロディ。
本家ジャッキーよろしく、2階建てバスにカッコよく傘で飛びつこうとしては傘がグニャリと壊れて地面に落下。逃げるバスの前に仁王立ちしたかと思えば、ブレーキも踏まれず思いっきり撥ね飛ばされる
BGMまで本家の「英雄故事」にソックリな曲を流す身内ネタ全開の悪ノリ。ギャグなのにスタントだけは体が浮くほどガチという、80年代から続く香港コメディの力技には爆笑するしかありません。

■ 芸歴15年の「ベテラン32歳」、クララ・ウェイの贅沢すぎる無駄遣い

そしてマニアとして一番もどかしい(そして愛おしい)のが、初代・香港電影金像奨の影后であり、70年代のショウ・ブラザーズ時代からバチバチに動いていた生くす玉、クララ・ウェイ(恵英紅)の参戦です。

1992年当時、彼女はまだ32歳前後。ムーン・リー(当時27歳前後)と共に肉体的には間違いなく全盛期で「まだまだ動ける」一番いい時期。
なのに、出演者が多すぎて彼女の活躍の場はほんの少し。
「おい!クララ・ウェイとムーン・リーとシンシア・カーンが同じ画面にいるんだぞ!もっとガッツリ戦わせろ!」と、配分の全般にツッコミを入れたくなります。

■ そりゃ、日本公開はできないわな(笑)

気づけば映画の残り20分。忘れた頃にようやく凶悪犯(マイケル・チョウら)とのガチバトルになだれ込み、ムーン・リーたちが「これぞGH!」というキレキレの格闘を見せて映画は唐突に終わります。

  • ジャッキー・チェンの製作看板はすでに外れている

  • アクションは最後の最後、ちょこっとあるだけ

  • 中身はひたすらユルいギャグの天丼

1992年当時、目が肥え始めていた日本の配給会社が買い付けを見送ったのも、今となっては100%納得です(笑)。費用対効果が尖りすぎています。

■ まとめ:中身の無さを「勢い」でチャラにする愛おしさ

ストーリーの整合性や伏線なんて二の次。「今、この瞬間笑えればいい」「最後の15分だけ本気出せばOK」という、自転車操業が生んだ当時の香港映画の野生のエネルギー。

今のハリウッドや洗練された映画に慣れた目で見ると完全に「アウト」な構成ですが、このユルさと、その中でたまに見せる本物の肉体美・アクションのキレのギャップこそが、私たちが愛してやまないあの頃の香港映画の空気感そのものでした。

中身は空っぽ、でもキャストは国宝級。
そんな『92覇王花』、もしどこかで見かける機会があれば、あの「バスに撥ねられるシーン」だけでもぜひニヤニヤしながら観てください。

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