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攻撃は口撃と書いて意味を成す…地方工場の小さな世界で 〜本日も曲者あり〜

🔹 ソモサン → セッパ
🔹 そうなんですね → そうなんですよ (クビアカ指摘のダメ出し会話録)


やはり図々しいが過ぎる。
明らかに一緒に掲げて許される同等範疇ではないだろう。


「そうなんですね」と聞いて、首を真っ赤にして怒ったクビアカ。
未だ記憶に留まる、しっかりトラウマ案件。
もしやハーラン、根に持つタイプなのだろうか。

※ 私(波瀾ミチ)持論がクビアカの信条と大きく隔たることは前回記した次第である。


そして…

件のことでクビアカに激しめの抗議を受けた後、私(波瀾ミチ)は一層発言を臆するようになり、返事のタイミングを測るようにもなった。

隣の席との間には、透明で頑丈で触るとビリビリくる(防音使用なら更に良し!)心理的砦を築いた。

そして国境を認めたことで、ビクビクしつつも一歩引いた所からクビアカの人となりを観察できるようにもなった。


クビアカは撃つ人、口撃の人。
あまり深く考えずに、頭に浮かんだことをそのまま口にしてしまう人。
相手の感情の着地先より、自らの感情の発射を大切にするタイプなのだと思う。

恐々と慎重にノロノロ進むカメ子(イコール波瀾ミチ)は、クビアカの目の上のタンコブだ。社内外とのやり取りが順当に進む中、隣席からの小言は増えるばかりだった。


工場から事務所にやって来るおっちゃん達は一見堂々と振る舞いつつも、内心ではお目当ての人が見つけられずに困っていることが多い。

つい声をかけて、書類を預かったりすると、忙しい時に限ってあっさり捕獲されてしまう。

しばしの昭和トークの後、仕事に戻ると、待っていました、とばかり降って来るのはクビアカの言葉だ。

「また良い人になっちゃってぇ。ハーランさんは相手を気持ち良くさせちゃうから捕まるんだよ、笑笑笑」

きっとその通りなのだけれど、勝手に削られる。
意味のない悲しみに浸る時間などないよね?カメ子。
とりあえず作り笑いをして、メールの返信を打っちゃおうか。

ただ、自信あり気なクビアカも自分に放たれた矢には敏感に反応していた。


昼休みは気分に合わせて社内外に関する毒を披露したあと、デスクにマイ枕を置いて英気を養うのがクビアカの常であった。(…しばし訪れるは心地良い静寂)

ある日のこと。

彼女が枕を出して十分程が過ぎたとき、スマホがブルブルと揺れ出した。


「ったく、うるせーなぁ。」


と言いながら、電話に出る英気養い中の眠り人。


険のある声色。
うわっ、みるみる首が赤く染まっていく。


「別にいいですから、ウチのことはほっといてください!」


通話は終わった。
来るぞ来るぞ…


「ちょっと、聞いてくださいよぉ!」


きっとちょっとでは終わらない。
されど私にノーと言える訳もない。
十三時までしばしの時間を残し休み時間は終了する。

クビアカ家から紙川工業㈱までは通勤に小一時間ほどかかるらしい。
それゆえ、子供達は母出勤の後に家を出るという。

小学一年生の娘さんはまだ通学慣らし中で、しばらくの間は世話人さんが交代で付き添ってくれるんだとか。なんとも至れり尽くせりなシステムである。

が、クビアカ家の二女と三女は時間になっても集合場所に現れない。電話はそれゆえの注意だったらしい。


「あのさぁ、時間になっても来なかったらどんどん先に行けば良いだけの話じゃないですか?待っていなくて良いですよって何度も言ってるのに、通じないんですよ、この人!」

「遅れてもウチの自己責任なんだから!なのに、心配だとか言ってきてぇ!」


??


それはたぶん…心配になります。

たとえお姉ちゃんが一緒だったとしても、
世話人さんは責任を感じるでしょ?
二人を置いては行けないと思う!


!!


心の声は秘めたまま。
札付きのチキンはあえなく撃沈した。

ヴーン…



それからも引き続き、退職のその日まで、あらゆることで彼女は吠え続けた。
私(波瀾ミチ)はもちろん第一ターゲット。
ビシバシネチネチ鍛えられたのである。



そして来たりしクビアカ退職の日。

「ハーランさんさぁ、私が辞めたら三ヶ月もたないよ、直ぐに辞めることになるからぁ。」

激しく同意。
ご丁寧に発してくださらなくても承知しております。



…が。

運命はクビアカの予言と重ならず、私(波瀾ミチ)は予想よりもずっと長い時間、クビアカの在籍年数の三倍以上を紙川工業㈱で過ごすこととなった。



想定外だったのは、お約束の置き土産である。
送付や業者連絡の漏れ、保管漏れどころか書類原本の行方不明。
加えて、クビアカから教えてもらったことが正解ばかりではなかったことも結構な数、判明した。

分類上デキル人なのだとは思うが、完璧な人ではなかったということか。



それから。

社内のあちらこちらから、「クビアカの元でよく頑張ったね」と声をかけられた。
…皆さん、ご存知だったのだ。



一年が過ぎ二年が過ぎた頃だろうか。
私(波瀾ミチ)は頭の中に地図?が出来上がっていることに気がついた。
抱えている案件の流れや確認内容、タイミング等の重要事項が頭の中で整理整頓されている?

夜中に中国やメキシコの夢を見て目が覚めることもなくなっていた。


リエさんやクビアカのようなテキパキタイプではないが、いつのまにかカメ子なりの、独自方法を見つけていたらしい。

成せばなる、というより“やるしかなかった”という方がしっくりくる感じ。
無知で未知の世界に飛び込んだからこそ、ポイントが見えるようになったのだと思う。

入社してきた新人さんの戸惑いに寄り添うこともできた。

何回質問してもオッケー、
間違ってもオッケー、
失敗も放置しなければ何回でもオッケー、
と心から言うことができたのだ。

まさかこんな日が来るだなんて。


ただ、どうなのだろう。

考えて動いて、皆を巻き込んで働いていたあの頃が、紙川工業㈱での私(波瀾ミチ)のピークだったのかもしれない、ということ。

だって…これから起こる、あんなことやこんなことは知らぬが仏、見ぬが極楽。


地図を持ち物に加えたものの、謎かけは継続決定で、これまでとは異なる迷路が用意されている。クネクネで整備もされていない迷い道、獣道?



次に登場するのはキャラ立ち決定の、Ms. 出不精具レイである。

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