インド・ネパール系のカレー屋を見て、「潰れにくい会社」について考えた
街を歩いていると、インド人やネパール人の方がやっているカレー屋をよく見かけます。
大きなナンに、カレーが何種類か選べるランチ。
サラダとドリンクまで付いて、値段もそれほど高くない。
そして前から、少し不思議に思っていることがありました。
「そんなにお客さんが入っているようには見えないのに、結構長く続いている店が多くない?」
もちろん、完全に私の印象です。
私が通る時間がたまたま空いているだけかもしれません。
ランチタイムはかなり入っているのかもしれないし、テイクアウトやデリバリーの売上が大きいのかもしれません。
実際の売上も利益も分かりません。
なので、
「インド・ネパール系のカレー屋には、こんな儲けの仕組みがある」
という話をしたいわけではありません。
ただ、店の前を通るたびに、つい考えてしまいます。
店はそこまで大きくない。
スタッフも、それほど多くは見えない。
メニューもある程度似ている。
もし、家賃や人件費などを含めて、商売を続けるために必要なお金を低く抑えられているとしたら。
私たちが想像するほどたくさんのお客さんが来なくても、案外、商売は成り立つのかもしれません。
そんなことを考えていたら、会社経営にも結構通じる話だなと思いました。
「どれだけ売れるか」だけではなく
会社の話をするとき、売上はやはり分かりやすい数字です。
年商1億円。
3億円。
10億円。
売上が伸びている会社を見ると、「調子が良さそうだな」と感じます。
私も銀行員時代、まず売上高を見ることは当然ありました。
ただ、会社を長く続けるという意味では、もう一つ気になる数字があります。
「この会社は、最低どれくらい売れば生き残れるんだろう?」
という数字です。
例えば、あくまで単純な仮定ですが、
毎月500万円売らないと赤字になる会社と、
毎月300万円でも十分に利益が残る会社があるとします。
普段の売上が同じ500万円なら、見た目は同じです。
でも、景気が悪くなったり、大口顧客が離れたりして、売上が400万円になったとき。
見える景色はかなり違います。
片方はすぐ赤字になる。
もう片方には、まだ余裕がある。
そう考えると、
「どれだけ売れる会社か」と同じくらい、「どれだけ売れなくても耐えられる会社か」も大事なんじゃないか。
私はそう思います。
固定費を増やすと、会社は走り続けないといけない
会社が成長すると、いろいろなものが増えていきます。
人を採用する。
広いオフィスを借りる。
工場を建てる。
設備を入れる。
システムを契約する。
どれも、必要なら当然やった方がいい。
私自身、必要な設備投資や借入にはかなり前向きです。
ただ、一度増やした固定費は、売上が落ちても簡単にはなくなりません。
人件費や家賃は払う必要があります。
設備を借入で買っていれば、利益とは別に借入金の返済も続きます。
つまり、会社を大きくするということは、
ある程度の売上を、毎月つくり続けなければならない会社になる
ということでもあります。
ここは、意外と見落としやすいところです。
売上が伸びているときには、固定費が多少増えてもあまり気になりません。
怖いのは、売上が落ちたときです。
銀行も「売上」だけを見ているわけではない
銀行融資でも、この感覚は結構あります。
年商10億円の会社だから安心。
年商1億円だから不安。
そんな単純な話ではありません。
売上から、どのくらい利益が残るのか。
そこから借入金を返しても、お金が残るのか。
多少業績が悪くなったときにも、返済を続けられるのか。
私は資金調達や投資のサポートに入るときも、
「いくら借りられるか」より、その投資をしたあとに会社がどんな収支構造になるのか
をかなり気にします。
5億円を借りられる。
でも、その結果として毎月かなりの売上を出し続けなければ回らない会社になる。
それなら、本当に今その投資をするべきなのか。
逆に、多少借入が増えても、十分な利益と余裕が残るなら、投資した方がいいこともあります。
借入そのものが問題なのではありません。
借りたあと、どんな会社になるのか。
こっちの方が大事だと思っています。
自分で会社をやるようになって、さらに気になるようになった
これは、自分の会社についても同じです。
オフィスを持つのか。
人を増やすのか。
固定費をどこまで増やすのか。
会社を経営するようになってから、以前より考えるようになりました。
見栄えだけを考えれば、会社らしいオフィスがあって、社員がたくさんいる方が立派に見えるかもしれません。
でも私は、
「大きく見える会社」と「強い会社」は、必ずしも同じではない
と思っています。
売上が少し落ちても慌てない。
無理に仕事を取らなくてもいい。
良い投資案件が来たときに、自分たちのタイミングで動ける。
そんな余裕がある会社も、かなり強い。
会社を大きくすることと、会社を強くすること。
似ているようで、少し違う気がします。
そして、またカレー屋が気になる
そんなことを考えながら、また街のカレー屋を見ます。
「家賃はいくらくらいなんだろう」
「一日何人来たら成り立つんだろう」
「ナンって原価いくらなんだろう」
だんだん気になってきます。
完全に余計なお世話です(笑)。
実際には、かなり繁盛しているのかもしれません。
逆に、ギリギリで続けているのかもしれません。
外から見ているだけでは分かりません。
でも、あの店を見るたびに、
「どれだけ売れるか」だけではなく、「どれだけ売れなくても生き残れるか」
という視点を思い出します。
売上を伸ばすことは大切です。
会社を大きくすることも大切です。
ただ、ときどき、
「うちの会社は、売上がどこまで落ちても大丈夫なんだろう?」
と考えてみる。
売上目標を考えるのとは、また違うものが見えてくるかもしれません。
次にインド・ネパール系のカレー屋を見かけても、私はたぶん、またそんなことを考えます。
普通にカレーを食べればいいだけなんですけどね…
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村松 広輝|ホンマル株式会社
地方銀行で法人融資、本部の融資審査を経験し、2,000社超の融資審査に携わる。現在は企業側に立ち、大型融資・設備投資などの資金調達や、社外CFOとして財務面から経営を支援しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「そういう見方もあるのか」と、何か一つでも残れば嬉しいです。
これからも、日々の仕事や出来事の中で考えたことを、なるべく率直に書いていきます。