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「成瀬シリーズ」はこれで本当に完結…しちゃうんですか?〜「成瀬は都を駆け抜ける」

自分の守備範囲じゃないと思いつつ、なにかのはずみで手にとった本。それが当たりだった時は、とても嬉しいものです。その一つが宮島未奈の「成瀬シリーズ」でした。一作目「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ時はまだ体が温まらなかったのですが、第二作「成瀬は信じた道をいく」で、この小説の巧みな構成に感心して、絶対二冊読みべきと書きました

昨年12月、第三作「成瀬は都を駆けぬける」(新潮社)が出版されましたが、このシリーズはAmazon Audibleで聴いているので音源リリースを待っていました。小説によってAudibleに向き不向きがありますが、本シリーズはナレーターの鳴瀬みき(調べたら滋賀県出身、どうりで関西弁が流暢)との相性もピッタリで、“聴読“が気に入っています。

スーパー高校生、成瀬あかりも遂に京都大学に進学。新しい世界で、新しい人々と出会います。“達磨倶楽部“という不思議な集団や、もしかしたら“恋の予感“。YouTuber・ぼきののかというキャラも立ってます。

本シリーズの特徴は、成瀬あかりにのみフォーカスするのではなく、複数の視点から成瀬と化学反応を起こす人々を描き、それによって成瀬あかりというキャラクターを浮かび上がらせる点にあります。

ある登場人物がこう呟きます。<成瀬さんは太陽みたいだ。いつも真ん中にいて、周囲の人をひきつけてやまない>。恒星・太陽に照らされた人々=惑星、でも太陽系はそうした惑星が周囲を回っていることにより構成されています。成瀬あかりの魅力は、彼女を中心として世界が形成されること。多くの読者は、惑星の一つに自己を投影してその星系に入ることができる。そうした小説なのです。

公式HPには、“令和最強の青春小説シリーズ堂々完結!“と書かれています。大抵のシリーズものは三部作です。ソナタ形式の基本も3楽章。調和が取りやすい構造なのでしょう。それでも、私は本作を読みながら、「これで終わりはないやろ」と思っていました。確かにフィナーレではありました。それでも、成瀬あかりは一人歩きしていてもう止まらない。彼女のこれからを見たい人は、世の中に沢山いるでしょう。

作者・宮島未奈さんは、公式HPの担当編集者によるインタビューを、こう締めくくっています。

いまはひとまずこれで完結、というつもりです。自分に何があるかはわからないので、元気なうちに完結宣言をしておきたかったんです。でももしかしたら、何年か経ってまた成瀬の物語を書きたくなる瞬間が来るかもしれません。成瀬あかりは、物語のなかで生きつづけていますから。

そうですよね、そうですよね。成瀬あかりは今も京都・滋賀、もしかしたら全国で活躍してますよね。

担当編集者の次の言葉、「成瀬シリーズ」ファンの声を代弁しているのではないでしょうか。

「成瀬シリーズ」はこれで本当に完結……、しちゃうんですか?

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