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芝山幹郎選「女優の映画」20人の20本からさらに一作〜杉村春子の「晩菊」

「週刊文春CINEMA」の特集・昭和映画ベスト、芝山幹郎の選ぶ「女優の映画」、「浮雲」の次は田中絹代の「雨月物語」と思っていた。しかし、なんとなく観た記憶が蘇り、調べてみたら5年前に観ていた。

リストの次は、杉村春子の「晩菊」(1954年 東宝)、「浮雲」同様、成瀬巳喜男監督、林芙美子の原作である。(U-NEXT等で配信)ちなみに“晩菊“とは、<他の菊に遅れて咲く菊。遅咲きの菊>(「広辞苑」より)である。

杉村春子演じる倉橋きんは、きちんとした着物姿で、長火鉢の前で金勘定をしている。ちょっと粋な感じの部屋である。そこにやって来るのが、加東大介。不動産の売買の話などをしていて、景気は悪くなさそうである。

このきんは、元芸者、小金を貯めて金貸し業や不動産投資をやっている。その借り手の中には、元朋輩のたまえ(細川ちか子)や、おでん屋を営むのぶ(沢村貞子)らがいる。芸者時代は人気を争ったというとみ(望月優子)も近所に住んでいる。

彼女らは、きんとは違い、懸命に生活する日々、そんな彼女らに対し、きんはあたりは柔らかいが、厳しく取り立てをする。

芝山幹郎が「女優の映画」に選んだだけあり、杉村春子が素晴らしい。りんとした姿ながらも、元芸者という色っぽさを時折見せる。

かつて心中を試みた関という男や、きんが心を寄せる田部の存在が、りんという女を演出する。田部に対するりんの表情は、その揺れ動く感情を見事に表現している。さすが、杉村春子である。

この田部を演じるのが、上原謙。二枚目スターとは、こういう人のことを言うのであろう。この男っぷりには、流石のきんも心が動くのはよく分かる。

きん、とみ、たまえ、のぶと言った、元芸者が戦争を経験し生き延び、そして懸命に生活する姿を通して、女の幸福とはなにかが問われているようにも見える。

子供の存在も、切り口の一つだが、とみの娘役が、宝塚を退団し映画界に転向したばかり、二十代前半の有馬稲子。彼女の輝きが、次の時代を象徴しているようである。

「女優の映画」リスト、なかなか面白い。次は、木暮三千代の「祇園囃子」である


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