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中高生&その頃の気持ちを忘れない方に読んでもらいたい〜川上未映子「あこがれ」

The New Yorkerの3月16日付本の紹介記事「Briefly Noted」に、川上未映子の「黄色い家」、英題「Sisters in Yellow」が掲載されていた。それを見て、「そう言えば、買っておいたが未読の川上作品あったなぁ」と思い調べると、「あこがれ」(新潮文庫)が見つかった。

2015年に単行本が発売された作品である。

「あこがれ」は二つの章で構成され、どちらも一人称で書かれる。

第1章“ミス・アイスサンドイッチ“の語り手は、小学四年生の“ぼく”。ぼくは父方の祖母の家に、母親と祖母と暮らしている。父親はぼくが四歳の時に亡くなり、祖母は<ちょっとまえ>から寝たきりである。

夏休みが始まった頃、ぼくは近所のスーパーの中にあるサンドイッチやサラダ、パン・ハムなどを売るコーナーで、“ミス・サンドイッチ“をみつける。もちろん、ぼくのつけたあだ名で店員の女性である。以来、ぼくはしばしばミス・サンドイッチの姿を見にスーパーに行き、そしてサンドイッチを買うようになった。

ぼくの学校には“ヘガティー“という同級生の女の子がいる。彼女はぼくの生活にちょっとした刺激を与えるのだった。“ヘガティー“というのも、ぼくがつけたあだ名だ。

第2章“苺ジャムから苺をひけば“は、2年後のおはなし。ヘガティーと僕は六年生になっている。今度の語り手はヘガティーで、“ぼく“の名前は“麦くん“というのが分かる。六年生と四年生、2年しか違わないが、子供の精神状態は大きく変化している。ヘガティーの母親は他界しており、父と二人暮らし。そして、ヘガティーは友人が開いていたパソコンの画面から、父に関するある情報を発見してしまう。

中学進学を目前に控えた、少年少女の心の動きが瑞々しく描写される。

読みながら、これは川上未映子が中高生に向けて書いた小説かなと思った。第1章の初出は文芸誌「新潮」2013年11月号、第2章は約2年後の2015年9月号。連作として構想されていたのか、それとも川上未映子の中で、四年生だった麦くんとヘガティーが成長したのか。

中高生に読んで欲しい。きっと、なにかの支えになるのではないか。同時に、本作は子供の目から見た現実世界でもある。彼らには、本作のように世の中は映っているのだ。

彼らの気持ちを忘れたくないと、私は思った。そんな方にもおすすめである


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