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ブルーノマーズの曲で一本の映画を作る | サングラスを外す夜


この前、KITAcoreさんが『ミスチルで紡ぐ、一人の男の人生と恋の物語』っていう記事を出してた。

私も高校時代ミスチルが好きだったから、
楽しく読ませてもらった。

でも、私だったらこうかなー
ってのがあったんでコメントした。

異論、認めるって書いてあったし。

そしたら
「対抗記事書くって宣言ですよね?!笑」
と言われてしまった。

えー…
そう言われてもなぁ…

ま、とりあえずやってみるか。

そういえば、
ブルーノマーズ好きだったな。

プレイリストに入れてた曲を聴いてるうちに、
これって面白いかもって思った。


なぜブルーノマーズなのか

この人には、二つの声がある。

ひとつは、レディー・ガガとのデュエット。
ロゼとのデュエット。
男と女の声が、同じ曲に入っている。

でも、私が面白いと思ったのはそっちじゃない。

Silk Sonic。
アンダーソン・パークと組んだユニット。
男二人。

この人の面白さは、
男と女が並ぶところじゃない。

同じ失恋が、
二つのバージョンで存在しているところ


ひとつは When I Was Your Man。
ピアノ一台。
ちゃんと扱わなかったことを、
一人で後悔している。


もうひとつは Smokin' Out the Window。
バンド。コーラス。相棒の掛け合い。
取られた話を、笑い話にしている。


同じ痛みを、
一人で歌うか、
相棒と笑いに変えるか

つまり、同じ夜を二回撮れる。

一回目は舞台。
二回目は楽屋。

視点が二つあるんじゃなくて、
演じ方が二つある。

これはもう、映画にするしかないじゃない。
あ、実際にするわけじゃないけど。


この映画の三つのルール


ひとつ。
舞台と楽屋を、必ず同じ画面に入れる。

どんなに華やかな場面でも、
必ず端に、誰もいない部屋が映っている。


ふたつ。
この男は、本当のことをそのままでは歌わない。

全部、上手いことに言い換える。
金の話。パーティの話。完璧な口説き文句。
それが嘘だからじゃない。
そうやってしか言えなくなっているから。

みっつ。
最後だけ、二人で歌う。

それまでは一度も、相手の声は返ってこない。


そして、この16曲の並びは100%私の妄想

公式のストーリーでもなんでもない。
でも、並べたらちゃんと一本の映画になった。

※歌詞の内容をもとに、筆者が独自に構成した架空の物語です。

では、開幕。


第一幕 楽屋

まだ、誰も彼を知らない。

01|Talking to the Moon

楽屋の鏡の前。
机の上に、金縁のサングラスが置いてある。

サングラスはまだかけてない。

男が、窓の外の月に向かって喋ってる。
聞こえているはずだ、と彼は言う。

でもたぶん、誰にも聞こえていない。

この映画は、
返事が来ない場面から始まる。


02|Liquor Store Blues

街のはずれの酒屋の前。
男が段差に座っている。

男は言う。
この仕事じゃどこにも行けない。
それでも這い上がるつもりだと。

でも今夜は、まだここに座っている。

遠くに、どこかの誰かの
舞台の明かりが見えている。


03|The Lazy Song

今日は何もしない、と宣言する。

ベッドから出ない。
電話にも出ない。

言い方がやたら軽い。
軽く言うのが、この人のいちばん得意なこと。

でもこれは休んでるんじゃない。

やることが、まだ何もないだけ。


第二幕 舞台に上がる

ここから男は、上手いことを言い始める。

04|Billionaire

雑誌の表紙に載りたい。
金持ちになりたい。

夢の語り方が、もう芸になってる。

鏡の前に立って、
初めてサングラスをかけてみる。

結構よく似合ってる。

鏡の中でだけ、すでにスターだ。


05|Uptown Funk

音が変わる。

舞台。照明。全員が同じ方向を見ている。

男が笑ってる。

一度もこっちを見ない。
見なくても、観客は沸く。

俺は完璧だ。


06|24K Magic

もっと大きな舞台。

24金の魔法だ。
今夜は全部うまくいく。

どこを見ても人がいる。

なんだってできる。


第三幕 欲

相手が変わっても、言うことは同じ。

07|Young Girls

毎晩違う相手。

やめられない、と呟く。
その理由は分からない。

サングラスは外さない。

だから相手の顔も、よく見えていない。

見ないようにしている。


08|Versace on the Floor

床に落ちた深い紫のドレス。

灯りを落として、と囁く。
ゆっくりでいい。

言い方は完璧。
何度も使った言い方だから。

男はずっとサングラスをかけている。


09|Leave the Door Open

男が言った。
ドアは開けておくから。
待っているよ、って。

声がやわらかい。

これも演技だ。

やわらかい声を出すことと、
やわらかい気持ちでいることの区別が、
もうついてない。


第四幕 本当のことを言おうとする

言おうとするけど、上手く言ってしまう。

10|Just the Way You Are

そのままの君が綺麗だ。
何も変えなくていい。

これは本当のこと。

この映画で、
初めて本当のことを言っている。

ただ、
サングラス越しに言ってる。

彼女の目に映っているのは、
自分の顔だ。


11|Marry You

結婚しよう。
今夜その気分だから、と。

拍手が起きそうな言い方。

彼女は少しだけ、遅れて笑う。


12|Locked Out of Heaven

天国から締め出されていた気分だ、と男が言う。
門を開けてくれ、と。

このとき初めて、サングラスを少しずらす。

一瞬だけ目が映る。

そしてすぐにサングラスをかけ直す。

この一瞬が、
この映画で唯一、彼が素で喋った場面になる。


第五幕 取られる

素を見せたら、いなくなってしまった。

13|Natalie

金を持って、彼女が消えた。

必ず見つける、と男が言う。

白いシャツ一枚で、
散らかった楽屋に立っている。

鏡の中には、
さっきまでの舞台衣装の自分が映ってる。

床に落ちたサングラスには、
ひびが入っている。


14|Smokin' Out the Window

舞台。バンド。相棒が横にいる。

ひどい話なんだけど聞いてくれよ。

客が笑う。
男も笑う。

ひびの入ったサングラスをかけたまま、
男は笑う。

この夜は、もう笑い話になっている。

これが、彼にできる唯一の処理の仕方だった。


15|When I Was Your Man

同じ夜。

場面は楽屋。
ピアノが一台。

花を買えばよかった。
手を握ればよかった。

上手いことは、もう何も言っていない。

客はいない。
笑いも起きない。

相棒と笑い話にしたのは、この話だった。


最終幕

16|Die With A Smile(with Lady Gaga)

世界が終わる夜。

男はもう、サングラスをかけてない。

そしてこの映画で初めて、
女の声が返ってくる。

君と一緒なら笑って終われる、と二人で歌う。

ラストカットは、舞台と楽屋の区別がない部屋。
照明も、鏡も、客席もない。

男は初めて、
演技をしない自分を見せた。



映画はここで終わる。


返事が来たのは、芸をやめたときだけ


この映画で相手の声が返ってくるのは、
最後の一曲だけ。

それまで15曲、男はずっと一人で喋っている。
月に向かって。
客席に向かって。
相棒に向かって。
上手いことを言い続けている。

金の話も、口説き文句も、笑い話も、
全部上手い。

上手いんだけど、
相手からはなんの言葉も返ってこない。

Locked Out of Heaven で一度だけサングラスをずらす。
一瞬だけ目が映って、でもすぐにかけ直す。
そのあと彼女は、金を持って消えた。

彼は、その夜のことを観客に二回見せた。

一回目は舞台。
笑い話にして、客と一緒に笑ってしまう。

二回目は楽屋。
客も相棒もいないところで、
やっと本音を言う。

客の前では、相手のせいにする。
誰もいないところでは、自分のせいにする。

私は、この二曲を並べたくてこの映画を作った。

上手いことを言えるようになると、
本当のことが言えなくなる。

これ、私も同じかもしれない。

最後に

一箇所だけ、迷った。

最終曲を Die With A Smile にするか、
Count on Me にするか。

Count on Me は、
頼っていいと言ってくれる曲だから、
優しく終われる。

でもあれは友情の曲で、しかも初期の曲。
最後に置くと、この男が何も変わらなかったことになる気がした。

だから新しい曲にした。
世界が終わる夜に、
サングラスを外して二人で歌う。

何も解決していないけど、
演技することだけはやめている。

この終わり方が、私は気に入ってる。

作った人の物語と、
聴いた人が勝手に作る物語

KITAcoreさんの記事より

KITAcoreさんの記事でいちばん面白かったのは、そこだった。

これは、私が勝手に作った映画。
ブルーノマーズは、こんな話は歌ってない。
私が並べて、私が名前をつけただけ。

だから聞きたい。
あなたなら、最後に何を置きますか?

そして、KITAcoreさん!
やってみたら意外と楽しかったです😆
ありがとうございました!


※本記事の各楽曲のつながりや登場人物の設定は、アーティスト公式の解釈ではなく、歌詞の内容を参考に筆者が独自に構成したものです。
作中の「男」「女」は架空の登場人物であり、アーティスト本人やその実際の関係を描いたものではありません。
歌詞本文の転載は行わず、内容を要約して紹介しています。
挿絵はすべて筆者がAIを用いて制作したオリジナル画像です。

参考
Bruno Mars Official Website 
Silk Sonic Official Website
・各曲の音源はSpotifyの公式配信ページを参照(曲名・アーティスト表記・収録アルバムを確認)



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