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EXTREME家族:#04 思春期と暴力

スケーター狩り?
平成の香りのするその言葉を最初に聞いたのは、息子氏がマイメンに連れられて夜の街にスケボーをしに行く様になってすぐの事。

『渋谷で中高生がスケボーしていると、突如シャブ中のヤリラ(ヤリラフィー、多分ヤンキーの事)がアルファードで現れ、スケーターを連れ込んで中でボコボコにするらしい…』という噂を息子氏がしきりに心配していた時期があった。

そんなIWGPみたいな話、ホンマにあるんかいなと思ってしばらく経った頃、息子氏の帰りが門限の23時を大幅に過ぎ、深夜1時を回って帰ってきた事があった。
全く守られない23時の門限について、今日こそはサシで話し合おうと待ち構えていたところ、顔面蒼白で帰って来た息子氏が
「今、スケーター狩りにあって、殴られた友達を病院に連れていっていたせいで遅くなった。ごめん。」
と慎重な面持ちで報告して来たもんだから、さっきまでの怒りは何処へやら。

は?スケーター狩り?どう言う事?

私は息子氏に椅子を差し出し、教育的指導を一旦脇に置いて身を乗り出した。

息子氏が言うには中高生が入り混じって、渋谷のスポットで滑っていたところ、噂通りの黒塗りアルファードが止まったのだと言う。
「中から半グレ集団が10人くら出て来て…」
…アルファードに10人も乗れるのか?
ちょいちょい証言に虚偽が混じっている気がするが…それはさておき。
息子氏含む少年スケーター達はイカチイにーちゃん達に一列に並ばされ、ハジから順に名前と年齢を言わされたらしい。
と言うのも半グレさん達の“良心“として、18歳未満は殴らないとの謎ルールがあるらしく、律儀に年齢確認をして、18歳以上を選んでボコボコにして去って行ったとのこと。

息子氏は初めて人が本気で殴られるのを目の前で見てすっかり震え上がり
「渋谷にはもう行かない」と遠い目をして自室に戻っていった。

で、その話を聞いた私はと言うと、恐怖や心配より「ほっとした」と言うのが正直なところ。

と言うのも、スケボーにハマってから息子氏は夜な夜な出かけるようになり、そこそこ閑静な住宅にある我が家にはマイメンの繋がりで仲良くなったスケーターが大勢やってくるようになった。ところ構わず座り込んだり、マンションの前でたむろする彼らが、どう言う考えを持っているのかわからず、遅くとも23時までに帰って来るという門限は破られる。
仲間の中には良からぬ連中もいるかも知れず、半グレさん達と繋がりでもあれば、思春期不良少年の定番コースとして、流行りの特殊詐欺や暴力や強盗など、悪事に手を染める可能性もあるのでは…と心配していた。

しかしこの「スケーター狩り」の話を聞く限り、息子氏達は半グレやヤンキーのカルチャーには馴染まない感性をお持ちだということが分かった。むしろ暴力のための暴力に取り憑かれた「あいつら」を「ダサい」と考えているのだということが分かり「その点は安心」と私は深く胸を撫で下ろしたのである。

ダサいかダサくないか
これは思春期男子にとって最も大事な判断基準であるので、少なくとも息子氏は半グレに混じって特殊詐欺をやらずに済みそうな事が確認出来ただけでも安心だ。

そういや、息子氏がマイメンと仲良くなり始めた頃言っていた。

「これまで俺を排除してきた奴らは、やりたいことや好きなことがないから他人を落として自分の価値を上げようとする。マイメン達は、自分の好きなことがはっきりしているからいい。あいつらはやりたいこともなくて、しょうもないイジメや仲間外れをしてる奴らのこと、ダサいと思ってるから。」

そう、私が彼らを憎めない理由も同じ。

好きなことにまっすぐなやつは信用できる

この一点豪華主義な価値観のおかげで、私はなんだかんだ迷惑かけられてもあいつらのことを憎めないのだ。

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