【医師論文解説】コロナ入院患者の9割以上が〇〇不足だった!? 日本人研究から【OA】
【背景】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症例において全身性の過剰な炎症反応や血栓塞栓性合併症を引き起こすことが知られています。
肥満、高血圧、喫煙歴などが重症化リスク因子として報告されていますが、栄養状態も重要な要因の一つとして注目されています。
特に亜鉛は、生化学的・免疫学的機能に必須の微量元素で、軽度の欠乏でも味覚・嗅覚障害、皮膚障害、視覚障害を引き起こし、重度の欠乏では免疫力低下や肺炎リスクの上昇につながることが知られています。
【方法】
・対象:2020年4月から2021年6月に順天堂大学病院に入院したCOVID-19患者514名のうち、血清亜鉛値が測定された467名 ・期間:2020年4月〜2021年8月 ・重症度分類:
軽症:酸素投与不要
中等症:酸素マスクや経鼻カニューレによる酸素投与が必要
重症:人工呼吸器管理やECMOが必要 ・亜鉛濃度の分類:
欠乏:60 µg/dL未満
境界域欠乏:60-80 µg/dL
正常:80 µg/dL以上
【結果】
亜鉛欠乏の実態
女性:欠乏39.5%、境界域欠乏54.3%
男性:欠乏36.4%、境界域欠乏57.0%
全体で90%以上が基準値以下

重症度との関連
重症例(40名)の平均亜鉛値:51.9 µg/dL
軽症・中等症例(427名)の平均亜鉛値:63.2 µg/dL
統計的に有意な差を確認(p<0.01)
重症化リスク
亜鉛欠乏群は、非欠乏群と比較して重症化リスクが3.60倍
年齢、性別、BMI、飲酒、喫煙、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの因子で調整後も有意な関連を維持
その他の特徴的な所見
重症群では心拍数、血糖値、LDH、BUN、CRP、白血球数が有意に高値
高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療中の患者の割合が重症群で有意に高い
【考察】
本研究は以下の重要な知見を示しています:
COVID-19患者における亜鉛欠乏の高頻度性
健康診断受診者での先行研究と比較し、著しく高い欠乏率
インドやブラジルの研究結果とも一致
重症化との関連メカニズム
免疫系への影響:マクロファージ機能低下、サイトカイン産生異常
栄養状態の関与:重症例での総タンパク、アルブミン低値
治療への示唆
亜鉛補充療法の可能性
栄養状態のスクリーニングの重要性
【結論】
血清亜鉛濃度とCOVID-19の重症度には有意な関連があり、治療方針の決定に血清亜鉛値を考慮する重要性が示唆されました。
※注意: この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。具体的な治療や生活習慣の改善については、医師に相談してください。
参考文献
Matsumoto, N., Yokokawa, H., Mori, H., Hiki, M., Tabe, Y., Takahashi, K., & Naito, T. (2024). Association Between Serum Zinc Concentration Levels And Severity Of Coronavirus Disease 2019 (Covid-19) In Japanese Inpatients. International journal of general medicine, 17, 4745–4753. https://doi.org/10.2147/IJGM.S476578
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