AIエージェント作成フレームワーク・ツール幅広調査【2025年11月時点】
はじめに
これまでOpenCodeの調査などでコーディングエージェントの実装を理解してきましたが、これからは自分でエージェントを作るという観点から、どのような方法があるのか、どういう機能が重要なのか、そしてそれぞれの使いやすさについて深掘りしていきたいと思っています。今回の記事では、深堀りする準備として、AIエージェントを作成するためのフレームワークやツールについて幅広くリストアップし、簡単に調査を行いました。
注記:本記事は、音声録音による文字起こしと手書きの文章をAIによって統合し、一つの記事として作成するという試みも含んでいます。特にCrewAIについては、利用サンプルコードという具体的すぎる形での情報提供となっていますが、これは文字起こしと手書き文章の合成による記事執筆のトライアルという性質上、ご容赦ください。
調査の目的と範囲
個別の機能の細部については今後の記事で詳しく書いていく予定ですが、まずこの記事では大枠の調査を目的としています。ツール群がどういうものがあるかというのを幅広く洗い出し、その上で今後何かの条件で範囲を絞って調査するという形を取ります。
エージェント作成ツールの分類
エージェント作成ツールを大きく以下のような軸で分類して、ツールのリストアップと簡易調査を行うことにしました。
1. フロンティアモデルベンダーが提供するツール
各主要なAIモデルベンダー自身が提供しているエージェント作成プラットフォーム
2. GUIベースのワークフロー構築ツール
ビジュアルなインターフェースでエージェントを作成できるノーコード・ローコードプラットフォーム
3. コードベースのフレームワーク・SDK
プログラミングによって柔軟にエージェントを構築できる開発者向けフレームワーク
主要ツール・フレームワーク一覧
1. Google Gemini Enterprise(旧Google Agentspace)
概要: GoogleのGemini Enterpriseは、2024年12月に発表されたGoogle Agentspaceを統合した企業向けエージェントプラットフォームです。Geminiの高度な推論能力、Google品質の検索、そして企業データを統合し、従業員全体にAIエージェントの力をもたらします。
主な特徴:
マルチモーダル検索: テキスト、画像、動画、音声など様々なデータ形式を理解し、処理
Agent Gallery: 事前構築されたエージェントを検索・導入可能
Agent Designer: ノーコードでカスタムエージェントを作成
Deep Research Agent: 複雑な調査タスクを自動実行
NotebookLM Plus: ドキュメント分析とインサイト抽出
適用場面: 企業全体でのAI導入、マーケティング、営業、HR、ソフトウェア開発など幅広い業務での活用が可能です。Google Workspace、Microsoft 365、Salesforce、ServiceNowなどの既存システムとの統合が容易です。
価格:
月額9ドル(NotebookLM for Enterprise)
月額45ドル(Enterprise Plus)
2. OpenAI Custom GPTs / AgentKit / Agent Builder
概要: OpenAIは複数のエージェント作成ツールを提供しています。Custom GPTsは2023年に発表され、誰でもChatGPTのカスタムバージョンを作成できるようになりました。2025年10月にはAgentKitが発表され、より高度なエージェント開発が可能になりました。
主なツール:
Custom GPTs:
特徴: ノーコードで特定用途向けのChatGPTを作成
機能: カスタム指示、知識ファイルのアップロード、Actions(API統合)
配布: GPT Storeで公開可能
AgentKit:
Agent Builder: ビジュアルキャンバスでマルチエージェントワークフローを作成
Connector Registry: データソースとツールの一元管理
ChatKit: カスタマイズ可能なチャットベースのエージェント体験
Evals: エージェントのパフォーマンス評価
ChatGPT Agent Mode(2025年7月):
Operator、Deep Research、ChatGPTの機能を統合した統一エージェントシステム
ウェブサイトとの対話、情報の統合、コードの実行が可能
仮想コンピュータ上で動作し、複雑なワークフローを処理
適用場面:
Custom GPTs: 教育、コーチング、ビジネスツールなど幅広い用途
AgentKit: エンタープライズレベルのマルチエージェントシステム構築
Agent Mode: 複雑なリサーチ、データ分析、タスク自動化
3. Claude Agent SDK / Agent Skills
概要: Anthropic社のClaude Agent SDKは、Claude Codeを動かすのと同じインフラストラクチャを開発者に提供し、強力なエージェントを構築できるようにします。2025年9月にClaude Sonnet 4.5と共に発表されました。
主な特徴:
Claude Agent SDK:
設計思想: エージェントに「コンピュータ」を与える
コンテキスト管理: 自動的なコンパクション機能
ツールエコシステム: ファイル操作、コード実行、Web検索、MCP拡張性
権限制御: 詳細なエージェント能力の制御
プロダクション対応: エラーハンドリング、セッション管理、モニタリング
Agent Skills(2025年11月発表):
概念: ドメイン固有の専門知識をパッケージ化
構造: SKILL.mdファイルを含むディレクトリ
Progressive Disclosure: 必要な時だけスキルを読み込む
対応環境: Claude.ai、Claude Code、Agent SDK、Developer Platform
適用場面:
ファイナンスエージェント: ポートフォリオ分析、投資評価
パーソナルアシスタント: 旅行予約、スケジュール管理
カスタマーサポート: 高度な曖昧性を持つユーザーリクエストの処理
統合環境: JetBrains IDEsへの統合も発表されており、開発環境内でClaudeエージェントを直接利用できます。
4. Microsoft Copilot Studio
概要: Microsoft Copilot Studioは、Microsoft 365エコシステム内でAIエージェントを構築、展開、管理するためのプラットフォームです。企業向けに最適化されており、セキュリティとコンプライアンスが組み込まれています。
主な特徴:
エージェント作成機能:
Agent Builder(軽量版): Microsoft 365 Copilot内で自然言語でエージェントを作成
完全版Copilot Studio: 高度なワークフロー、モデル選択、マルチエージェントシステム
Code Interpreter: Python実行によるデータ分析と可視化
マルチエージェントオーケストレーション: 複数のエージェントが協調して作業
新機能(2025年):
App Builder: 自然言語でアプリを作成
Workflows: メール、カレンダー、Teamsなどの自動化
WhatsApp統合: 2025年7月から利用可能
プロンプト評価: Power Fx統合による動的プロンプト
適用場面: Microsoft 365を中心とした企業環境で、従業員の生産性向上、顧客サポート、業務プロセス自動化に最適です。
価格: 使用量ベースの柔軟な料金体系と、Copilot Credit Commit Unitsによる事前購入プランがあります。
5. LangChain / LangGraph
概要: LangChainはLLMアプリケーション開発のためのモジュラーなオーケストレーションフレームワークで、2022年の登場以来、エージェント開発のスタンダードとなっています。LangGraphはその上に構築された、より柔軟なグラフベースのエージェントオーケストレーションフレームワークです。
LangGraphの主な特徴:
グラフベース実行: ステートフルなグラフとして処理フローを定義
永続性: セッションと決定を時系列で追跡
人間参加型ループ: エージェントの行動を承認・修正可能
Time Travel機能: 過去の状態に戻って別のアクションを実行
Prebuilt Agents: 一般的なアーキテクチャの事前構築版
最新動向(2025年10月):
LangChain 1.0およびLangGraph 1.0がリリース
LangChain: 高速なエージェント構築に特化
LangGraph: 本番環境向けの低レベルフレームワーク
LangGraph Platform: 一般提供開始
Open Agent Platform: ノーコードエージェントビルダー
LangGraph Studio v2: ローカル実行可能なエージェントIDE
適用場面:
複雑なマルチエージェントシステム
エンタープライズグレードのRAGアプリケーション
長時間実行される高度な自動化タスク
Replit、Uber、Klarnaなどの企業が本番環境で採用しています。
6. CrewAI
概要: CrewAIは、役割ベースの自律的AIエージェントのオーケストレーションを容易にするPythonフレームワークです。2023年11月に登場し、構造化されたマルチエージェントシステムの構築に特化しています。
主な特徴:
役割ベースアーキテクチャ: 各エージェントに特定の役割と目標を割り当て
タスク委譲: エージェント間でのタスクの受け渡し
Expected Output: タスクの出力形式を明示的に指定
LangChain統合: LangChainのツールエコシステムを活用
CrewAI Flows: イベント駆動型のワークフロー構築
実装パターン:
Sequential: タスクを線形に実行
Hierarchical: マネージャーエージェントがタスクを委譲・検証
CrewAIの実装例(添付コードより抽出): CrewAIでは、以下のような構造でエージェントシステムを構築します:
from crewai import Agent, Task, Crew
# エージェントの定義
generator_agent = Agent(
llm=llm,
verbose=True,
config=agent_config
)
# タスクの作成
task = Task(
description="プロンプトテンプレートを改善する",
agent=generator_agent,
expected_output="改善されたプロンプトのリスト",
output_pydantic=TransformStepOutputList
)
# Crewの実行
crew = Crew(
agents=[generator_agent],
tasks=[task],
verbose=True
)
results = crew.kickoff()
適用場面:適用場面:
コンテンツ作成の自動化(リサーチ、執筆、編集)
セールス自動化とリードスコアリング
カスタマーサポートの多段階処理
比較評価: AutoGenと比較して、CrewAIは構造化された予測可能なワークフローに強く、AutoGenは柔軟な対話型の問題解決に適しています。
7. Microsoft AutoGen → Microsoft Agent Framework
概要: AutoGenはMicrosoft Researchが開発した会話駆動のマルチエージェントフレームワークです。2025年10月、AutoGenとSemantic Kernelは統合され、Microsoft Agent Frameworkとして生まれ変わりました。
AutoGenの特徴(従来版):
会話中心: エージェント間の対話を通じた問題解決
コード実行: コンテナ化された安全なコード実行環境
柔軟な構成: カスタマイズ可能なエージェント定義
Group Chat: 複数エージェントの協調作業
Microsoft Agent Framework(2025年10月発表):
統合: AutoGenとSemantic Kernelの統合後継
エンタープライズ対応: スレッドベースの状態管理、型安全性
ワークフロー: マルチエージェント実行パスの明示的制御
MCP統合: Model Context Protocolによるツール統合
適用場面:
探索的・オープンエンドな問題解決
複雑なコード生成タスク
研究開発プロジェクト
移行計画: AutoGenは引き続きバグ修正のみ継続され、新機能はMicrosoft Agent Frameworkで開発されます。
8. LlamaIndex / Workflows / AgentWorkflow
概要: LlamaIndexは当初RAGフレームワークとして知られていましたが、2025年にマルチエージェントフレームワークとして大幅に進化しました。Workflows 1.0とAgentWorkflowの導入により、複雑なエージェントシステムの構築が可能になっています。
主な特徴:
Workflows 1.0(2025年6月発表):
イベント駆動: Python asyncioベースの並行処理
軽量フレームワーク: LlamaIndexから独立したパッケージ
型付き状態: TypeScriptとPythonでの型安全性
用途: AIエージェント、ドキュメント処理、マルチモーダルアプリ
AgentWorkflow(2025年1月発表):
抽象化: Workflowの上に構築されたエージェント特化層
簡単な開始: 単一エージェントから始められる
マルチエージェントサポート: 複数エージェントの協調
柔軟なエージェントタイプ: カスタマイズ可能
状態管理: 組み込みの状態追跡
Human-in-the-Loop: 人間の介入をサポート
Agentic Document Workflows(2025年1月):
契約レビュー、文書処理パイプラインなどの高度なユースケース
LlamaParseとLlamaCloudの統合
適用場面:
RAG(Retrieval-Augmented Generation)アプリケーション
複雑な文書処理ワークフロー
マルチステップのリサーチアシスタント
カスタマーサポート自動化
9. Microsoft Semantic Kernel → Microsoft Agent Framework
概要: Semantic Kernelは、LLMをアプリケーションに統合するためのMicrosoft製オープンソースSDKです。2025年10月、AutoGenと統合してMicrosoft Agent Frameworkとなりました。
Semantic Kernelの特徴:
モデル非依存: OpenAI、Azure OpenAI、Hugging Faceなど対応
プラグインエコシステム: ネイティブコード、プロンプトテンプレート、OpenAPI
Process Framework: 長時間実行のビジネスプロセス管理
エンタープライズ対応: 可観測性、セキュリティ、安定API
Agent Framework(統合後の機能):
AutoGenのシンプルな抽象化 + Semantic Kernelのエンタープライズ機能
スレッドベース状態管理
ワークフローによる明示的制御
MCP(Model Context Protocol)統合
ロードマップ:
2025年Q1: Agent Framework GA
2025年Q2: Process Framework GA
Visual Studio Code拡張の刷新
適用場面:
Azureエコシステム内でのエンタープライズAIアプリ開発
.NET、Python、Javaでの本番環境向けエージェント
ビジネスプロセス自動化
10. LangFlow
概要: LangFlowは、LangChainエコシステム上に構築されたビジュアルなLLMアプリケーション開発フレームワークです。ドラッグ&ドロップのインターフェースで複雑なAIワークフローを構築できます。
主な特徴:
ビジュアルキャンバス: プロンプトフロー、エージェントロジックの設計
LangChain互換: LangChainコンポーネントとシームレスに統合
エージェントツール統合: Web検索、計算機、ファイルリーダーなど
再利用可能コンポーネント: モジュール設計
エクスポート: JSON形式でのフロー保存
パフォーマンス: 複雑なRAGワークフローで、100ページ以上のPDF処理時にFlowiseより23%高速という報告があります。
適用場面:
LLMを多用するアプリケーションのプロトタイプ作成
RAGパイプラインの実験・調整
チャットボット開発
11. Flowise AI
概要: Flowise AIは、LangChainのラッパーとしてユーザーフレンドリーなUIを提供し、LLMチェーンやRAGパイプラインを視覚的に設計できるツールです。デプロイが容易な点が特徴です。
主な特徴:
高速デプロイ: チャットボットやRAGパイプラインを迅速にAPI化
埋め込みチャットウィジェット: ウェブサイトやアプリケーションへの組み込み
LangChain互換: LangChain.jsベース
マルチチャネル対応: Telegram、WhatsAppなどへのネイティブ統合
適用場面:
ナレッジベースチャットボットの構築・デプロイ
顧客サポートエージェント
会話型AIプラットフォーム
比較: LangFlowがAI設計とプロトタイピングに優れるのに対し、Flowiseはチャットボットデプロイに特化しています。
12. n8n
概要: N8Nは、オープンソースのワークフロー自動化プラットフォームで、Zapierのようなツールのセルフホスト可能な代替として設計されています。AI機能も統合し、従来の自動化とAIエージェントを組み合わせられます。
主な特徴:
豊富な統合: 400以上のアプリとサービスに対応
ビジュアルワークフローエディタ: ノードベースのインターフェース
カスタムコード: JavaScript関数の組み込み
AI統合: OpenAI、Pinecone、LangChainなどのネイティブサポート
セルフホスト可能: データ主権とプライバシー確保
適用場面:
AIと既存ビジネスプロセスの統合
データ統合ワークフロー
カスタマーサポートAIエージェント
メール自動化、CRM管理
比較: Flowiseが純粋にLLMアプリに特化しているのに対し、N8Nは汎用的な自動化プラットフォームとしてAI機能も提供しています。
13. Zapier
概要: Zapierは、クラウドベースの自動化プラットフォームで、最近AI機能を強化しています。コーディング不要で様々なアプリ間のワークフローを自動化できます。
特徴:
膨大な統合: 5,000以上のアプリに対応
AI統合: ChatGPT、OpenAI APIなどの統合
ノーコード: 技術的な知識不要
クラウドベース: メンテナンス不要
制限事項:
高度なエージェントオーケストレーションには不向き
複雑なワークフローの構成には制約あり
適用場面: 簡単な自動化タスク、既存のビジネスツール間のデータ連携など。
まとめ
今回の記事ではAIエージェントを作成するためのフレームワークやツールについて幅広くリストアップし、簡単に調査を行いました。今後各ツールについて深堀りしていきたいと思います。
参考リンク
OpenCode調査まとめ - 以前のコーディングエージェント調査記事
各ツールの公式サイトについては、本文中のツール名から参照してください。
本記事は2025年11月時点の情報に基づいています。各ツール・フレームワークは活発に開発が進められているため、最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。
