見出し画像

【ライナーノーツ】Tortoise 「Touch」2025年11月11日ストリーミング解禁


実に「トータスらしい」アルバムである。
では、何をもって「トータスらしい」かというと、原体験というのは怖いもので「TNT」前後のことを指す。ぼくの場合。

一種の静けさの様なものが、アルバム全体に薄いヴェールのように掛かっているようなイメージだ。

打楽器奏者が三人もいるグループとは思えない、控えめなグルーヴである。しかし、アルバム全体の流れを見ても、曲中の流れを見てもここぞという時はその本領を見せてくるあたり、ニヤリとさせられる。

やはり、ライブを見ているのとそうでないのとでは(YouTubeでも構わない)大分印象がかわるアーティストだと思う。
一聴、打ち込みに聞こえるような曲でも、「ああ、電子楽器に1人まわって、誰かがシンセドラム人力で叩いてるんじゃないだろうか」とか想像できる。
何よりステージ前面に向かい合う様に置かれたドラムセットを頭に思い浮かべながら、曲ごとに忙しなく担当楽器を入れ替える様を頭に思い描きながら聴くのとそうでないのとでは「音の見え方」が全く違うはずだ。

それほど、今作はライブ感が強い。ライブでの再現性があるといってもいいかもしれない。ぼくの聴いた限りでは、の断り書きがつくが、五人で出せる音以上の音は入ってないのではないだろうか。もちろんオーバーダブはしているだろうが、五人で手分けしてなんとか再現してしまいそうな気がするのだ。  

決してラフではない。逆で、極めて緻密な音楽である。それだけ緻密な音楽を再現できる職人集団であるということだ。なのに、ギスギスしたところがなく、むしろ穏やかな表情を見せるところがトータスの音楽が特異であるで点だ。それが、前述の「TNT」辺りでは顕著であり、その雰囲気が戻ってきた、ということだ。

もちろん、原点回帰などというものではなく、言わば螺旋階段を上昇中、といったものかもしれない。
オーディオ的にも素晴らしい録音作品なので、今作よりQobuzで配信されたのは嬉しい。良い音で聴こうと努力すればその分新たな発見をさせてれるバンドだ。

2026年6月に、彼らはツアーでやってくる。2025年はフェスに参加という形ではあったが、2年連続での来日となる。素晴らしいライブになるのは間違いないだろう。行きたい。

いいなと思ったら応援しよう!