我が家の小さな三角関係の相手は、藤井風
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2021年の5月。
テレビから流れてきた CM の
「きらり」を聴いて、
「あ、いい曲だな」
そう思った。
まだその時は、
人生が変わるほど好きになるなんて、
想像もしていなかった。
それから少しして、
ほとんど変わることのない
夫のプレイリストに、
突然「きらり」が紛れ込んでいた。
「なんかこの曲、
高校生の頃に聴いてた感じするわ。良い曲やね」
夫にそう言ったのを、
今でもよく覚えている。
今思えば、
あれが静かな始まりだったのかもしれない。
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木曜日の夜。
毎週欠かさず観ていた
「千鳥のクセがスゴい」で、
トータルテンボス大村さん親子が
「何なんw」の替え歌コントを
披露していた。
翌朝、
なんとなく Spotify で
藤井風を選び、通勤電車の中で聴いた。
窓の外の景色が、
少しだけ違って見えた。
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そして、決定的だったのは、
スーパーで買い物をしていた時だった。
イヤホンから流れてきた
「優しさ」のイントロ。
その瞬間、
胸の奥へ雷が落ちた。
自分でも驚くほど、
涙が込み上げてきた。
スーパーの通路で、
泣きそうになっている自分に、
私自身がいちばん驚いていた。
あの時の感覚は、
今でもうまく説明できない。
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家に帰ってすぐ、
彼のYouTube をチャンネル登録して、
夢中で聴き始めた。
子育てが少し落ち着き、
世の中はまだコロナ禍だった。
久しぶりに、
“自分の時間”が戻ってきていた頃。
ぽっかり空いていた場所に、
風くんの音楽は、
静かに入り込んできた。
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寝室で、
子どもたちと三人並んで眠る前に、
藤井風を流すのがいつの間にか日課になった。
不思議なくらい、
二人ともすぐ眠った。
私も、
一日の終わりに張っていたものが、
少しずつほどけていく気がしていた。
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優しい声。
長い指。
強いピアノの打鍵。
英語発音みたいな日本語と、
ふいに出る岡山弁。
その全部が好き。
彼の言葉や空気には、
「人生を何周もしてきた人」
みたいな優しさがある。
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そして
音フェチの私は——
ひとりでイヤホンで
しっとり聴くのが大好きだ。
耳が満たされる。
世界が静かに変わる瞬間は、
いつもイヤホンの中にある。
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ありがたいことに、
これまでライブには三度行けた。
二度はスタジアム。
同じ空間にいるだけで幸せで、
大モニター越しに漂ってくる
ムンムンの色気だけで、
十分すぎるほど満たされた。
ホールライブは、
もう言葉にならなかった。
たまたま隣に座っていた
外国人の方と
仲良くなれたのも、
風くんがくれた縁だと思っている。
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そして今年の1月。
年末ライブのチケットが当たった。
「まだまだ先やな」と思っていたのに、
気づけばもうすぐ6月。
きっとまた、
あっという間なんだろう。
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夫と出会ってから、
こんなふうに誰かを
“推した”ことはなかった。
だから夫は、
なんだかんだ言いながら、
時々風くんをディスる。
そのたび私は、
「もぉ、ヤキモチ焼いて」と笑う。
すると夫は、
少しむくれた顔でこう言う。
「俺も藤井風は好きやし、
お前に教えたんオレや。」
その言い方が、
なんだか可笑しくて。
なんだか、愛おしい。
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たぶんこれからも、
我が家の小さな三角関係は
続いていく。
静かで、
ちょっと笑えて、あたたかいまま。
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風くんを好きになった
理由を思い出させてくれる一枚。
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