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【第15話】私がイギリスにいる間に、彼はマンションを買っていた

私は30歳になっていた。
周りの友人たちは次々と結婚し、
母になっていく。

私はというと——
海外を飛び回りながら、
仕事も恋も、どこか宙ぶらりんのまま進んでいた。



私には、
長く付き合っている彼がいた。

少し年上で、
いつも私を気にかけてくれるのに、
束縛は一切しない人だった。

ワーホリに行く前も、
本当は心配だったはずなのに——

「好きなことをしておいで」

そう言って、背中を押してくれた。



結婚の話も、何度か出ていた。

——というより、
私から何度も、
逆プロポーズをしていた。

そのたびに彼は、

「まだダメ。お金貯めてから」

と、同じ言葉を繰り返した。



それでも私は、旅をやめなかった。

海外に行くことは、
もう“選択”じゃなくて、
私の一部になっていたから。



イギリスへ行く少し前。

なんとなく、
マンションギャラリーに立ち寄った。
ただの暇つぶしみたいな気持ちで。

「いいなぁ、住みたいな」

そんな軽い一言を残して、
その日は終わった。



でも——

私がイギリスにいる間に、
彼はマンションの契約をしていた。



イギリスから電話をしたとき。

彼は、
いつもと変わらない声で言った。

「あぁ、
そういえばあの家買ったから」

まるで、
今日の天気を話すみたいに。

その時、私はエミリーの家にいた。
彼女たちは驚きながら、でも笑って祝福してくれた。


一瞬、
何を言われたのか分からなかった。

驚きと、嬉しさと、
そしてほんの少しの不安が、
静かに混ざり合った。



「私たち、
本当に次のステージに進むんだ」

そう思った瞬間だった。

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