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浮かない顔面にドロップキック

「多分、幸せになれないと思う」

ものすごく感性の近い友人にそう言われた時、
反論できなかった。

「そうなんだよなぁ」

と思ったからだ。

それに、
その言葉には、

「今のままでは」

という真意も隠れていた気がしたから。

仕事がうまくいっても、
恋愛がうまくいっても、
自由な時間が与えられても、

次の瞬間には、

「で、次は?」

と考えている自分を、
よく知っていたから。

昔からそうだった。

テストで良い点を取っても、
欲しかったゲームを買っても、
旅行の予定を立てても、

楽しむことより、

その出来事を
多面的に見つめている時間の方が長かった。

人生を楽しむというより、
常に人生の会議を開催している。

しかも出席者は全員自分。


司会の自分が、

「このままで本当に大丈夫ですか?」

と言うと、

別の自分が資料をめくりながら、

「将来的なリスクがあります」

と答える。

楽しそうにしている自分や、
幸せを見つけようとする自分は、
いつも発言権をもらえない。

だから友人の言葉は正しかった。

幸せになれないだろうと。

でも時間が経って、
気づいた。

幸せになれないのではなく、
「幸せになろうとしていない」
だけなのかもしれない。

幸せを見つけても、
すぐに会議を始めてしまう。

そうしているうちに、
そんな会議に飽きた「幸せ」が、
ドアから出ていってしまうのだ。

例えば今もそうだ。

アイスを食べながら、

カロリーがどうとか、
将来がどうとか、
明日がどうとか考えている。

幸せの真っ最中のはずなのに、
しょうもない会議に飽きた「幸せ」が
またドアから出ていってしまった。

そして、僕はなぜか浮かない顔になっている。

だからこそ思った。

そんなくだらない脳内会議に必要なのは、
楽しそうにしている自分や、
幸せを見つけようとしている自分の発言権
ではなく、

ドロップキックなのかもしれない。

脳内の会議室が、
ドリフのコントの最後みたいに
めちゃくちゃになる方が性に合っている。

「将来的なリスクがありま...」
くらいで横からぶっ放してやればいい。

先のことなど知ったこっちゃない。

「今この瞬間に向き合おうぜ」

そんな顔をした自分のドロップキックで、
会議室の机もひっくり返るだろう。

そして最後には、
めちゃくちゃになった会議室で、
散らばった書類や机の上に立ち上がり、

「幸せ」の手を取り、
一緒に上へ掲げる。

そして、

「すごく幸せだ」

と勝利宣言をしてやればいい。

そんな単純なことだった。


もっとも、
こういう会議を開いているのは、
僕だけじゃないのかもしれない。

何か良いことがあっても、
「で、次は?」
と考えてしまう人。

幸せの最中なのに、
なぜか浮かない顔をしている人。

もしそんな人がいたら、
連絡をくれ。

浮かない顔面に、
ドロップキックをお見舞いしてやる。

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