書くひとの誕生日を祝いたいんだ
誕生日を祝うのは楽しい。祝われるのも楽しい。
だけど、誕生日というお祝いごとにはひとつ困り事がある。
そう、あの問題。
「この歳で誕生日なんて、うれしくない」
そりゃあもちろん、私だって年増と言われる年齢について、あえて触れられたくないさ。歳を言われてまで祝われたくないさ(笑) 触れられなくても、誕生日はみんな等しく歳をとるイメージ。誕生日に現実に失望するくらいなら祝われたくない、めでたくない、って。
「もう誕生日がうれしい歳じゃない」 本当にそうなのかな。
照れ隠しなら、気持ちはよくわかる。そうじゃない人もいる。
「なんかさ、年寄りになった気がするのよね」
年寄りってキラーワードね。そうくると、お祝いを用意した側が、少し気まずくなるんだよ。ごめんなさいって思っちゃう。だけど考えてみた。それ、絶対本心じゃないわ。心の底で、祝われて嫌なことあるのかしらん、って。 ……むずかしいね。
20年ほど、血液透析の医療現場に勤務してる私。自分よりもかなり歳上の患者さんに囲まれる日々を送ってる。
「私、米寿なのよ。きのう、孫が祝ってくれたのよ」
笑顔とともに、こんな言葉も聞こえてくる。喜寿米寿のお祝いなんて、身の回りだけではそうそうあることじゃない。今の私は、そのお祝いの機会に恵まれてると思う。そして、祝ってもらった人たち、やっぱりうれしそうなんだ。よく聞いてみると、こういうことだった。
「祝ってくれる人がいるのがうれしい」
普段は、歳ばかりとっちゃってね……などと話しているけれどね。
これを聞いて答えが出たんだ。なんで自分は誕生日を祝いたいのか、って。それはつまり、
「会えてうれしい、この世にあなたが来たことを感謝したい」
ということだった。
この日から、誕生日を祝えることをありがたいと思うようになったんだ。
あなたが何十年か前の今日、生まれてきた。
私はそれを大切にする。
あなたがこの世に来たから、今こうして言葉が届く。
生まれてきて、ここまで来てくれてありがとう。
その気持ちを「誕生日おめでとう」に込めて、あなたに伝えたい。
……よし、格好良く決まった。多分。
誕生日になったなら、空気を読まずに叫びたい。
だから事前に許可をよろしく。そうしたら遠慮なく言うよ。
あなたが生まれてくれて、うれしいぞ〜! って。
書くひとが生まれた日も、大切にしたい。
たとえばnote一周年とか十周年とかも。
そしてやっぱり、私は言うよ。
あなたが書いてくれて、うれしいぞ〜!
(1,016文字)
灯火杯6thに参加させていただきます。灯火さん、よろしくお願いします。
灯火杯、6回目の今回は、アルロンさんと灯火さんの共催です!
アルロンさんは、創作大賞2年連続でベストレビュアー賞を受賞。創作大賞2025ではエッセイ部門で中間選考を通過されています。
灯火杯の締切は2026年3月31日。
参加を迷われている方、まだ間に合います!

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