優しいカウンター
琥珀の氷結
カウンターの隅、
ひとつだけの黄昏に、
肩を落とした赤を纏う。
頭上のランプは、
真実より優しい色で、
今夜のわたしを許す。
グラスの中の琥珀が、
ゆっくりと時間を凍らせる。
カラカラと鳴る氷の音は、
今日一日、飲み込んだ
言葉と、感情の残骸。
誰かの影を追うわけでもなく、
誰かを待つわけでもない。
ただ、この角張った氷のように、
心も、固く、冷えていたいだけ。
ひとくち、またひとくち。
喉を過ぎる熱が、
明日を生きるための、
わずかな燃料となる。
無言の空間で、
わたしはわたしと、
秘密めいた和解をする。

