ミニマリストと介護生活
ケンブリッジ大学教授の研究によると、人は1日に3万5000回もの選択をしているらしい。
その選択の回数を減らして、より大事な意思決定に脳を使えるようにするため、例えば服は多くを持たずに着るものを決めてしまう「ユニホーム化」という手段があります。
最小限のモノで暮らすというミニマリストは昨今のブームにもなっています。
母は病気によって遂行機能障害になってしまいました。
遂行機能障害とは、物事の段取りを考えることや、その一連の動作がうまくできなくなることをいいます。
自宅退院してすぐの頃の母は、洗濯物の干し方がわからなかったりタオルをたためなかったり。
手を洗うにも蛇口から水を出す、石鹸をつけるという動作ができなかったので、常に私が横について全自動状態になっていました。
特に症状がひどかった時は、トイレに行ってもズボンを脱いだり便座に座ったりすることができませんでした。
今ではだいぶ改善して、食器洗いは毎食後の母の役割になっているけれど、水を出してスポンジに洗剤をつけるという動作が毎回もたつきが見られます。
母を見ていると、想像以上に人は無意識にいろいろなことを考え、行動しているのだなとわかります。
そして、考えて行動するのが苦手になってしまった母の身の回りを、いかにシンプルにするかが私の課題でもあります。
今のところ実践してみて一番良かったことは、お風呂で使う石鹸を全身シャンプーに変えることです。
全身シャンプーとは、その名の通り、一本で髪の毛含めて全身を洗える石鹸です。
母は、私が温度設定やシャワーチェアなどの準備をすれば、見守り程度で自分で入浴できるようになったのですが、シャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔が毎回わからなくなってしまいました。
その度に待機している私を呼んだり、私がずっと隙間からのぞいて「次これだよ」と言ったりする必要がありました。
最小限のモノしか持たないミニマリストさんの生活からヒントを得て、全身シャンプーを試してみたところ、これが大正解でした。
母は浴室に入ると最初から最後まで私を呼ばずに入浴できるようになりました。
もちろん見守りは必要なので私もときどき声かけはしますが、合間に他の家事を済ませることもできるようになりました。
シンプルだけど、とてもナイスなアイディアでした。
その他には、食事はあまりお皿を出さずに、丼ものやワンプレートにまとめました。
食事中にテレビをつけずに、テーブルには食べるもの以外を置かないことも食事に集中しやすくなりました。
部屋を常に整理整頓した状態にしておくことも意識しています。
モノがたくさんあると、「これはどうしたらいいのだろう」と母の疑問が生じてしまいます。
そうなると母は「なんとかしなくちゃ」と思って行動した結果、「なんじゃこりゃ!?」という状況になってしまうことがあります。
部屋が整っていると、そのような異常に気付きやすくなるのもいいと思います。
あとは、蛇口はセンサー式に変えたらうまくいくかな、トイレも自動で流れればなと考えるものの、我が家は賃貸なので難しいところもあります。
テレビや電気のスイッチ、リモコンなどの操作も難しいこともあって、なんとかみたい声で反応するようにするか?いや、そういったテクノロジー自体に馴染みがないから忘れそうだな、新しいこと教えるのも大変そうだ。お金もかかりそう。家電を私のスマホと連携させて私が操作する?いや、私が仕事したら対応できないからよくないな、ていうか私も難しいことよくわからん。
でも便利と思ってすべて機械に任せてしまうと、人間はおばかになってしまうのでは・・・?
という疑問もあり、母がもともと使っていたものを活用しながら生活していってもらう方が、結局、脳も体も動かすいいリハビリになるのかなと思っています。
