風土記に残る清水と、福一製餡の味
こんにちは。板谷です。
あんこの味は、豆や砂糖だけでなく、水にも支えられています。
福一製餡の味もまた、清水という土地の水と切り離しては考えられません。
今日は、そのことを少し書いてみます。
皆様は、住んでいる土地の地名の由来をご存知でしょうか。
洪水が起こりやすい土地、土砂災害と結びついた土地、あるいは歴史的な背景から名づけられた土地。
地名には、その土地の記憶が残っていることが少なくありません。
弊社・福一製餡がある場所は、福岡市南区清水です。
【清水という地名の由来】
福岡市周辺、つまり旧筑前國には、土地の名前の由来や役割について記した江戸時代の風土記があります。
儒学者・貝原益軒が関わった『筑前國続風土記』や、その後に編まれた『筑前國続風土記拾遺』です。
福岡市の昔からある神社やお寺の入口にある由緒書きを見ると、これらの本の名前をよく見かけます。
あの犬鳴峠の「犬鳴」という名前の由来なども載っており、読んでみると福岡の土地の見え方が変わってきます。
少し話がそれましたが、『筑前國続風土記拾遺』の清水村の項には、清水の湧き出る所が多くあり、清水という地名はそこから起こったと記されています。

つまり「清水」という地名は、単なる印象ではなく、実際に湧水と結びついた土地の名前だったということです。
【水と切り離せない土地】
清水は今は住宅地も多い地域ですが、昔から織物や食品など、井戸水を使う会社も多かったようです。
祖父の代に工場を移転した際も、この土地の水が良いと聞いて、この場所を選んだと伝わっています。
実際に以前、水道局の方が来られたときにも、清水では今でも井戸水を使っている世帯が比較的多いと聞きました。
おそらく、井戸水が流れている場所が比較的浅いところにあるからではないか、という話で、この土地は水と切っても切り離せない場所のようです。
あんこといえば、豆と砂糖、そして水です。
福一製餡は、福岡の都心部にありながら、水に恵まれた場所にあるのだと思います。
【水が変わると、あんこの味も変わる】
豆炊きに関して言うと、私が小豆を炊く場所は、大量に炊く場所と、試作で少量を炊く場所の2つがあります。
試作で炊く場所では、水道水と井戸水のどちらも使えるようになっています。
以前は、水道水の方が安定して良いのではないかと思い、しばらく試作では水道水を使っていました。
けれど、どうしても普段炊いている味と違う。
そう感じていました。
そこで井戸水で炊いてみると、やはりいつもの味が出るようになりました。
【清水の水と、福一製餡の炊き方】
日本食は水が大事だとよく言われます。
あんこを炊くときも同じで、豆を炊くときの水、そしてあんこを練るときの水は、量・質ともにとても大事なものだと思っています。
福一製餡は、この清水の地に来て63年になります。
この場所の水に合わせて、どう炊けばおいしくなるのか。
その積み重ねの中で、今の炊き方があります。
私自身、文献も読みながら、実際に豆を炊く中で学んできました。
そのうえで思うのは、この清水の水で炊くなら、今の福一製餡の豆の炊き方がいちばん合っている、ということです。
福一製餡のあんこがおいしいと言っていただける理由の一つに、この清水の水もあるのではないかと思っています。
土地の名前の由来にも水があり、
実際の味にも水が関わっている。
時代の流れの中で、人の味覚の変化に合わせて、砂糖の配合は変わっても、豆の炊き方は変わらない。
福一製餡のあんこの味は、この清水という土地と切り離せないものなのだと思っています。
【水を変えると、味は変わる】
小豆や砂糖だけでなく、水でも味は変わります。
福一製餡のあんこの味も、清水という土地の水と無関係ではありません。
地名の由来にも水があり、実際の炊き方にも水が関わっている。
そう考えると、福一製餡の味は、この土地とともに育ってきたものなのだと思います。
もし機会があれば、ご家庭でも使う水を変えて炊き比べてみると面白いと思います。
