朝ドラとあんこ
こんにちは。板谷です。
私は朝6時から仕事を始め、7時45分に朝礼をします。
そして8時から朝ごはんを食べるのですが、その時間にちょうどNHKの朝ドラを見ています。
(作品によりますが)
今日は、その朝ドラと絡めて、あんこの話を書いてみます。
朝ドラは、新規開業にも影響する
あんこには、いわゆる「あんこブーム」があります。
あんこを使ったお菓子が流行ると、
あんこの注文も増えます。
ただ、あんこ屋の立場から見ると、その影響は売上の変化だけではありません。
取引先の開業が増える時期でもある、ということです。
つまり、「今、あんこが流行っているから、あんこを使った菓子店を始めたい」という人が増えるのです。
特に、比較的始めやすい菓子ほど、その影響を受けやすいように思います。
そのことを強く感じたのが、4年前、NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあった時期でした。
ドラマでは、和菓子屋やあんこを炊く場面、そして回転焼(地域によって今川焼などとも呼ばれる)にまつわる印象的なシーンが数多くありました。
その影響もあってか、当時、福岡県内だけでも回転焼屋の新規開業相談が10件ありました。
普段、回転焼屋の問い合わせは年に1件あるかどうかです。
それが一気に10件。これはかなり大きな変化でした。
実際に開業されたのは5件。
そのうち今も営業されているのは4件です。
朝ドラやブームの力は、本当にすごいと感じました。
「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」

『カムカムエヴリバディ』の中で、序盤から終盤まで、あんこを炊く場面で繰り返し出てきた言葉があります。
「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」
とても印象的な言葉だったので、当時は多くの方から聞かれました。
「本当に“おいしくなぁれ”と言ったら、あんこはおいしくなるんですか?」と。
私は、「なる」と答えていました。
私が勝手に師匠と呼んでいる人が3人いるのですが、そのうちの1人に、あんこ屋1年目に出会った修行先の専務がいます。
その方に、
「どうしたら、あんこをうまく炊くコツってありますか」
と聞いたことがあります。
そのとき返ってきた言葉が、
「まあ、おいしくなれ、と思って炊くことや」
でした。
1年目の私は、正直、冗談だと思っていました。
でも今は、その言葉の意味がより分かる気がしています。
これはあくまで私の考えですが、
あんこづくりには、
技術だけで到達できる段階と、
その先の段階があるように思います。
その先にあるのは、
素材への深い理解だったり、
食べる相手への気配りだったり、
「1番いいあんこ」を目指すのではなく、
「相手にとって1番いいあんこ」を考えることだったりします。
そう考えると、
「おいしくなぁれ」という言葉には、
単なる気合いや願掛けではなく、
そうした姿勢、誰のためにするかといったものが込められているのかもしれません。
朝ドラを見て、昔の専務の言葉を思い出し、
あれから12年、少しは成長できたのかなと思いました。
「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」。
これは単なる言葉ではなく、あんこをつくる姿勢そのものなのかもしれません。
また10年後に、このことについて書いたとき、
もっと深い答えが返ってくるかもしれませんね。
