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お店に合ったあんこの決め方

こんにちは。板谷です。

前回は、あんこのおいしさは何で決まるのか、という話を書きました。今回は少し実際の仕事に近い話として、新しくご相談いただいたお客様と、どのようにあんこを決めていくのかを書いてみようと思います。

お店専用のあんこのご相談をいただいたとき、私は最初から「これです」と決めつけることはあまりしません。

まず何に使うのかを聞き、どう使うのかを聞き、どんな味を目指したいのかを聞く。
そうやって少しずつ整理しながら、そのお店に合ったあんこを一緒に決めていきます。

実際に、お客様から「お店専用のあんこがどう決まっていくのかを書いてくれた方が相談しやすい」と言われたので、参考になればと思います。

1. 「あんこを何に使うのか」を聞きます

新しくご相談をいただいたとき、まず最初にお聞きするのは、「あんこを何に使いますか」ということです。

前回も書きましたが、同じあんこでも、何に使うかによって、合う味も、硬さも、炊き方も変わるからです。

たとえば、おはぎ用とぜんざい用。極端な例ですが、おはぎ用のあんこをそのままぜんざい用には使えません。

2. 「どのように使うのか」を聞きます

次にお聞きするのは、どのように使うのかです。

機械を使うのか、手で包むのか、絞って使うのか。こうした違いによっても、ちょうどいい硬さは変わります。

3. 「原料へのこだわり」を確認します

この段階で、原料についてもご相談します。

国産にするのか、外国産にするのか。小豆の種類は何にするのか。場合によっては、白いんげん豆にするのか。 

どこまで素材にこだわるかも確認します。

4. 実際に食べ比べていただきます

近くのお客様であれば、実際に弊社に来ていただいて、あんこを食べ比べていただきます。
遠方のお客様にはサンプルをお送りすることもありますが、その場合も、できるだけ詳しくお話を聞いた上でお送りします。

新しくお店を始めたばかりの方で、まだ細かいイメージが固まっていない場合には、まずは、それまでに伺った内容に合う基本のあんこをこちらで選んでお出しすることが多いです。

食べ比べをしていただくと、粒の残り方、甘さの出方、後味の違い、硬さややわらかさなど、思っていた以上に違いがあることを感じていただけます。

5. 「甘さの好み」を確認します

甘さについては、実際に食べていただいてから調整することが多いです。
砂糖や水あめの種類、配合の違いによって甘さは変わりますし、言葉だけでは伝わりにくい部分が多いからです。
実際に食べたものと比べながら、好みを確認していきます。

最近は「すっきりした甘さ」が好まれることが多いですが、ただ砂糖を減らせばいい、というわけではありません。

あんこは、砂糖の量によって日持ちにも差が出ます。ですから、甘さを抑えるときは、保存のことや使い方のことも含めて考える必要があります。

6. サンプルをもとに、少しずつ調整します

そして、サンプルを決めたあとも、それで終わりではありません。実際に、お客様の方で生地や商品と合わせていただき、

「もう少し甘さを抑えたい」
「もう少しやわらかくしたい」
「もう少し粒を残したい」

といったご意見をいただきながら、少しずつ調整していきます。

こうしたやり取りは、あんこに限った話ではないのかもしれません。

同じ材料を使っていても、何に使うのか、どう見せたいのかが違えば、ちょうどいい形も変わります。

私は、あんこ屋の仕事も、そうした違いを一つずつ聞きながら形にしていく仕事だと思っています。

7. そのお店に合うあんこにしていきます

私は、新しいご相談というのは、
ただ商品を売ることではないと思っています。

どんな商品をつくりたいのかを一緒に整理しながら、そのお店に合ったあんこを決めていく作業です。

何に使うのか。
どんな風に食べてもらいたいのか。
どんな味を目指したいのか。

そこまで聞いて、ようやく、そのお店に合ったあんこが見えてきます。

弊社は、おはぎ、ぜんざい、パン、焼餅、きんつば、饅頭など、さまざまな商品に合わせたあんこを作ってきました。

派手な変わり種はありませんが、その分、素材を活かしたシンプルなあんこを、きちんと作ることを大切にしています。

結局のところ、お店のあんこを決める仕事は、相手の話をどれだけきちんと聞けるか、そしてそれを少しずつ形にしていけるかが大事なのだと思います。

最初から答えを押しつけるのではなく、何をつくりたいのか、何を大事にしたいのかを聞きながら、ちょうどいい形を一緒に探していく。

そうした積み重ねの先に、
お客様にとってかけがえのないパートナーになれたらと思っています。

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