ヨウジヤマモトが引き寄せた、未来のデザイナーとの出会い
家財整理も終盤に差し掛かり、
家の中にはいわゆる業者が言う、
「ガラクタ」(私にはまだそう思えない。)
と呼ぶべきものだけが残ってきた。
様々な方に来てもらい、
物を引き取ってもらったが、
対応は様々。
とにかく持っていけるものは持っていこうとするところが多い。
しかし、
自分の店に置くからと愛着を持って
値をつけてくれるところも、
少なからずある。
そう言うお店は、
ちゃんと自分選ぶ物のカラーがあり、
それ以外のものは持っていかないし、
ちゃんとその人なりに価値をつけて
店頭に置いてくれる。
私はそう言う人が好きだ。
本日呼んだ買取業者の対応は、
一言で言って最悪だった。
彼らは
「価値がない」
と口で言いながら、
それでも、何かを持ち去ろうとする。
仏壇は流石に触らないだろうなと思っていたら、
何も言わずに
使いかけのお線香、蝋燭、数珠、
どうするのかわからないが、
持っていこうとする。
仏壇にまで手をかけようとしたので、
引き留めた。
その言葉の裏にある
「価値がないと言って安く引き取り、自分たちはそこに価値をつけて売る」という透けて見える矛盾。
その不誠実さに、私の心は明確な拒絶反応を示した。
価値がつくから持っていくんでしょ?
もしくは、価値がわからないから
値をつけれないのでは?
せめてその品物への敬意を払ってほしい。
二束三文の値をつけられ、
どこの誰とも知れない場所へ転売されるくらいなら、
私は自分の手で
「本当に価値を分かってくれる人」
を選びたい。
そう思い直して、古着を抱えて外へ出た。
向かったのは、最近知り合った古着好きの店員さんがいるセカンドストリート。
出がけにふと目に留まり、
なんとなく手に取ったバッグがあった。調べてみると、
ヨウジヤマモト(Y'zacc)の先駆けとなった希少なモデルだと分かった。
「あの子なら喜ぶかもしれない」
店に着き、その18歳の青年に査定をお願いした。
結果、お店のルールとしては値がつかないとのこと。
それなら持ち帰って寝かせておこうと返却を希望したとき、彼が言った。
「お願いがあるのですが……個人的に、売ってほしいです」
彼は美学生で、まさに
このラインを探していたらしい。
次々と語られる
「ヨージ ヤマモト」
への愛。
70年代のスーツも好きだという彼と話し、私は迷わず決めた。
売っても値がつかないなら、
せめて洋服を愛する彼に譲りたい。
連絡先を交換し、私は彼にそのバッグを託すことにした。
44歳の私と、18歳の青年。
将来デザイナーになるのが夢だと語る彼の姿を見て、この出会いは必然だったと感じた。
業者がつける「査定額」だけが価値ではない。
その品物を手にした時、どれだけ心が動くか。
どれだけ大切に扱えるか。
私のこだわりは、そこにあるらしい。
最悪な気分で始まった一日だったけれど、
未来のデザイナーを応援できる光栄に恵まれた。
私は何よりも尊い「縁」という価値を見つけたのかもしれない。
気づけば、
今日も直感に助けられた!
そして、今日も思う。
歯科衛生士の仕事よりも、
断然楽しい!!
一つ一つのリアクションが、私の心の灯火になります。いつもありがとうございます。
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