昭和の母|私の子ども時代
私は、ある市民サービス施設で働いています。
キッズコーナーや小さな図書室もあるので、若いお母さんが小さな子どもを連れて遊びに来たりします。
見ているとママたちは皆んな、我が子に優し〜いんですよね。
そして、すごくよく褒めている。
「◯◯ちゃん、すごいねぇ〜」
「◯◯ちゃん、えらいねぇ〜」
私が子どもの頃は、母にそんなに優しい言葉をかけられたおぼえはないんだよなぁ。
私は小学生の頃、真ん中で左右に髪を分けた、前髪のないおかっぱ頭でした。
金八先生の髪型の、短いバージョン。
いまNHKの朝ドラ「風、薫る」を観ている方は、ちょっと前の直美の髪型を思い浮かべて頂ければ。
ある時、私は母のドレッサーの引き出しの中に
眉毛を整えるカミソリが入っているのを発見しました。
これ、使ってみたいなー。
鏡で自分の顔を見ると、おでこに産毛が。
私は「これでちょっと剃ってみよう!」と、おでこにカミソリをあてて、軽く滑らせてみました。
すると気持ちのいいくらい産毛が剃れて、ふわふわの毛の塊がカミソリにくっつきました。
おっ、おもしろい!
私は夢中になって、おでこの産毛を剃りました。そしてついには、産毛の領域を上にはみ出して毛髪部分までも剃り込んでいました。
ジョリジョリ感の虜になってしまったのです。
我に返って鏡を見たら、おでこの真ん中すぐ上の、髪の生え際から奥行き一センチくらい、横幅五センチほどの毛髪を剃ってしまっていました。
おでこの上には青々とした地肌が露出していました。
まずいっ、やり過ぎた!
しかしもう取り返しがつきません。
もちろん母に「勝手にドレッサーいじったの!?なんなの、その頭っ!」とひどく怒られました。
翌日、私はその生え際を攻め込みすぎたヘアスタイルで登校しました。
母からは何の救済措置もありませんでした。
今思えば横分けにしてヘアピンで留めて隠す、とか何かあっただろうと思うのですが。
自分でも考えつきませんでした。
友達からは「ナツキちゃん、おでこの上、どうしたの?なんかハゲてるよ」と言われましたが、「うん、ちょっとね」とごまかしました。
細川たかしを目指していたわけではありません。
(この頃はたかしも普通だった……)
また別のとき、親戚からズワイガニをたくさんもらいました。
カニが大好きな私は、大喜びで喰らい付きました。
翌朝起きると、口の周りをぐるりと囲むように皮膚が真っ赤になって腫れていました。
恐らくカニの汁にかぶれたのだと思います。
この時も母は
「ナツキが『恥ずかしいから学校に行きたくない』と言い出したら困るから、顔がまずいことになっていると言うな」と家族にクギを刺したそうです。
普通、学校に行かせるより皮膚科に連れて行くでしょ!?
私は何の治療も受けず、その顔のまま登校しました。
やはり友達からは「ナツキちゃん、口のまわり……どうしたの?」
と聞かれましたが、また「うん、ちょっと」とごまかしました。
今思えば、剃り込みもカールおじさんも、よくいじめられなかったと思います。
母はよく私達きょうだいに「マトモな子育てした記憶ないけど、アンタ達どうやって大きくなったんだろ?」と言っています。
現代の優しいママ達を見て、私もあんな風に優しくされたかったなぁと思うと同時に、私の子ども時代ってどこの親もそんな感じだったような気もしないでもない。
まぁ結構放任されてたけど、普通の大人になったしなぁ。とも思ってみたり。
案外子どもって勝手に育つものなのかな?
私は子育て経験はないので、あまり見知ったようなことは言えないのですけどね……。
いいなと思ったら応援しよう!
お読みいただきありがとうございます。記事執筆の励みになります!