見出し画像

S&P500のQ2決算が「増益率50%超」になった理由を、FactSetの最新版で読む

FactSetの「Earnings Insight」2026年8月29日版で2026年4-6月期(Q2)のレポートが公開されました。
今日はその中身を自分なりに整理しておきたいと思います。
数字の見出しだけを鵜呑みにすると読み違えそうなところがあったので、それについても書きました。


全体の傾向

FactSetの8月7日版レポートによると、Q2 2026のS&P500のblended EPS成長率は50.4%とのことです。
「blended」というのは、発表済み企業の実績と未発表企業のアナリスト予想を混ぜた値のことで、シーズンが進むほど実績寄りに固まっていきます。
この時点で構成企業の88%が発表を終えているので、ほぼ実績とみていい数字です。

50.4%というのは、6月末時点の予想23.1%からほぼ倍増した水準になります。
前年比の増益率としては2021年Q2以来の高さですが、この「ほぼ倍増」という上振れ自体が今回のポイントになります。

先に全体トレンドの方を最後まで見ておきます。

  • EPSが予想を上回った企業の比率: 86%(5年平均78%、10年平均76%)

  • EPSの上振れ幅: 29.2%(5年平均7.0%、10年平均7.4%)

  • 収益が予想を上回った企業の比率: 76%(5年平均70%)

  • 収益成長率: 15.0%(6月末時点の予想12.2%から上振れ)

上振れした企業の比率が86%というのは、平常運転と比べても高いサプライズとなっています。
また、そのすぐ下にある「上振れ幅29.2%」という数字は、平均の7%前後と比べて明らかに桁が違います。
ここが今回いちばん注意が必要なところだと思います。

EPS成長率50%増の要因

上振れ幅が例年の4倍近くまで膨らんだのは、一部の大型株の異常な上振れが平均を引っ張ったからです。
FactSetが名前を挙げているのは次の2社です。

  • Alphabet: 予想 $2.88 に対して実績 $9.11

  • Amazon.com: 予想 $1.82 に対して実績 $5.7

どちらも予想の3倍前後という大きな飛躍を遂げています。
S&P500は時価総額加重の指数なので、この規模の企業が予想を大きく超えると、指数全体の増益率が一気に跳ね上がります。
「S&P500が50%増益」と聞くと構成企業が軒並み倍増したように読めてしまいそうですが、実際は数社の突出が全体の平均を押し上げているというのが実情です。

セクター毎の伸び自体は本物

伸びているのが2社だけかというと、そうではありませんでした。
セクター別に見ると11業種のうち10業種が増益で、そのうち8業種が二桁増益です。
上位はエネルギー通信サービス一般消費財情報技術素材 といった顔ぶれになっています。
減益はヘルスケアの1業種だけで、収益ベースでも全11業種がプラス成長です。

つまり、指数全体の「50.4%」という数字は数社のビッグテックに引っ張られた面が大きい一方で、増益の裾野が広いこともまた事実となります。
日本語メディアのプレビュー記事でも、業績のけん引役がAI関連であることから増益基調は続くとの見方が紹介されていました。

「ほんの少し割高」まで落ちて来た

株価がどのくらいの水準にあるかも一応見ておきます。この先12ヶ月の予想PERは20.0で、5年平均の19.9、10年平均の19.0をどちらもほんの少し上回っています。

数字だけ見れば割高圏ですが、平均からの離れ方は5年平均比で0.1ポイントとごくわずかです。
増益率がこれだけ高く出ているのにPERが平均をわずかに超える程度で収まっているのは、株価の上昇に対して利益の伸びがある程度追いついているとも読めます。

この先の四半期はどう見られているか

最後に、先の四半期に関するアナリスト予想です。

  • Q3 2026: 27.4%増

  • Q4 2026: 25.2%増

  • 通年2026: 30.0%増

Q2の50%からは落ちますが、それでも二桁増益の予想が並んでいます。
ただ、これらは今回のような巨大なサプライズが起きる前の平常時の予想値なので、実際のシーズンが始まればまた上下に振れる前提で見ておいたほうがよさそうです。

この手のヘッドライン数字は「大きい方の数字」だけが独り歩きしやすいので、上振れ幅や寄与企業まで一度セットで見る癖をつけておくと良いと思います。
50%という数字に踊らされて本質を見失わないようにしたいですね。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー