プラセボ効果:揺れる電車でよろけない体幹。日常の思い込みだけで体が健康になる奇跡
※この記事はメンバー限定の先行公開です
地方から都会へ引っ越してきた人が、最初に驚くこと。
それは「都会の人は、信じられないほど毎日歩いている」という事実です。
地方の車社会では、コンビニへ行くのにも車を使います。しかし都会では、複雑な地下鉄の駅の階段を上り下りし、乗り換えのために長い地下通路を何キロも歩きます。さらに驚くのは、揺れる満員電車の中で、吊り革にも掴まらずに涼しい顔で立っている人たちの「体幹の強さ」です。
都会で暮らす人々は、日常生活を送っているだけで、実はかなりのレベルの「アスリート」のような運動量をこなしています。
しかし、彼らに「あなたは毎日素晴らしい運動をしていますね」と声をかけても、おそらくこう返ってくるでしょう。
「いやいや、ただ通勤でヘトヘトに疲れているだけですよ。運動不足だから、週末にジムに行かないと……」
実はこの「ただ疲れているだけ(これは運動ではない)」という思い込みが、人間の健康にとって非常にもったいない罠であることをご存知でしょうか。
「私は運動不足だ」と信じる客室清掃員たち
心理学者のアリア・クラム(当時ハーバード大学)は、人間の「思い込み」が体に与える影響について、ある興味深い実験を行いました。
彼女が目をつけたのは、ホテルの客室清掃員たちです。
彼女たちは毎日、重いカートを押し、分厚いマットレスを持ち上げてシーツを交換し、お風呂を磨き上げるという、かなりの重労働をこなしています。客観的に見れば十分すぎる運動量ですが、当の清掃員たちにアンケートを取ると、「自分は定期的な運動を全くしていない(運動不足だ)」と思い込んでいました。彼女たちにとって、それは健康のための運動ではなく、ただの「労働」だったからです。
そこでクラム博士は、84名の清掃員を2つのグループに分けました。
Aグループ: 「シーツ交換は40キロカロリー、掃除機がけは50キロカロリーの消費です。あなたの毎日の仕事は、健康を維持するための立派なエクササイズ基準を十分に満たしていますよ」と、具体的なデータと事実を伝えた。
Bグループ: 何も伝えず、そのまま働いてもらった。
思い込みが起こした「1ヶ月後の奇跡」
実験開始から1ヶ月後。彼女たちの体を測定すると、信じられないことが起きていました。
仕事の量も、食べる量も、生活習慣も、両グループとも1ヶ月前と全く変えていません。
しかし、「自分の仕事は立派なエクササイズだ」という事実を伝えられたAグループの清掃員たちだけが、体重、体脂肪率、そして血圧が有意に下がり、健康状態が劇的に改善していたのです。
ただ「考え方」を変えただけで、なぜ体脂肪や血圧まで下がるという物理的な変化が起きたのでしょうか?
ここから先は

メンバー限定 新作記事の先行公開
このマガジンは「声掛けプラン」の特典である、新作記事の先行公開を単体で購入いただけます 一度購入いただくと、その後に追加された新作記事も…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
